東京都薬剤師会(都薬)は、緊急避妊薬販売にかかる環境整備のためのモデル的調査事業の協力医療機関リストを公開した。東京都産婦人科医会から協力医療機関リストの提供があったもの。リストは250医療機関に及ぶ。医会で“手挙げ”を募ったところ、250から協力意向が寄せられたという。
都薬としては、同研究事業のみならず地域の会員薬局にとって緊急避妊薬が必要な相談者に向けて適切な医療機関の紹介につなげたい考え。
都薬会長の髙橋正夫氏は、これまでの都薬の同調査事業への取り組み方針として、「地域の中で構築していかなければいけない」としてきたことに触れ、こうした方針が今回の連携の広がりにもつながったとの感触を示した。
「現在はテスト段階。予備段階での協力体制ではあるが、これがもしもOTC薬販売につながったとしても、そうならなくても、後ろに産婦人科医の方がいて、薬局から相談できる体制、薬局にお見えになった方に紹介できる体制ができたことはよかった」(髙橋会長)と話した。「東京都産婦人科医会の松本和紀会長からも、女性の健康に関する研修等で薬局と連携をとっていこうというお話をいただいている」とした。
「雨降って地固まると言った人もいたが、雨は降っていないが舗装はできたのではないかと思っている」と話した。
担当役員である都薬常務理事の犬伏洋夫氏は、「大切なリスト」と語り、「薬局からもこのリストでこういった良い事例があった、など(産婦人科医の方へ)フィードバックを差し上げなければいけないと思っている」と話した。
同調査事業については、都薬で1カ月間の実施ブランクができたことが報じられたこともあった。
一方で、都薬はスピード感ではなく、信頼関係構築を優先するとの方針を明確化してきた。
時間はかかったものの、東京都内での円滑な調査事業実施ができる体制ができたといえる。
同調査事業は、厚生労働省医薬局医薬品審査管理課委託事業「緊急避妊薬の適正販売に係る環境整備のための調査事業」で、日薬が受託しているもの。
日薬によると、令和6年度は協力薬局数は340薬局を見込み(一部調整中)、前年の145薬局から2.3倍以上となったとしていた。地域において連携する薬局、産婦人科医ごとに“1モデル”として実施で1モデルあたり薬局数は2〜6軒、連携産婦人科医は1医療機関が基本だが、都薬では20の実施薬局に対して3医療機関との連携に留まっており、実施において負荷がかかっている状況もあった。
今回のリストでは、調査事業の署名等、“紙”上での対応医療機関としての連携までいくものではないが、実質的には実施薬局が相談者に対して“つなげる”ことができる体制になる。また、令和7年度事業展開では連携が広がることの素地にもつながる可能性がある。
他方、都薬としては今回のリストは緊急避妊薬の調査事業に限定していく考え方ではなく、場合によっては医療機関サイドで周知拡大などを求めるような、例えばHPVワクチンの周知を薬局から実施するなどの女性の健康に関わる連携につなげたい考え。