厚労省「患者の経過観察又は治療中の疾患等から予見することができる症状を緩和するための処方であれば、その疾患等の病名を診療報酬明細書に記載の上、処方する」
同WGではこれまで、「在宅医療における円滑な薬物治療の提供について」を議題としてきており、訪問看護ステーションに配置できる薬剤の拡大についても要望してきた。
今回の委員からの質問と、厚労省の回答は以下の通り。
■委員からの質疑・意見
1、風邪の症状がない者に対して、処方箋に保険病名として「感冒」と記載し事前に感冒薬を処方・調剤するなど、
症状がない者に対して、処方箋に保険病名を記載して事前に処方・調剤することは適切か、貴省の御見解を御教示いただきたい。
2、(症状がない者に対して、処方箋に保険病名を記載して事前に処方・調剤することが適切である場合、)在宅患者に想定されるあらゆる症状に対して、事前に処方・調剤し対応することについて、
・ 大量の薬剤が使用されず使用期限を迎え破棄される可能性があり、結果として社会保障費の増大に繋がるため、医療経済の観点から不適切である
・ 認知症患者の誤薬や、患者家族の不適切使用や紛失等のおそれがあることから、多くの薬剤を患者宅で安全に管理することは医療安全の観点から困難であるとの指摘が想定されるが、医療経済及び医療安全の観点から、症状がない者に対して、処方箋に保険病名を記載して事前に処方・調剤することは合理的な方策か、貴省の御見解を御教示いただきたい。
■厚労省の回答
健康保険法においては、被保険者の疾病又は負傷に関して、薬剤の支給等の療養の給付を行うこととしており、疾病に罹患していない者に対して、処方・調剤をすることは適切ではない。
「症状がない者」の指している患者像がはっきりせず、一概には言えないが、
・患者の経過観察又は治療中の疾患等から予見することができる症状を緩和するための処方であれば、その疾患等の病名を診療報酬明細書に記載の上、処方する。
・病名付与のみでは、当該処方の正当性を説明できない場合には、診療報酬明細書の症状詳記欄に当該処方の正当性を詳記した上で処方することは適切な保険診療の範囲内と言える。
一方で、2に記載の「在宅患者に想定されるあらゆる症状」について、上述の「患者の経過観察又は治療中の疾患等」から予見することができる症状以外の症状を含んでいるとすれば、その症状を緩和する目的の処方は医学的に妥当適切とは言えず、不適切な請求である。
また、ご指摘の「保険病名」が虚偽の病名であるいわゆる「レセプト病名」のことを指すのであれば、ご指摘のような症状のない患者に対してそれを傷病名欄に記載して処方・調剤し診療報酬の請求をすることは、不正請求と認定される可能性がある。