【日本薬剤師会】公明党厚労部会に要望/医薬品の安定供給で/「薬価差のみに焦点でなく広く提供体制への影響を踏まえた議論を」

【日本薬剤師会】公明党厚労部会に要望/医薬品の安定供給で/「薬価差のみに焦点でなく広く提供体制への影響を踏まえた議論を」

【2023.03.30配信】日本薬剤師会は3月30日に定例会見を開き、3月28日に公明党厚労部会に医薬品の安定供給に係る現状と課題について要望を行ったことを説明した。同テーマに関するヒアリングを公明党から受けた格好。


 日本薬剤師会は要望書の文書について説明。
 「医薬品の安定供給に係る現状と課題」の中の「今後の課題、提案」として、以下の通りとした。

●国・製造販売業者・卸売販売業者においては、原因や出荷状況といった内容にとどまらず、「次回納品の時期や量」「解消の見通し」「流通状況」「代替薬」など、医療現場のニーズにあった正確な情報を迅速に提供いただきたい。
●「医薬品を製造する」という認識の希薄さ、企業風土の改善に向け、 行政による強制力のある業務改善命令も必要ではないか (たとえば、薬局に対する開設者変更のような措置)。
●また、自社の能力を過信し、 安易な製造ラインの拡大の結果生じた今回の事案に鑑み、安定供給の目途が立つまでの間、改善経過を確認でき、 適宜適切に指導ができるような行政指導も必要ではないか。
●薬価中間年改定による、 製造・流通に与える甚大な影響を考慮すべき (4大臣合意の範囲の遵守)。
●医療機関・薬局が供給不安に煽られることで過剰発注に繋がらないよう、 関連団体と協調して指導を進める。 そのためには、「正確かつ即時性」のある医薬品製造・流通状況を開示するための仕組みを国主導で構築することで、 流通に起因する出荷先制限や出荷規制、さらには過剰発注や製品の偏在の防止が可能になると考える。

 加えて、「薬価差について」として次のように記載した。
●医薬品の安定供給に係る諸課題は、 「医薬品の迅速・安定供給実現に向けた総合対策に関する有識者検討会」において、 今後の薬価制度の在り方に関する全体的課題、革新的な医薬品の迅速な導入 (産業構造を起因とする課題・薬価制度を起因とする課題) 医薬品の安定供給 (産業構造を起因とする課題・薬価を起因とする課題)、薬価差の観点から、意見のとりまとめが進められている。
●現在の状況は、 これまでの様々な要因の結果として生じたもの。 永続的な医薬品の安定供給の実現のためには、医療保険制度のみならず産業構造等を含めた俯瞰的な議論が重要。
●具体的な制度改正にあたっては、単に「薬価差」 のみに焦点を当てた議論ではなく、広く医療保険制度における医薬品の果たす役割や、医療上の必要性・非代替性緊急性等も視野に、 地域医療提供体制・地域医薬品提供体制に悪影響をもたらすことのないよう、現場に及ぼしうる影響等を踏まえながら丁寧な議論をお願いしたい。

この記事のライター

関連するキーワード


日本薬剤師会 供給不安

関連する投稿


【日本薬剤師会】“アクションリスト”、「早急に」作成・公表/地域医薬品提供体制強化で

【日本薬剤師会】“アクションリスト”、「早急に」作成・公表/地域医薬品提供体制強化で

【2025.04.10配信】日本薬剤師会は4月10日に定例会見を開き、地域医薬品提供体制強化のための「アクションリスト」について、「早急に」作成、公表したい考えを示した。


【日本薬剤師会】公式キャラクター「ふぁるみん」47都道府県ご当地版作成/LINEスタンプも

【日本薬剤師会】公式キャラクター「ふぁるみん」47都道府県ご当地版作成/LINEスタンプも

【2025.04.10配信】日本薬剤師会(日薬)は4月10日に定例会見を開いた。この中で公式キャラクターである「ふぁるみん」について、47都道府県ご当地版を作成したと報告した。日薬版ではLINEスタンプの配信も開始した。


【日薬_岩月進会長】「賃上げ・物価高騰に対応した財源を要望」/第105回臨時総会会長演述で

【日薬_岩月進会長】「賃上げ・物価高騰に対応した財源を要望」/第105回臨時総会会長演述で

【2025.03.15配信】日本薬剤師会は3月15日に第105回臨時総会を開いた。この中で会長の岩月進氏は会長演述を行った。医療分野における賃上げ・物価高騰に対応した適切な財源を、引き続き政府に要望していく考えを示した。薬剤師においては、「今後は、処方箋調剤にとどまらず、健康サポート機能のさらなる充実、さらには人口減少地域や山間へき地、島しょ部への対応、休日・夜間や在宅医療等における医薬品提供の確立や、 OTC 医薬品や検査薬や衛生用品などを含めた供給拠点としての地域の薬局が必要な機能を発揮できるよう体制を整えていかなくてはならない」とした。


【日本薬剤師会】カスハラ防止ポスターを作成/HPからダウンロード可能

【日本薬剤師会】カスハラ防止ポスターを作成/HPからダウンロード可能

【2025.02.25配信】日本薬剤師会(日薬)は2月25日、「カスタマーハラスメント防止啓発ポスター」を作成したと公表した。日薬のホームページからダウンロードを可能とした。


【日本薬剤師会】TV アニメ『薬屋のひとりごと』とコラボ/描き下ろしお薬手帳

【日本薬剤師会】TV アニメ『薬屋のひとりごと』とコラボ/描き下ろしお薬手帳

【2025.02.21配信】日本薬剤師会は2月21日、TV アニメ『薬屋のひとりごと』とのコラボレーション企画を実施すると公表した。「薬剤師や薬局の役割をより身近に感じていただくため」としている。


最新の投稿


【規制改革WG】事前処方・調剤の質疑への回答公表/在宅医療における円滑な薬物治療の提供で

【規制改革WG】事前処方・調剤の質疑への回答公表/在宅医療における円滑な薬物治療の提供で

【2025.05.01配信】規制改革推進会議「健康・医療・介護ワーキング・グループ(第5回)」が5月1日、開催された。その中で令和7年3月14日に開催された「第2回健康・医療・介護 WG」に関する委員・専門委員からの追加質疑・意見に対する厚生労働省の回答を公表した。


【東京都薬務課】健康食品試買調査結果、79%が違反/効能効果の標榜に販売店のチラシなども注意

【東京都薬務課】健康食品試買調査結果、79%が違反/効能効果の標榜に販売店のチラシなども注意

【2025.04.30配信】東京都薬務課は4月30日に定例会見を開き、都が毎年行っている健康食品試買調査の結果を説明した。124製品中、98製品、79%に不適正な表示、広告が発見されたという。医薬品的な効能効果の標榜を禁止している薬機法違反も多いが、景品表示法、食品表示法、特定商取引法などの違反も見られる、都では複数の法律で規制されている健康食品を取り扱う事業者に向けて講習会を開いており、講習会参加なども生かして法令遵守に取り組んでほしいとしている。


【厚労省_疑義解釈(その24)】DX加算のマイナ保険証利用率について

【厚労省_疑義解釈(その24)】DX加算のマイナ保険証利用率について

【2025.04.28配信】厚生労働省は4月25日、診療報酬改定についての「疑義解釈(その24)」を発出した。「医療DX推進体制整備加算」の施設基準の1つであるマイナ保険証利用率について回答。4月については在宅患者を分母から引いて構わないとしている。現在は通常の外来患者がマイナ保険証を利用した場合のみが反映されているため。5月以降については、居宅同意取得型のオンライン資格確認によるマイナ保険証利用件数が社会保険診療報酬支払基金から通 知するマイナ保険証利用率集計に含まれる予定。


【日本薬剤師会】電子お薬手帳ビューワー、他職種への周知を依頼

【日本薬剤師会】電子お薬手帳ビューワー、他職種への周知を依頼

【2025.04.26配信】日本薬剤師会は電子おくすり手帳簡易ビューワーアプリ「e薬 SCAN」について、他職種への周知依頼を都道府県薬剤師会宛てに発出した。


【財政審】 後発薬調剤体制加算等、政策目標の達成状況を踏まえ「必要に応じ報酬体系の再編を」

【財政審】 後発薬調剤体制加算等、政策目標の達成状況を踏まえ「必要に応じ報酬体系の再編を」

【2025.04.23配信】財務省は4月23日に財政制度等審議会「財政制度分科会」を開催した。


ランキング


>>総合人気ランキング