【規制改革会議で】要指導薬の対面販売撤廃要望記載/楽天社長の三木谷氏が代表理事の新経済連盟

【規制改革会議で】要指導薬の対面販売撤廃要望記載/楽天社長の三木谷氏が代表理事の新経済連盟

【2021.03.23配信】内閣府規制改革推進会議は3月22日、「第9回 医療・介護ワーキング・グループ」を開いた。その中で、楽天会長兼社長の三木谷 浩史氏が代表理事を務める新経済連盟が提出した資料の中で、「要指導医薬品のオンライン販売の対面原則の撤廃」を記載していた。主な要望は医療分野における電子認証手段の見直しだったが、「デジタル完結型医療」を目指す中で必要な事項として、「オンライン医療の恒久化」「オンライン服薬指導の恒久化」「要指導医薬品のオンライン販売の対面」「医師・薬剤師の処方箋等に行う電子署名手段の多様化」を挙げていた。


個人のヘルスケアデータの中で医療の情報は文書で求める必要など開示に負担がある

 「第9回 医療・介護ワーキング・グループ」の議題は2つあった。
 
 1つは「患者の医療情報アクセス円滑化」、2つ目が「医療分野における電子認証手段の見直し」。

 「患者の医療情報アクセス円滑化」では、日本経済団体連合会が要望。

 マイナポータルを活用しAPI連携によって薬剤情報や特定健診情報を、個人起点のヘルスケア(パーソナルヘルスレコード)と連携していくことで健康管理や予防を推進していく構想を提示。事業主健診や地域の医療看護介護体制とも連携していくとした。

 その上で、個人が活用できるデータのなかで、医療機関側が保有している検査・画像・診療記録に関しては、申し立ての方法が書面との規定があったり、受領までに日数がかかることがあることなどを問題視。

 診療記録においても、請求や受領等のデジタル化を推進し、開示にかかる手続きの負担軽減により、個人が活用できる環境整備を要望した。

 これに対して、厚労省は、「記録に残る申し立ての方式として、文書による方式と並んで、メールによる申請を指針に例示することを念頭に、検討する」と回答した。受領にかかる日数については一律に規定することは困難としつつも、標準処理期間を定めるなど、一定の応答を求めることは可能との見解を示した。

 2つ目の議題が、医療分野における電子認証手段の見直しだ。

 新経済連盟が、デジタル完結の観点から、処方箋交付・調剤時の円滑なデジタル認証の実現が不可欠にもかかわらず、電子署名が普及していないことを障壁として挙げた。

 デジタル完結型医療を目指すべきとし、そのために必要な規制改革パッケージとして、4つを挙げた。「オンライン医療の恒久化」「オンライン服薬指導の恒久化」「要指導医薬品のオンライン販売の対面」「医師・薬剤師の処方箋等に行う電子署名手段の多様化」だ。

 電子署名が普及していない理由として、HPKIが普及しておらず、HPKI以外の認証手段が認められているかが不明確だとした。

 これに対し、厚労省は、「HPKIに関しては現時点で医師資格等が確認できる唯一の署名であるため推奨している」と説明。今後については、「HPKIカードのさらなる普及と併せ、クラウド型電子署名との組み合わせによる利便性の向上を検討していく」と回答した。マイナポータルを活用した国家資格確認手法も検討していくという。

 

******
 電子署名など、デジタル化が進展するなかで、医療領域もIT企業から重要な市場だと見られていることを感じる。
 ヘルスケアデータも融合が進む中、今後も、“医療情報の個人への提供促進”を突破口にした、IT企業による収集・活用が進んでいくことを感じる。

この記事のライター

関連する投稿


【規制改革推進会議】規制緩和求めた「住田町」 / “町唯一の”薬局「夜間休日対応、連携で可能」

【規制改革推進会議】規制緩和求めた「住田町」 / “町唯一の”薬局「夜間休日対応、連携で可能」

【2024.05.08配信】4月26日に開かれた内閣府の規制改革推進会議「健康・医療・介護ワーキング・グループ」(WG) では、「在宅医療における円滑な薬物治療の提供について」が議題の1つとなり、岩手県気仙郡住田町の町長から訪問看護ステーションへの薬剤ストックの提案がされた。同町で唯一である薬局が本紙取材に応えた。


【規制改革推進会議WG】スイッチOTC促進議論/令和8年末までOTC化目指す成分リスト公開

【規制改革推進会議WG】スイッチOTC促進議論/令和8年末までOTC化目指す成分リスト公開

【2024.03.29配信】内閣府規制改革推進会議「健康・医療・介護ワーキング・グループ」(WG)が3月28日に開かれ、スイッチOTCの促進について議論された。


【規制改革会議議事録】佐藤WG座長「成分の規制の必要も」/“濫用薬”の販売制度問題で

【規制改革会議議事録】佐藤WG座長「成分の規制の必要も」/“濫用薬”の販売制度問題で

【2024.01.24配信】内閣府規制改革推進会議は、1月24日までに令和5年12月26日開催の会議議事録を公開した。その中で「健康・医療・介護ワーキング・グループ」(WG)の佐藤主光座長は濫用のおそれのある医薬品成分の規制などについて指摘している。


【規制改革推進会議】12月21日にWG開催/一般用医薬品の販売制度で/YouTube公開

【規制改革推進会議】12月21日にWG開催/一般用医薬品の販売制度で/YouTube公開

【2023.12.19配信】内閣府規制改革推進会議は12月21日に、「健康・医療・介護ワーキング・グループ」(WG)をYouTube公開形式で開催する。


【規制改革推進会議】YouTube公開開催/スイッチOTC拡大や在宅医療などテーマ/12月11日(月)16:00~

【規制改革推進会議】YouTube公開開催/スイッチOTC拡大や在宅医療などテーマ/12月11日(月)16:00~

【2023.12.07配信】内閣府規制改革推進会議は12月11日に、「第3回 健康・医療・介護ワーキング・グループ」をYouTube公開にて開催する。テーマはスイッチOTC拡大や在宅医療の環境整備などについて。


最新の投稿


【厚労省】“研究用”抗原検査キット、薬機法で取り締まりの方向/該当性判断の上

【厚労省】“研究用”抗原検査キット、薬機法で取り締まりの方向/該当性判断の上

【2024.07.25配信】厚生労働省は7月25日に「厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会」を開催し、体外診断用医薬品の特性を踏まえた制度の見直しについて議論した。その中で「研究等の医療以外の用途を標榜する試薬の提供業者への対応」を議題とした。


【日薬】オーバードーズ問題でマニュアル作成を検討中

【日薬】オーバードーズ問題でマニュアル作成を検討中

【2024.07.24配信】日本薬剤師会は7月24日、都道府県会長協議会を開催した。


【厚労省】処方箋保存期間の検討を提示/薬局検討会

【厚労省】処方箋保存期間の検討を提示/薬局検討会

【2024.07.19配信】厚生労働省は、現在3年間となっている処方箋の保存期間について見直す方針を示した。「第7回薬局・薬剤師の機能強化等に関する検討会」で提示した。診療録の保存期間が5年となっている中、電子処方箋については処方箋を調剤済みとなった日から5年間保存するサービスを提供しているなどの環境変化を挙げている。今後、制度部会で議題とする方針。


【コンソーシアム】大阪市から調剤外部委託で4社8薬局が確認通知受領を公表

【コンソーシアム】大阪市から調剤外部委託で4社8薬局が確認通知受領を公表

【2024.07.19配信】薬局DX推進コンソーシアムは7月19日、大阪市から調剤業務一部委託事業の確認通知を受け取ったと公表した。


【日本保険薬局協会】健康サポート薬局と地域連携薬局「違いない」/厚労省検討会に意見書

【日本保険薬局協会】健康サポート薬局と地域連携薬局「違いない」/厚労省検討会に意見書

【2024.07.19配信】日本保険薬局協会は7月19日に開かれた厚労省「第7回 薬局・薬剤師の機能強化等に関する検討会」で意見書を提出した。「健康サポート薬局、地域連携薬局、地域支援体制加算届出薬局が描く薬局像は、小異こそあれ、分立させるほどの違いはない」とした。


ランキング


>>総合人気ランキング