薬局は物価・賃金上昇で前年比で損益悪化
日本薬剤師会は実調への見解について、資料を提示。
まず、薬局全体として前年比で減少傾向にあることを指摘。「保険薬局の直近の損益状況は、全体平均(法人)で+5%程度という状態を維持しているが、対前年比は減少傾向にあり、賃上げ・物価高への対応の影響により厳しい経営状態が続いている」としたほか、「全体平均と比べると、特に最頻階級の損益差額の規模は非常に小さく(+2%程度)、また、保険薬局の3割弱が赤字に陥っており、極めて厳しい経営状況にある」と指摘した。
給与費が上昇している一方、待遇改善が他産業に及んでいないことも訴えた。「同一グループの店舗数規模、調剤基本料の区分などの違いにかかわらず、すべての薬局において給与費が増加しており、従業員の賃上げに積極的に取り組んでいることが確認できる。しかし、その内訳を見ると、管理薬剤師または薬剤師の処遇改善よりも事務職員の賃上げ対応を優先しており、いずれの薬局においても他業種への人材流出に苦慮している様子が窺える(管理薬剤師・薬剤師は年額14,500円程度、事務職員は年額27,200円の賃上げ規模に留まっている)」とした。
「地域医療における医薬品提供体制の中核を担う保険薬局のうち、特に『1店舗』および『2~5店舗』の損益状況は厳しく、経営基盤は極めて脆弱。このままでは、さらなる賃上げ・物価高に対応することは極めて困難であり、地域医療における医薬品供給に支障をきたすことになる」とした。
加えて、「また、依然として医薬品供給不足の状態が続いており、医薬品の確保に係る業務および備蓄医薬品の管理コストもさらなる負担増となっている」とも述べた。