会見の中で、記者から同剤のスイッチOTC化への日薬のスタンスを問われると、日薬常務理事の長津雅則氏は「今の世の中の流れとしてはスイッチ化ということ、スイッチ化に目的があるということも理解している」とした上で、「スイッチ化をあえて日薬が否定するということもない。ただし、スイッチ化された時にいかに適正に販売できるかというところが我々が関わるところ。安全に、適正に販売できる体制を今、この研究事業でも模索している」と述べた。
「実際にOTC化された時には販売する薬局がしっかりと販売できるような体制を我々が提供していく」(長津氏)とした。
調査事業は、「令和6年度 緊急避妊薬販売に係る環境整備のための調査事業」。報告書を5月14日に厚労省が公表していた。前年度の令和5年度事業から、協力薬局数を追加。薬剤師の追加研修を実施したり、妊娠の可能性に関するチェックリスト、フロー等の資材の見直しなどを行っていた。その結果、購入者の避妊成否確認について格段の改善がみられるなどの成果が上がっていた。
https://www.dgs-on-line.com/articles/2996
今国会でも緊急避妊薬のスイッチ化に関する質疑が展開され、衆参で緊急避妊薬の全国の薬局での恒久的な販売に関する検討などに関連した附帯決議が採択されていた。
これまで日本薬剤師会は、スイッチ化に関しては直接的な言及はしてこなかったが、薬剤師は医療用医薬品も提供してきた実績などがあることなどに触れてきた。国会質疑など、社会情勢が変化してきているのではないかとの質問に、長津常務理事が答えたもの。
調査事業は令和7年度も進行中。長津氏は令和7年度事業について、研究のプロトコルなどには令和6年度事業から変更はないとした上で、「薬局で起きている事象についての深掘りができるように、薬剤師への調査手法を追加する」と説明した。
具体的には、プロトコルに入っている「協力薬局への問い合わせ」が該当する。
令和6年度事業でも「16歳未満の者の来客があった」「本人以外のみの来局があった」「服用3週間後に妊娠の有無を確認することに同意せず販売できなかった」等の協力薬局への質問項目がある。これらについて、令和7年度事業では協力薬局から研究班に報告し、研究班で薬局に対してヒアリングを深掘りすることを想定しているようだ。