【緊急避妊薬のOTC化】評価検討会議は終結、薬事審議会での承認可否判断へ

【緊急避妊薬のOTC化】評価検討会議は終結、薬事審議会での承認可否判断へ

【2025.05.23配信】厚生労働省は5月23日、「第32回医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議」を開催し、緊急避妊薬のスイッチOTC化について議論した。


 同日の会議では、市民団体の「緊急避妊薬の薬局での入手を実現する市民プロジェクト」共同代表代表の染矢明日香氏や、日本産婦人科医会および日本家族計画協会所属の北村邦夫氏が意見陳述した。
 
 議論の最後に笠貫宏座長(早稲田大学総長室参与 医療レギュラトリーサイエンス研究所顧問)は、同評価検討会議では「議論は出尽くした」と述べ、評価検討会議の議論は終結することを表明した。

 同評価検討会議は現在、スイッチ化の可否を決める場ではなく、課題や解決策の提示が役割となっている。評価検討会議での意見をとりまとめ、公表ののちに、可否を審議する薬事審議会(要指導・一般用医薬品部会)に提出される見通し。笠貫座長は、「意見の違いは両論併記という形で評価検討会議から意見書として整備して」、承認申請をする薬事審議会に提出する形で進める方針を示した。

 承認申請については、あすか製薬がすでにスイッチOTCとしての緊急避妊薬を令和6年6月に申請したことを公表している。事務局は現在、医薬品医療機器総合機構において審査が進められており、今後、薬事審議会(要指導・一般用医薬品部会)でその承認の可否等について審議される予定と説明した。

 同日の議論では「面前服用」の観点では意見の相違があったものの、年齢制限は必要なく、保護者の同意も必要ないことも意見の一致がみられた。市民団体からは面前服用にプレッシャーを感じる人もいるといった意見が示されたが、北村氏からは面前服用の有効性が提示された。ただ、双方ともまずはスイッチ化した上で、継続的に課題の検討を継続することについては理解を示す意見が出ていた。

 市民団体は要望事項を示したものの、「これらが一度にすべてかなわない、すべて求める限りOTCができないというのであれば、非常に残念ではあるが、今すぐすべての要求を満たさずともここまで長い間、議論され尽くされている緊急避妊薬のまずは一刻も早いOTC化を求める。そして緊急避妊薬が必要とするすべての人にすぐに平等に届く社会に向けてこの会議がその一歩となり、検討が次の段階に進むことをOTC化されたあとにもアクセス改善のための取り組みがなされ続けることを切に求めます」(緊急避妊薬の薬局での入手を実現する市民プロジェクト共同代表・福田和子氏)と述べた。

 緊急避妊薬のスイッチOTC化をめぐっては、今国会の改正薬機法の議論でも論点となり薬局での恒久的な販売に関連する事項について衆参で附帯決議が採択されていた。

この記事のライター

関連する投稿


【日本薬剤師会】緊急避妊薬の調査事業を報告/「世の中の流れはスイッチ化と理解」

【日本薬剤師会】緊急避妊薬の調査事業を報告/「世の中の流れはスイッチ化と理解」

【2025.05.22配信】日本薬剤師会(日薬)は5月22日に定例会見を開催した。その中で緊急避妊薬の薬局販売にかかる調査事業について報告した。


【あすか製薬】緊急避妊薬のスイッチOTCの承認申請を公表

【あすか製薬】緊急避妊薬のスイッチOTCの承認申請を公表

【2025.05.15配信】あすか製薬は5月15日、 緊急避妊薬のスイッチ OTC について、製造販売承認申請を行ったと公表した。


【緊急避妊薬】スイッチOTC化に係る調査事業報告書が公表

【緊急避妊薬】スイッチOTC化に係る調査事業報告書が公表

【2025.05.14配信】厚生労働省は5月14日、緊急避妊薬のスイッチOTC化に係る環境整備のための調査事業である「令和6年度 緊急避妊薬販売に係る環境整備のための調査事業報告書」を公表した。令和5年度事業では購入者の約85%において、服用3~5週間後に産婦人科医を受診しておらず、また、避妊の成否を妊娠検査薬で確認していないなどの課題が抽出されていた。そのため令和6年度事業では妊娠の可能性に関しチェックリストやフロー等の資材を見直し。その結果、課題の改善がみられた。購入者の避妊成否確認については、販売後3~5週間後の調査において、6割が「確認した」と回答しており、また、その他2割も「今後確認する」と回答した。


【東京都薬剤師会】緊急避妊薬調査事業、協力医療機関数が250に

【東京都薬剤師会】緊急避妊薬調査事業、協力医療機関数が250に

【2025.02.07配信】東京都薬剤師会は2月7日に定例会見を開いた。この中で、緊急避妊薬販売にかかる環境整備のためのモデル的調査事業の協力医療機関リストを公開した。250の医療機関から協力を得た。


【八戸薬剤師会】緊急避妊薬の供給体制HPをバージョンアップ/医療機関リストも整備

【八戸薬剤師会】緊急避妊薬の供給体制HPをバージョンアップ/医療機関リストも整備

【2024.12.02配信】八戸薬剤師会(青森県、阿達昌亮会長)は12月2日までに同会HP上の緊急避妊薬の供給体制サイトをバージョンアップした。産婦人科医会の了解を得て、受診できる医療機関リストも整備した。


最新の投稿


【メディパルHD】渡辺秀一社長、リンパ腫診断を公表/長福副社長に代表権で代表取締役2名体制に

【メディパルHD】渡辺秀一社長、リンパ腫診断を公表/長福副社長に代表権で代表取締役2名体制に

【2025.05.23配信】メディパルホールディングスは5月23日、渡辺秀一社長がリンパ腫と診断されたことを公表。同日開催の取締役会において、長福恭弘副社長が代表権を持ち、代表取締役2名体制とするとともに、当面の間、長福恭弘氏が社長業務を代行するとした。


【維新】“OTC類似薬”問題、議論打ち切り方針/自公維3党社会保障協議で

【維新】“OTC類似薬”問題、議論打ち切り方針/自公維3党社会保障協議で

【2025.05.23配信】日本維新の会は5月23日、自民党・公明党との3党による社会保障改革協議に関連して、「OTC類似薬の保険適用の見直し」の論議を打ち切る方針を示した。協議後に岩谷良平幹事長が会見で明らかにした。


【日本薬剤師会】緊急避妊薬の調査事業を報告/「世の中の流れはスイッチ化と理解」

【日本薬剤師会】緊急避妊薬の調査事業を報告/「世の中の流れはスイッチ化と理解」

【2025.05.22配信】日本薬剤師会(日薬)は5月22日に定例会見を開催した。その中で緊急避妊薬の薬局販売にかかる調査事業について報告した。


【日本保険薬局協会】「OTCセルフケア推進委員会」新設

【日本保険薬局協会】「OTCセルフケア推進委員会」新設

【2025.05.21配信】日本保険薬局協会は5月21日に定時総会を開き、今期、22期の活動計画を報告した。この中で、「OTCセルフケア推進委員会」を新設したと公表した。


【日本保険薬局協会】“処方箋40枚規定”にも提言を「挑戦」/医療制度検討委員会

【日本保険薬局協会】“処方箋40枚規定”にも提言を「挑戦」/医療制度検討委員会

【2025.05.21配信】日本保険薬局協会は5月21日に定時総会を開き、今期、22期の活動計画を報告した。この中で医療制度検討委員会は、“処方箋40枚規定”に関する提言も「挑戦したい」とした。


ランキング


>>総合人気ランキング