【チェーンドラッグストア協会】調剤報酬改定で会見

【チェーンドラッグストア協会】調剤報酬改定で会見

【2026.02.23配信】日本チェーンドラッグストア協会は2月20日に会見を開き、「令和8年度調剤報酬改定に対する見解」を公表、説明した。


 「見解」は以下の通り。

2026年2月20日
「令和8年度調剤報酬改定に対する見解」
一般社団法人 日本チェーンドラッグストア協会
副会長兼調剤報酬委員長 関口周吉

 日本チェーンドラッグストア協会では、令和8年度診療報酬改定に向け、令和4年度に導入された300店舗以上の区分に関わる調剤基本料3の区分の廃止、ならびに敷地内薬局を有するグループ薬局に対する連座制導入の阻止等を求め、継続的に活動してまいりました。
 現行の調剤基本料は、同一の機能・サービスを提供しているにもかかわらず、企業規模のみを理由として若しく低い点数が設定される仕組みとなっています。本来、調報酬は個々の薬局の機能に基づき評価されるべきであり、こうした区分は制度としての公平性を欠くものです。さらに、グループ化による経営効率化は、医療 DX や在宅医療への投資を可能とする重要な企業努力であるにもかかわらず、現行制度はこれを阻害しています。
 このたび、令和8年度診療報酬改定に関する中央社会保険医療協議会の答申が2月13日に示されました。これを踏まえ、これまでの当協会の要望を踏まえた当協会の見解は、以下のとおりです。



I.全体を通じて

 本改定においては、薬局・薬剤師の機能拡大の結果として算定されてきた各種加算が減少し、これに代わって調剤基本料や、一定の基準を満たせば算定可能な項目へと重点が移されています。その結果、これまで努力を重ねて薬局機能の拡大を図ってきた薬局が、改定後に大幅な減算となる一方、十分に機能を発揮していない薬局の方が収益面でプラスとなる改定内容となっています。本来、国が求める方向性に沿って通営している薬局こそが正当に評価され、報酬が付与されるべきであるにもかかわらず、加算取得状況が経営に与える影響について十分な議論がなされないまま、単に店舗数や集中率のみを基準に収益力を評価し、点数配分が行われたことについては、誠に遺憾です。

II. 個別項目に関して

1. インフレ対応について

 物価高騰や賃金上昇に対応してプラス改定が行われた点については、一定の評価をいたします。しかしながら、インフレが長期化する中においては、当該対応のみでは医療提供体制を安定的に維持するには不十分であり、制度全体として持続可能性を確保する観点から、今後も継続的かつ実効性のある対応が不可父であると考えます。


 また、調剤ベースアップ評価料は、当該保険薬局に勤務する職員(40歳未満の勤務薬剤師および事務職員等)に限定されているものの、チェーン薬局においては、本部人員を含めた一体的な運営体制の下で各薬局の機能が維持されています。現行の取扱いは、実態を十分に踏まえたものとは言えず、制度としての公平性を欠くものです。運営する薬局を支える本部に勤務する対象職員(40歳未満の勤務薬剤師および事務職員等)についても算定対象とするよう、強く求めます。
 併せて、薬局にとっては初めての制度であることを踏まえ、チェーン企業にとっても活用しやすく、制度趣旨に沿った実効性のある仕組みとなるよう要望いたします。

2.調剤基本料について

 当協会に加盟する企業の薬局に多い調剤基本料3ーハについて、面分業を促進する観点から点数が1点引き上げられたこと(物件費の高騰対応1点を加えると合計2点)は、評価いたします。
 しかしながら、当協会が一貫して是正を求めてきた 300店舗以上の区分に関わる調剤基本料3については、処方箋受付回数 40万回/月等の要件が引き続き維持され、結果として当該区分が実質的に温存されました。このことは、薬局が果たすべき機能や提供している医療サービスの内容とは無関係に、企業規模のみを基準として評価を下げるものであり、著しく合理性を欠き、制度としての公平性を大きく損なうものと考えます。
 また、本区分は、経営努力による効率化や医療DX、在宅医療への投資を行ってきた薬局を不当に低く評価する結果となっており、国が掲げる医療提供体制の効率化・高度化の方針とも明らかに矛盾しています。
 こうした状況を踏まえ、調剤基本料における規模要件による区分は速やかに廃止し、薬局ごとの機能・役割・実績に基づく公平かつ透明な評価体系へ抜本的に見直すことを、強く要望いたします。

3. 地域支援体制加算について

 地域支援体制加算は、調剤基本料の区分と連動させることで、チェーン薬局に対して一律に低い評価を与えており、企業規模のみを理由とした極めて不合理かつ差別的な制度であり、到底容認できません。本改定においても、地域支援体制加算 3・4は地域支援・医薬品供給対応体制加算4・5へ形式的に置き換えられたにすぎず、不公平な取扱いは何ら是正されていません。本加算は薬局の機能を評価するものである以上、調剤基本料の区分とは切り離し、薬局ごとの機能・役割・実績に基づく一元的かつ公平な要件へ、速やかに見直すことを強く求めます。
 かかりつけ薬剤師および管理薬剤師の在籍要件の変更については、深刻な人手不足が常態化している現場の実情を全く顧みないものであり、柔軟な勤務形態を著しく阻害するものです。これは、将来的な労働人口の減少を見据えた医療提供体制の構築とも明らかに逆行しており、制度として到底容認できません。現場の混乱と機能低下を招かないよう、十分かつ実効性のある経過措置を講じるとともに、速やかな見直しを強く求めます。

4.敷地内薬局を有するグループ薬局への連座制について

 敷地内薬局が一つでも存在する場合に、グループ薬局全体の調料基本料を一律に引き下げる制度の導入が見送られたことについては、評価したいと考えます。

5.都市部への出店規制について

 門前薬局等立地減算による都市部への新規開局を抑制する不当な減算項目が、関係団体との十分な議論を一切経ることなく、突如として提示されました。当協会は、この極めて拙速かつ不透明な制度導入の進め方に対し、強い憤りをもって断固抗議いたします。
 本規制は、過密地域における新規開局薬局の調剤基本料を大幅に引き下げるものであり、調剤報酬制度を用いた事実上の距離制限による開局規制に他なりません。これは、職業選択の自由および機会均等の原則に明確に反し、断じて容認できるものではありません。調剤報酬は本来、薬局の機能や提供する医療サービスの内容に基づき評価されるべきであり、距離や立地といった本質と無関係な要素による減点は、制度の合理性および公平性を著しく損なうものです。
 さらに、本規制は、患者にとって通院動線上や医療機関の近隣において薬局を選択できる利便性を低下させ、待ち時間の増加や移動負担の増大を招くおそれがあります。とりわけ高齢者や慢性疾患を有する患者、複数医療機関を受診する患者にとって、身近な場所に複数の薬局が存在することは重要であり、薬局の新規参入を抑制することは、患者の選択肢を狭め、結果として医療の質や利便性の低下につながりかねません。
 また、本規制は既存事業者の既得権益を温存する一方で、将来開業を志す薬剤師の参入機会を不当に奪い、薬局間の健全な競争を阻害することで、サービス向上や患者満足度の改善を妨げるものです。これは医療提供体制の健全な新陳代謝を阻害するのみならず、長期的には患者利益にも反する結果を招くものと考えます。
 加えて、一般的に薬局開局は数年前から計画されることが多く、既に数年先の開局が確定している案件も少なくありません。このような実態を無視した制度変更は、事業者のみならず、当該地域において新たな薬局の開設を期待していた患者や医療機関にも重大な混乱をもたらします。したがって、少なくとも改定施行後、既に着工・契約済みの条件を対象とした恒久的な適用除外、あるいは少なくとも令和10年度改定までの十分な経過措置を強く求めます。

6. 在宅調剤の推進等に関して

 社会保障上の喫緊の課題である在宅医療の推進に向け、在宅薬学総合体制加算2の拡充、無菌製剤処理加算の対象範囲の拡大、訪問薬剤管理医師同時指導料および複数名薬剤管理指導訪問料の導入が盛り込まれたことについては、一定の評価をいたします。
 しかしながら、在宅調剤は人員確保や専門的対応など多大な人的・物的負担を伴うにもかかわらず、現行の評価は依然として十分とは言えません。在宅医療を真に推進するのであれば、現場の実態を踏まえた更なる評価の拡充が不可欠であり、今後の改定において抜本的な見直しを強く求めます。

 また、薬剤師の機能拡大につながる処方箋様式の変更による残薬調整の円滑化および吸入薬管理指導加算の適用拡大については、薬剤師の専門性発揮の観点から大いに評価するものであり、今後も同様の方向性での制度整備を強く要望いたします。

 当協会は、調剤報酬制度の本来の趣旨に立ち返り、薬局の機能および提供する医療サービスの実態に即した、合理性と公平性を備えた制度設計へ抜本的に見直すことを強く求めます。併せて、今後の改定に当たっては、当協会を含む関係団体を排除することなく、十分かつ実質的な協議の場を直ちに設けることを、断固として要求いたします。

この記事のライター

関連する投稿


【日本保険薬局協会】調剤報酬改定、「地方」に厳しい可能性/影響調査

【日本保険薬局協会】調剤報酬改定、「地方」に厳しい可能性/影響調査

【2026.09.10配信】日本保険薬局協会は9月10日に定例会見を開き、令和8年度調剤報酬改定の影響調査を公表した。


【ドラッグストア協会】ドラッグストアの調剤規模9.1%増の1兆6586億円に/実態調査公表

【ドラッグストア協会】ドラッグストアの調剤規模9.1%増の1兆6586億円に/実態調査公表

【2026.09.01配信】日本チェーンドラッグストア協会は9月1日に定例会見を開き、「2025年度JACDS 実態調査結果」を公表。ドラッグストアの調剤規模については前年比9.1%増の1兆6586億円となった。


【日本保険薬局協会】調剤報酬改定影響調査/在総加算2が算定率22.1%→3.3%へ急激

【日本保険薬局協会】調剤報酬改定影響調査/在総加算2が算定率22.1%→3.3%へ急激

【2026.08.06配信】日本保険薬局協会は8月6日に定例会見を開き、「令和8年度調剤報酬改定に係る保険薬局への影響」の調査結果を公表した。在宅分野では、在宅薬学総合体制加算2の算定率が22.1%から3.3%へ大きく低下した。


【厚労省】調剤報酬改定疑義解釈「その10」発出/かかりつけ薬剤師フォローアップ加算についてなど

【厚労省】調剤報酬改定疑義解釈「その10」発出/かかりつけ薬剤師フォローアップ加算についてなど

【2026.07.17配信】厚生労働省は7月17日、令和8年度調剤報酬改定の疑義解釈「その10」を公表した。


【松本清雄氏】ドラッグストア協会・次世代部会の展望にコメント

【松本清雄氏】ドラッグストア協会・次世代部会の展望にコメント

【2026.06.15配信】日本チェーンドラッグストア協会は6月15日、総会後の会見を開いた。この中で松本清雄氏(マツキヨココカラ&カンパニー代表取締役社長)が協会の次世代部会についてコメントした。


最新の投稿


【日本保険薬局協会】調剤報酬改定、「地方」に厳しい可能性/影響調査

【日本保険薬局協会】調剤報酬改定、「地方」に厳しい可能性/影響調査

【2026.09.10配信】日本保険薬局協会は9月10日に定例会見を開き、令和8年度調剤報酬改定の影響調査を公表した。


【厚労省】“OTC類似薬”で処方箋様式案を提示/中医協

【厚労省】“OTC類似薬”で処方箋様式案を提示/中医協

【2026.09.09配信】厚生労働省は9月9日、中央社会保険医療協議会(中医協)総会を開き、“OTC類似薬”に関連する処方箋様式の改正案を示した。「一部保険外療養」の欄を追加する。


【OTC薬協】小学校へ出前授業/『健康教育に関する取り組み from TOKYO』

【OTC薬協】小学校へ出前授業/『健康教育に関する取り組み from TOKYO』

【2026.09.08配信】日本OTC医薬品協会(会⾧:上原 茂氏)は、『健康教育に関する取り組み from TOKYO』の取り組みに関するニュースリリースを発信した。大田区教育委員会(教育⾧:小黒 仁史氏)の協力のもと、2025年12月~2026年3月にかけて、区立小学校8校の5・6年生約850人を対象に「健康とくすり教室」を実施。取り組みの継続的な定着につなげるため、一般社団法人大田区薬剤師会(会⾧:田中 敏郎氏)および一般社団法人蒲田薬剤師会(会⾧:多田 善幸氏)の協力を得て、実施校の学校薬剤師にも授業を参観してもらったという。


【次世代薬局研究会】特別講演会「医薬品のドラッグロス、バックオーダー(供給不足・出荷調整)を考える」

【次世代薬局研究会】特別講演会「医薬品のドラッグロス、バックオーダー(供給不足・出荷調整)を考える」

【2026.09.08配信】次世代薬局研究会は10月18日(日)に特別講演会を開催する。テーマは、「医薬品のドラッグロス、バックオーダー(供給不足・出荷調整)を考える」。講師は日本製薬工業協会(製薬協) 産業政策委員会 委員長の草開義隆氏。


【茨城県薬】県と「性暴力等被害者支援に関する協定書」を締結/薬局等での緊急避妊薬の一般販売開始受け

【茨城県薬】県と「性暴力等被害者支援に関する協定書」を締結/薬局等での緊急避妊薬の一般販売開始受け

【2026.09.08配信】茨城県は9月7日、茨城県薬剤師会と「性暴力等被害者支援に関する協定書」を締結したと公表した。茨城県のほか、いばらき被害者支援センター、茨城県産婦人科医会、茨城県医師会、県警察で構成する「性暴力被害者サポートネットワーク茨城」に県薬も参画。県薬は相談窓口の周知や同意に基づく情報提供の役割を担う。


ランキング


>>総合人気ランキング