【スイッチOTC】胃酸抑制するPPIや睡眠薬ロゼレム、片頭痛薬ミグリステンを承認/厚労省審議会

【スイッチOTC】胃酸抑制するPPIや睡眠薬ロゼレム、片頭痛薬ミグリステンを承認/厚労省審議会

【2024.12.23配信】厚生労働省は12月20日、薬事審議会「要指導・一般用医薬品部会」を開き、胃酸の分泌を抑制する成分であるPPI(プロトンポンプ阻害薬)3成分の要指導医薬品への指定を承認した。片頭痛薬マイフェミン、ミグリステンSや、睡眠薬ロゼレムも承認「可」とした。


パリエットのスイッチはエーザイが申請

 この日の部会では、①パリエットS及びパリエット10、②オメプラールS及びサトプラール、③タケプロンsーーを議論した。いずれもPPI(プロトンポンプ阻害薬)。

 ①パリエットS及びパリエット10については、エーザイが申請。
 有効成分はラベプラゾールナトリウム。
 効能効果は胃痛、胸やけ、もたれ、むかつき(本剤は胃酸の分泌を抑えるプロトンポンプ阻害薬を含んでいます)。
 承認については可となった。要指導医薬品として指定する。
 承認条件としては、承認後少なくとも3年間の安全性等に関する製造販売後調査(PMS)の実施が課せられている。
 対応する医療用医薬品には「パリエット錠10mg」があり、これを要指導薬、一般用薬に転用するものとなる。海外ではイギリスやオーストラリア、ロシアにおいて一般用薬として承認されている。

タケプロンはOD錠を転用、アリナミン製薬が申請

 ②オメプラールS及びサトプラールについては、佐藤製薬が申請。
 ③タケプロンsについてはアリナミン製薬が申請。

 ②についてはオメプラゾール、③についてはランソプラゾールが有効成分。
 効能効果は胃痛、胸やけ、もたれ、むかつき(本剤は胃酸の分泌を抑えるプロトンポンプ阻害薬を含んでいます)。
 承認については可。要指導薬に指定。PMS3年。
 対応する医療薬として、オメプラール錠10があり、これを要指導薬・一般用薬に転用するもの。
 海外ではアメリカ、イギリスなど約30カ国において一般用薬として承認されている。
 
 ③タケプロンについては、「タケプロンOD錠15」を要指導薬・一般用薬に転用するもの。
 海外ではアメリカ、オーストラリア等の8カ国において一般用薬として承認販売されている。
 
 PPI3成分については、「むかつき」という効能効果に対して、「医療の背景がない方に“嘔吐・気持ち悪さにつながる状態を一般的には表現される”ということが理解されることであるかは疑問が残る」といった指摘などが出た。この指摘に対しては、変更の必要性があるかについて事務局やPMDAで調整する方向。
 また「企業のPMSに任せるだけではなくて別途、厚労省で調査をするべきであり、その結果によっては処方箋医薬品に戻すことも含めて検討すべきだ」というような指摘もあった。チェックシートに基づく適正販売が販売店、薬剤師に求められるといえる。

 タケプロンSについてはOD錠であることもあり、用法用量の中に「口内で溶かして」という表現があるが、これについては「口内で崩壊させて」という表現が適切との指摘があり、その表現に変更するように企業と調整をしていく方針。

片頭痛薬のミグリステンはゼリア新薬工業、シオノギヘルスケアが申請

 上記はPPI3成分の承認となるが、それ以外に同日の部会では④マイフェミン、ミグリステン、⑤ロゼレムSについても承認「可」となった。

 ④マイフェミン、ミグリステンSについてはゼリア新薬工業、シオノギヘルスケアが申請。
 有効成分はジメトチアジンメシル酸塩。
 効能効果は片頭痛・緊張型頭痛における頭痛発作の発症抑制及び症状緩和 (以前に医師の診断・治療を受けた人に限る)。
 承認については可。要指導薬に指定する。PMS3年。
 対応する医療用医薬品ミグリステン錠20を要指導医薬品・一般用医薬品に転用するもの。

ロゼレムはアリナミン製薬が申請

 ⑤ロゼレムSはアリナミン製薬が申請。
 有効成分名はラメルテオン。
 効能効果は「一時的な不眠の次の症状の緩和:寝つきが悪い」。
 承認は可。要指導医薬品に指定。PMS3年。
 対応する医療薬「ロゼレム錠8mg」を要指導薬・一般用薬に転用するもの。
 2週間を服用の上限としているものの、「服用し効果を感じた使用者が2週間で服用をやめることは難しいと考えている」「複数の場所で購入された場合2週間の規定は形骸化する可能性がある」「眠りの悩みは高齢者が抱えやすく高齢者は転倒骨折リスクが高いため、本剤の連用には大変な懸念がある。関係学会との協議の上、対応を検討すべき」といった指摘が出たという。事務局は省内の高齢者関連を所管している部署とも情報共有して、対応について検討する方針。

この記事のライター

関連する投稿


【緊急避妊薬のスイッチOTC】承認取得/あすか製薬、販売元は第一三共HC

【緊急避妊薬のスイッチOTC】承認取得/あすか製薬、販売元は第一三共HC

【2025.10.20配信】あすか製薬ホールディングスは10月20日、子会社のあすか製薬が緊急避妊薬「ノルレボ」の製造販売承認を取得したと公表した。承認取得を受け、第一三共ヘルスケアが同品の販売元として、発売に向けた情報提供体制の整備を進めるという。


【ジェネリック学会OTC分科会】生活習慣病薬のスイッチOTC化の推進で提言書公表

【ジェネリック学会OTC分科会】生活習慣病薬のスイッチOTC化の推進で提言書公表

【2025.10.13配信】日本ジェネリック・バイオシミラー学会のOTC医薬品分科会(分科会⾧・武藤正樹氏)はこのほど、活習慣病薬のスイッチOTC化の推進で提言書を公表した。10月11日に盛岡市で開催された「日本ジェネリック医薬品・バイオシミラー学会 第19回学術総会」「OTC医薬品分科会」のシンポジウムの場で示したもの。シンポジウムは日本OTC医薬品協会当の共催。


【PPI】国内初のOTCを発売/エーザイ「パリエットS」

【PPI】国内初のOTCを発売/エーザイ「パリエットS」

【2025.06.02配信】エーザイは6月2日、国内 OTC 医薬品として初めて製造販売承認を取得したプロトンポンプ阻害薬(PPI)である「パリエットS」を発売した。


【日本薬剤師会】緊急避妊薬の調査事業を報告/「世の中の流れはスイッチ化と理解」

【日本薬剤師会】緊急避妊薬の調査事業を報告/「世の中の流れはスイッチ化と理解」

【2025.05.22配信】日本薬剤師会(日薬)は5月22日に定例会見を開催した。その中で緊急避妊薬の薬局販売にかかる調査事業について報告した。


【あすか製薬】緊急避妊薬のスイッチOTCの承認申請を公表

【あすか製薬】緊急避妊薬のスイッチOTCの承認申請を公表

【2025.05.15配信】あすか製薬は5月15日、 緊急避妊薬のスイッチ OTC について、製造販売承認申請を行ったと公表した。


最新の投稿


【日本薬剤師会】財政審の改革提言に反論、「薬局増えても調剤報酬増えない」

【日本薬剤師会】財政審の改革提言に反論、「薬局増えても調剤報酬増えない」

【2025.11.05配信】日本薬剤師会は11月5日に会見を開いた。この中で、同日公表された財政制度等審議会(財政審)財政制度分科会の提言に対し反論した。


【日本薬剤師会】岩月会長が敷地内薬局めぐる議論にコメント

【日本薬剤師会】岩月会長が敷地内薬局めぐる議論にコメント

【2025.11.05配信】日本薬剤師会は11月5日に定例会見を開いた。その中で、岩月進会長が中医協での敷地内薬局をめぐる議論に対してコメントした。


【石川県薬剤師会】モバイルファーマシー「お披露目式」/スターリンクを搭載でDX対応

【石川県薬剤師会】モバイルファーマシー「お披露目式」/スターリンクを搭載でDX対応

【2025.10.31配信】石川県薬剤師会は10月31日、モバイルファーマシーお披露目式を開催した。


【東京都・厚労省】11月24日に「麻薬・覚醒剤・大麻乱用防止運動東京大会」

【東京都・厚労省】11月24日に「麻薬・覚醒剤・大麻乱用防止運動東京大会」

【2025.10.29配信】東京都薬務課は10月29日に定例会見を開き、令和7年11月24日(月曜日・祝日)13時30分から15時45分まで、令和7年度「麻薬・覚醒剤・大麻乱用防止運動東京大会」を開催することを説明した。今年は2年に一度の厚労省との共催年で、広い層に関心を持ってもらうため、多彩なタレントを招聘している。


【東京都薬務課】試買で指定薬物検出/前年9品目増の11物品から

【東京都薬務課】試買で指定薬物検出/前年9品目増の11物品から

【2025.10.29配信】東京都薬務課は10月29日、定例会見を開き、試買検査によって11物品から危険ドラッグを検出したことを説明した。9月29日に公表済み。前回公表の昨年11月の検査結果では2物品からの検出であり、薬務課では「11物品からの検出は多く驚いている」としている。今回の結果を受け、今後の試買を適切に行っていく方針。


ランキング


>>総合人気ランキング