【日本薬剤師会】「応需義務」の解釈明確化を厚労省に要望へ/カスハラ調査結果受け

【日本薬剤師会】「応需義務」の解釈明確化を厚労省に要望へ/カスハラ調査結果受け

【2025.06.19配信】日本薬剤師会(日薬)は6月19日に定例会見を開き、「薬局業務におけるカスタマーハラスメント発生時の対応事例に係るアンケート調査」の結果を説明した。この結果を受け、日薬では応需を拒否することの正当な範囲の明確化を厚労省に求めていく考え。医師においては令和元年に関連の医政局長通知が出ている。薬剤師に関してもそれらにならった形での通知等の発出が想定される。


 昨今、カスタマーハラスメント(カスハラ:顧客等からの著しい迷惑行為)は、深刻な社会問題となっている。一方、薬剤師法第 21条においては、「調剤に従事する薬剤師は、調剤の求めがあった場合には、正当な理由がなければ、これを拒んではならない」と規定されており、薬剤師にはいわゆる「応需義務」が課されている。日薬としては、今回の調査結果を踏まえ、医療提供体制の変化や薬剤師の働き方改革といった観点から必要な検討を進めていきたい考え。
 また、厚生労働省との協議をはじめとする関係機関との連携のもと、適切な対応を講じていくとしている。

 調査では、薬局業務においてカスタマーハラスメント行為が発生し、調剤の対応が困難だった事例を聞いている。調査対象は、日本薬剤師会会員。調査対象期間は、令和6年3月1日~アンケート回答日までの約1年間。回答期間は令和7年2月26日(水)~3月16日(日)まで。回答数は1566件。

 カスハラの状況では、カスハラに該当する行動をはたらいた者は、男性が1118件(71.4%)、年齢は70代が429件(27.4%)、60代が364件(23.2%)、50代が314件(20.1%)であり、中高年男性によるハラスメントが特に多かった。
 カスハラの行動としては、大声、暴言、脅迫的言動が最も多く 974件(62.2%)、続いて、過剰、不当な要求が657件(42.0%)、不当なクレーム(調剤や販売等)が495件(31.6%)、長時間の拘束が437件(27.9%)、人格否定・屈辱的言動436件(27.8%)であった。

 現場からの主な要望としては、調剤拒否の明確化と法整備が多かった。
 「カスハラを正当な拒否理由として明文化してほしい」「拒否可能な具体的な事例(例:暴言、支払拒否、業務妨害等)を示してほしい」「法律や制度の見直し(薬剤師法第 21条、応需義務の例外規定等)も視野に検討してほしい」などの声があった。
 また、周知・啓発の強化を求める声も多かった。「カスハラ行為に関する啓発ポスターや掲示物の作成と活用」「薬局も医療提供施設であるという認識の社会的啓発」「 厚生労働省をはじめとした関係機関との、事例の共有や対策に向けた全国的な連携の強化」など。
 現場支援と実務的対応策として、カスハラ事例集や対応マニュアルの整備などを求める声もあった。

 今後の対応としては、応需義務の範囲の明確化を求める考え。薬剤師は、薬剤師法第 21条により、「正当な理由」がなければ調剤を拒否できないとされているが、医師は厚労省医政局長通知により診療を拒否することができる事例が示されている。一方、薬剤師は、それがなく、結果として、暴言・威圧・金銭不払いなどへの対応に苦慮しているとの問題がある。
 日薬としては、今回の調査により、カスハラの対応によって他の患者への影響や、従事者への精神的負荷が深刻化していることが明らかとなったことに加え、さらに薬局業務におけるカスハラの問題は、対人業務の範囲にとどまらず、薬局従事者の人権や安全の確保はもとより、地域の医療提供体制の維持、さらには地域社会との連携にも深く関わる、極めて重大な課題であるとし、薬剤師法第21条の法的な性質を踏まえ、どのような場合に調剤の求めに応じないことが正当化されるか否かについて整理し明確化するなど、早急に現場の実態を踏まえた実効性のある対応をすることが必要であるとの見解を示している。

この記事のライター

関連するキーワード


日本薬剤師会 カスハラ

関連する投稿


【日本保険薬局協会】「コンサータ錠」、薬局間譲渡の特例措置を要望

【日本保険薬局協会】「コンサータ錠」、薬局間譲渡の特例措置を要望

【2026.06.11配信】日本保険薬局協会は6月11日、定例会見を開き、「コンサータ錠」の登録薬局間の在庫調整等に関する要望を公表した。このあと、厚生労働省の担当部局などに提出し、対応を求めるという。


【日本薬剤師会】「要指導・一般用医薬品」総合手引きを公表/岩月会長「意識新たにする機会に」

【日本薬剤師会】「要指導・一般用医薬品」総合手引きを公表/岩月会長「意識新たにする機会に」

【2026.05.22配信】日本薬剤師会は5月22日に定例会見を開き、「要指導・一般用医薬品等販売の総合手引き」を公表した。


【日本薬剤師会】会長候補者選挙、現職の岩月氏が挙手多数で当選

【日本薬剤師会】会長候補者選挙、現職の岩月氏が挙手多数で当選

【2026.03.29配信】日本薬剤師会は3月29日、臨時総会にて次期会長候補者選挙を行った。その結果、唯一の立候補者となっていた現職の岩月進氏が挙手多数で当選した。正式な就任は6月の総会となる。


【日本薬剤師会】ドーピング防止カードを作成

【日本薬剤師会】ドーピング防止カードを作成

【2026.03.25配信】日本薬剤師会は3月26日に会見を開いた。この中でドーピング防止カードを作成したことを報告。使用活用を促している。


【ウエルシアHD傘下の薬局不祥事】日薬岩月会長、「これから薬事監視入る」と予測

【ウエルシアHD傘下の薬局不祥事】日薬岩月会長、「これから薬事監視入る」と予測

【2026.03.11配信】日本薬剤師会は3月11日に定例会見を開いた。この中で会長の岩月進氏はウエルシアホールディングス子会社のコクミンにおける薬局不祥事について言及し、「おそらくこれから地元の厚生局などから薬事監視が入って人員の確保ができているかどうかを確認されると思う」と予測した。根本的な原因に人手不足があり企業責任は明白との考え。


最新の投稿


【厚労省】防風通聖散と大柴胡湯をセルメ税制の対象外に

【2026.06.19配信】厚生労働省は「第5回セルフケア・セルフメディケーション推進に関する有識者検討会」を令和8年6月15日〜令和8年6月19日まで非公開で開催し、このほど議事要旨を公開した。税制の対象から除外する非スイッチOTC医薬品について議論し、防風通聖散と大柴胡湯をセルメ税制の対象外にすることとした。


【薬学生が健康イベント参加】福岡大学、将来のキャリア意欲育成するプログラム

【薬学生が健康イベント参加】福岡大学、将来のキャリア意欲育成するプログラム

【2026.06.19配信】福岡大学薬学部の薬学生がこのほど、健康イベント「HakataCCo」に薬学生が参加した。学生が将来のキャリアに必要な意欲、態度、能力を育成することを目的とした課題解決型プログラムの一環。


【マンジャロ適用外使用問題】「医師の裁量権どころか常識を疑うような投与も」/厚労省部会で指摘

【マンジャロ適用外使用問題】「医師の裁量権どころか常識を疑うような投与も」/厚労省部会で指摘

【2026.06.18配信】厚生労働省は6月18日に令和8年度第1回薬事審議会医薬品等安全対策部会を開き、GLP-1受容体作動薬における適用外使用について議題とした。


【一般薬_2類変更】ロキソニン、ガスター、トランシーノで要望/新スキームで受付

【一般薬_2類変更】ロキソニン、ガスター、トランシーノで要望/新スキームで受付

【2026.06.18配信】厚生労働省は6月18日、令和8年度第1回薬事審議会医薬品等安全対策部会を開催し、一般用医薬品のリスク区分変更に関する要望受付状況を公表した。


【厚労省_開催】電子処方箋オンライン説明会「改定でどう変わる?業務・経営面のポイント」

【厚労省_開催】電子処方箋オンライン説明会「改定でどう変わる?業務・経営面のポイント」

【2026.06.17配信】厚生労働省は6月17日までに電子処方箋の運用開始や導入準備に関するオンライン説明会を開催すると告知した。


ランキング


>>総合人気ランキング