日本薬剤師会は要望書の文書について説明。
「医薬品の安定供給に係る現状と課題」の中の「今後の課題、提案」として、以下の通りとした。
●国・製造販売業者・卸売販売業者においては、原因や出荷状況といった内容にとどまらず、「次回納品の時期や量」「解消の見通し」「流通状況」「代替薬」など、医療現場のニーズにあった正確な情報を迅速に提供いただきたい。
●「医薬品を製造する」という認識の希薄さ、企業風土の改善に向け、 行政による強制力のある業務改善命令も必要ではないか (たとえば、薬局に対する開設者変更のような措置)。
●また、自社の能力を過信し、 安易な製造ラインの拡大の結果生じた今回の事案に鑑み、安定供給の目途が立つまでの間、改善経過を確認でき、 適宜適切に指導ができるような行政指導も必要ではないか。
●薬価中間年改定による、 製造・流通に与える甚大な影響を考慮すべき (4大臣合意の範囲の遵守)。
●医療機関・薬局が供給不安に煽られることで過剰発注に繋がらないよう、 関連団体と協調して指導を進める。 そのためには、「正確かつ即時性」のある医薬品製造・流通状況を開示するための仕組みを国主導で構築することで、 流通に起因する出荷先制限や出荷規制、さらには過剰発注や製品の偏在の防止が可能になると考える。
加えて、「薬価差について」として次のように記載した。
●医薬品の安定供給に係る諸課題は、 「医薬品の迅速・安定供給実現に向けた総合対策に関する有識者検討会」において、 今後の薬価制度の在り方に関する全体的課題、革新的な医薬品の迅速な導入 (産業構造を起因とする課題・薬価制度を起因とする課題) 医薬品の安定供給 (産業構造を起因とする課題・薬価を起因とする課題)、薬価差の観点から、意見のとりまとめが進められている。
●現在の状況は、 これまでの様々な要因の結果として生じたもの。 永続的な医薬品の安定供給の実現のためには、医療保険制度のみならず産業構造等を含めた俯瞰的な議論が重要。
●具体的な制度改正にあたっては、単に「薬価差」 のみに焦点を当てた議論ではなく、広く医療保険制度における医薬品の果たす役割や、医療上の必要性・非代替性緊急性等も視野に、 地域医療提供体制・地域医薬品提供体制に悪影響をもたらすことのないよう、現場に及ぼしうる影響等を踏まえながら丁寧な議論をお願いしたい。

【日本薬剤師会】公明党厚労部会に要望/医薬品の安定供給で/「薬価差のみに焦点でなく広く提供体制への影響を踏まえた議論を」
【2023.03.30配信】日本薬剤師会は3月30日に定例会見を開き、3月28日に公明党厚労部会に医薬品の安定供給に係る現状と課題について要望を行ったことを説明した。同テーマに関するヒアリングを公明党から受けた格好。
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