薬局の“能力”との言葉は「業界全体の体制の意図」/保険外しの対応「そんなに簡単な話ではない」
日本薬剤師会会長の岩月進氏は、OTC類似薬の保険適用除外は、医療アクセスの改善につながらないことから、反対との立場を示した。
自身の講演の中で「薬局のOTC販売能力に懸念」との言葉を使ったことについては、「個々の薬局や薬剤師の能力を指したわけではない」と説明。
「能力という言葉を使ったことは適切ではなかったかもしれない」としつつも、「業界全体で対応できるのか、という体制のことだ」とした。
「例えば消炎鎮痛剤や風邪薬などだけを保険適用外にするとしても、影響は非常に大きい。そんなに簡単な話ではない」(岩月会長)とした。薬局ではOTC薬48薬効を配置する施策が進んでいるが、それで十分かどうかの検証も必要であり、ドラッグストアにおいても薬剤師等の確保など、体制が十分かなどについては懸念が残るとした。
編集部コメント/セルフメディケーションの推進につなげるには環境整備併行が不可欠
OTC薬をめぐっては、日薬ではこれまで、スイッチOTCの推進やOTC薬を含めて地域に過不足ない医薬品提供を目指す「地域医薬品提供計画」を進めている最中にある。
濫用の問題などが社会問題化する中、これまで以上にどのように薬剤師などの専門家が適切に関与することでOTC薬の使用促進につなげるかが検討されている。
この中にあって、関係者の中には「OTC類似薬の保険適用除外」が、スイッチOTCのブレーキになるのではないかとの懸念がある。単なる医療費負担の増加に止まり、専門家が適切に関与した上でのセルフメディケーションの推進につながらないのではないかとの見方もある。
スイッチOTCに関して日薬はこれまで、薬剤師によるかかりつけ機能を発揮し医療用医薬品とOTC医薬品の情報を一元的・継続的に把握することが重要とするとともに、場合によっては受診勧奨を行うなど医師との連携を図り、使用者がスイッチOTC医薬品を安全に安心して使用できる環境を整えることが重要との考えを示してきた。