敷地内薬局、全て特別調剤基本料 Aの適用を原則に
1号(支払側)委員は意見書の中で、調剤に関しては、次の事項を重点事項として要望した。
以下の通り。
医療機関に依存する門前薬局から脱するために 10 年前に厚労省が「患者のための薬局ビジョン」で掲げた 「2025 年までに全ての薬局がかかりつけ薬局の機能を持つ」との目標は達成できておらず、むしろ敷地内薬局まで現れて目標に逆行している状況である。同ビジョンでは、今後10 年で薬局の立地を門前から地域へ移行させる目標も掲げられており、まずは早急に医療機関からの経営的な独立を担保する必要がある。病院と薬局の薬剤師偏在を是正することも念頭に入れ、大都市に小規模乱立する薬局を大規模化して薬局業務を効率化することも重要である。さらに、地域の医薬品供給拠点としての役割や一元的な服薬管理等の在宅を含めた本来の「かかりつけ薬剤師」機能を効果的に発揮できるようにすべきである。
・敷地内薬局の定義を厳格化し、医療モールを含めて特別な関係にある場合には、全て特別調剤基本料 A を適用することを原則とするべき。
・医療モールにある薬局は、処方箋枚数が上位3番目までに限らず、モール内にある全ての医療機関を集中率の分子に含めるべき。
・在宅患者については、訪問指導の有無にかかわらず、処方箋が複数枚の場合に1枚とカウントとするか、集中率の計算から除外して、分母を小さくすることにより、門前薬局等のすり抜けを是正すべき。
・医療資源が少ない地域で自治体が運営する医療機関の敷地内に薬局を誘致する場合には、条件を明確に定めることや機能としての独立性の担保、妥当な賃借料で契約することを前提として、通常の調剤基本料を例外的に認めることが妥当である。
・調剤基本料については、将来的に薬局の立地が変わっていくなかで一本化することが望ましいが、経営効率に応じた評価の徹底が必要であり、門前薬局の損益率が高いことを踏まえて調剤基本料2を適正化するべき。
・調剤処方箋 600 回超かつ集中率 85%の小規模薬局は、薬剤師の人数や医薬品の備蓄が少なく、効率的に後発医薬品を調剤している実態があり、特に損益率が高い大都市の場合は調剤基本料1から除外し、薬局の集約化・大規模化にもつなげるべき。
・後発医薬品調剤体制加算は廃止して減算の仕組みに移行し、後発医薬品の数量割合の維持は地域支援体制加算の基準として位置付けることも考えられる。
・地域支援体制加算について、地域の医薬品供給拠点としての機能を担保するために、一定以上の薬剤師の配置や調剤室の面積を要件化し、薬剤師の集約化と薬局の大規模化にもつなげるべき。セルフメディケーション関連機器の設置や高額薬剤の調剤が自薬局で対応できない場合の患者への案内等も推進するべき。
・特定薬剤管理指導加算3のロについて、長期収載品の選定療養の対象患者を引き続き算定対象とする場合、後発医薬品に変更した場合のみ算定できる実績評価に見直すべき。
・調剤管理料について、内服薬の処方日数に応じた評価区分を整理し、財政中立で一律点数にするべき。ポリファーマシー対策に逆行する懸念が払拭されない調剤管理加算は廃止するべき。
・重複投薬・相互作用等防止加算は、電子処方箋の普及により疑義照会の専門的判断や手間の減少を踏まえた適正化や、加算の位置づけを改めて明確化すべき。
・服用薬剤調整支援については、服薬回数を少なくする取組みや薬物療法への介入を強化し、着実な減薬と有害事象の抑制につなげるために見直すべき。
・服薬管理指導料については、服薬指導後のフォローアップによる副作用の検出を評価することや、吸入管理指導加算の対象にインフルエンザ等の急性疾患を追加することが考えられる。
・かかりつけ薬剤師指導料・かかりつけ薬剤師包括管理料は廃止し、かかりつけ薬剤師として実施した業務の内容を評価するべき。
訪問薬剤管理指導料の要件に時間外対応を
在宅医療のうち、「訪問薬剤管理指導」については以下を要望。
・在宅薬学総合体制加算2について、無菌製剤処理の実績が極めて乏しく、高い加算を算定するために無菌調剤設備を設置している可能性があることから、施設基準から無菌調剤設備を除外するべき。
・訪問薬剤管理指導を実施している薬局に夜間や休日に連絡がつかず、他の薬局が代わりに対応する事例がみられることを踏まえ、訪問薬剤管理指導料の要件に時間外対応を位置づけるべき。