【薬局の調剤を外注化?!】規制改革会議にファルメディコ狭間氏が提案

【薬局の調剤を外注化?!】規制改革会議にファルメディコ狭間氏が提案

【2021.04.21配信】4月20日に内閣府規制改革推進会議が開かれ、ファルメディコ(大阪市)社長の狭間研至氏が、「調剤の外部委託」を可能とする規制緩和などを要望した。


 狭間氏は、「医師は診断と救命に特化しタスクシフト・シェアをする」「薬剤師は渡すまでではなく服用後までフォローする」「医師と薬剤師は協業して薬物治療の適正化に取り組む」ことなどを理念とし、「6万軒の薬局・18万人の薬局薬剤師を活用」するために規制緩和を要望したとする。

 現状では「何でも医師が担当」し、薬局薬剤師は「人手不足と長時間労働」に困っており、薬局業界は「進行する寡占化」などの課題を抱えていると指摘する。

 本来は薬剤師には医師とは異なる専門性で「患者の謎が解け」、“飲んだ後”までフォローすることで、処方カスケードなどに貢献できるはずとする。これまでもフォローにより投薬数が減少した場合などを評価する調剤報酬評価が行われてきたが、残された課題として「対物評価のさらなる効率化」があるとする。

 しかし、業界全体の8割以上を占める中小薬局では機械化やIT化に取り組むことは困難として、調剤業務を外部委託できるように規制を緩和することを提案した。

 「調剤業務の部分委託」の場合は、調剤を受託した薬局から処方箋を受け付けた薬局まで医薬品を納品する。
 「調剤業務の完全委託」の場合は、調剤を受託した薬局から患者宅まで配達する。
 いずれも、服薬指導では、オンラインの活用を視野にいれる。

 調剤の外部委託が行われることによって、処方箋を受けた薬局では、薬剤師の時間や気力・体力の確保に繋がり、かかりつけ薬剤師の実効性向上と同時に、医薬品在庫の適正化と廃棄削減が可能になるのではないかとする。
 
 結果として、対人業務充実と経営の安定化、患者の利便性と安全性の向上が得られるとする。

 また、調剤を受託する薬局においては、いっそうの機械化が進むため、40枚規制の見直しが必要になるとした。

狭間氏は、この提案に際しては整理すべき課題もあるとした。

1つは法的整備。調剤や薬剤師業務全般に関する責任の所在をどこで切り分けるのか。
2つ目は過大利益や寡占化の危険性。寡占化が進まないような調剤報酬制度も必要とする。
3つ目は緊急時や災害時の医薬品供給体制。町の薬局が適正な医薬品供給を行える態勢を堅持することも必要とした。

 こうした問題に留意が必要ではあるが、前向きな検討が必要と結論づけた。

 こうした提案に対し、厚生労働省は、「処⽅箋を応需した薬局において、当該薬局の管理者の責任の下、薬剤師が調剤業務を⾏う必要がある」との認識を示した。調剤業務に関しては、医療安全の確保の観点から、処⽅箋を応需してから薬剤を交付するまでの⼀連の調剤業務を同⼀の薬局において実施することとしているとする。

 その上で、提案された「調剤業務の外部委託」に関しては、処⽅箋を応需した薬局の責任の下、医療の安全を確保することが可能か、対⼈業務の充実に資するかなどの検討が必要との考えを示した。

 加えて、「40枚規制」の緩和要望に関しては、「薬局における薬剤師の業務の実態を踏まえ、また、患者等との対話、薬歴管理、服薬指導、疑義照会などの薬剤師としての業務量を織り込んで、最低基準を定めている」と説明した。 

【薬局の調剤業務外注化】提言者の狭間研至氏インタビュー

https://www.dgs-on-line.com/articles/897

【2021.04.27配信】4月20日に開かれた内閣府規制改革推進会議で、ファルメディコ代表の狭間研至氏が「薬局の調剤業務外注化」に関して提言した(https://www.dgs-on-line.com/articles/884)。薬局業界からは医療安全の観点への懸念や、巨大調剤センター登場の是非など、さまざまな波紋を呼んでいる。当の狭間氏に、こうした疑問をぶつけた。

この記事のライター

関連する投稿


【規制改革】薬局の処方箋40枚規定、「再検討」を厚労省に要望

【規制改革】薬局の処方箋40枚規定、「再検討」を厚労省に要望

【2024.09.30配信】内閣府規制改革推進会議「第1回 健康・医療・介護ワーキング・グループ」が9月30日に開かれた。この中で、規制改革ホットライン処理方針 (令和6年3月16日から令和6年7月19日までの回答)が報告され、「薬局に係る40枚規制」について 厚労省に再検討を要請するとした。厚労省サイドは「検討を予定」と回答しつつも、「慎重に検討する必要がある」としている。


【規制改革推進会議】規制緩和求めた「住田町」 / “町唯一の”薬局「夜間休日対応、連携で可能」

【規制改革推進会議】規制緩和求めた「住田町」 / “町唯一の”薬局「夜間休日対応、連携で可能」

【2024.05.08配信】4月26日に開かれた内閣府の規制改革推進会議「健康・医療・介護ワーキング・グループ」(WG) では、「在宅医療における円滑な薬物治療の提供について」が議題の1つとなり、岩手県気仙郡住田町の町長から訪問看護ステーションへの薬剤ストックの提案がされた。同町で唯一である薬局が本紙取材に応えた。


【規制改革推進会議WG】スイッチOTC促進議論/令和8年末までOTC化目指す成分リスト公開

【規制改革推進会議WG】スイッチOTC促進議論/令和8年末までOTC化目指す成分リスト公開

【2024.03.29配信】内閣府規制改革推進会議「健康・医療・介護ワーキング・グループ」(WG)が3月28日に開かれ、スイッチOTCの促進について議論された。


【規制改革会議議事録】佐藤WG座長「成分の規制の必要も」/“濫用薬”の販売制度問題で

【規制改革会議議事録】佐藤WG座長「成分の規制の必要も」/“濫用薬”の販売制度問題で

【2024.01.24配信】内閣府規制改革推進会議は、1月24日までに令和5年12月26日開催の会議議事録を公開した。その中で「健康・医療・介護ワーキング・グループ」(WG)の佐藤主光座長は濫用のおそれのある医薬品成分の規制などについて指摘している。


【規制改革推進会議】12月21日にWG開催/一般用医薬品の販売制度で/YouTube公開

【規制改革推進会議】12月21日にWG開催/一般用医薬品の販売制度で/YouTube公開

【2023.12.19配信】内閣府規制改革推進会議は12月21日に、「健康・医療・介護ワーキング・グループ」(WG)をYouTube公開形式で開催する。


最新の投稿


【令和8年度調剤報酬改定へ】「考え方」公表/日本薬剤師会

【令和8年度調剤報酬改定へ】「考え方」公表/日本薬剤師会

【2025.01.15配信】日本薬剤師会は1月15日、都道府県会長協議会を開催した。その中で、次期、令和8年度調剤報酬改定へ向けた「考え方」を公表した。


【零売規制見直し】日本薬剤師会、見解述べる

【零売規制見直し】日本薬剤師会、見解述べる

【2025.01.15配信】日本薬剤師会(日薬)は1月15日に都道府県会長協議会を開催した。この中で出席者から零売規制への日薬の見解を問う質問が出た。


【中医協】最低薬価引き上げ、約3%

【中医協】最低薬価引き上げ、約3%

【2025.01,15配信】厚生労働省は1月15日、中医協総会を開き、令和7年度の薬価改定について議論した。最低薬価について約3%程度引き上げることとした。


【OTC薬協】小学校に出前授業、「健康とくすり」

【OTC薬協】小学校に出前授業、「健康とくすり」

【2025.01.15配信】日本OTC医薬品協会は1月15日、小学校向けに「健康とくすり」の出前授業を行ったと公表した。


【医療用医薬品の包装単位】「見直したいとの相談きている」/日本薬剤師会森副会長

【医療用医薬品の包装単位】「見直したいとの相談きている」/日本薬剤師会森副会長

【2025.01.15配信】日本薬剤師会会(日薬)は1月15日、都道府県会長協議会を開いた。この中で、日薬がこれまで要望してきたガイドラインの投与形態にのっとった医療用医薬品の包装単位に関して、メーカーから日薬に対して包装単位を見直したいといった相談がきていると説明した。