【ウエルシアHD決算説明会】「後発薬加算の減算」で月1.6億円の減収要因に/かかりつけ指導料算定加速での対応も検討

【ウエルシアHD決算説明会】「後発薬加算の減算」で月1.6億円の減収要因に/かかりつけ指導料算定加速での対応も検討

【2021.07.12配信】ウエルシアホールディングスは7月12日に、2022年2月期第1四半期の連結業績(2021年3月1日~2021年5月31日)の説明会を開催した。この中で後発医薬品体制加算の減算議論に関して質問が出ると、「85%以上の使用率でなければ加算対象にならないと仮定すると月に1億6000万円の減収要因になる」との見方を示した。さらに、この対策として、かかりつけ薬剤師指導料の対応強化を検討しているとした。


物販の苦戦を調剤がカバー

 ウエルシアホールディングスの2022年2月期第1四半期の連結業績(2021年3月1日~2021年5月31日)は、売上高2488億6100万円で前年同期比+7.0%だった。

 前期はコロナの感染拡大によって食品などの特需があったため、今期は特需の反動減があったが、これを調剤事業がカバーした格好。
 例えば品目別の売上では、食品が前期比−1.2%だった一方で、調剤は+1.9%という結果だった。

 調剤併設店舗に関しては、この四半期で46店舗増加しており、41店舗としていた計画を上回る出店を実施。通常は四半期での調剤併設増加は10店舗程度だといい、調剤併設方針が加速していることがうかがえる。調剤併設率は76.3%となった。

 背景には薬剤師の採用が順調に進んでいることを挙げた。

 今期の取り組みとしては、新たなPB品シリーズの「からだWelcia」と「くらしWelcia」を拡充していく方針を示し、今期中に100アイテム上市を目指すとした。
 同シリーズは6月28日に、5品目の発売から開始しており、健康や環境に配慮する製品となっている。
 
 グループ会社同士の良さを生かし合う多様性の受け入れやウエルカフェ、「イオン1%クラブ」、さらには食品ロスなどの環境問題を通して社会課題解決に取り組んでいく考えを示した。

 価格競争が激化していることに関しては「根底にあるデフレは少子高齢社会においてどうか。安易な値引きではなく、サービスの質に見合ったフェアプライスが持続的な企業の成長と同時に地域社会と取引先などのステークホルダーとの良好な関係構築につながる」との考えを示した。

 ドラッグストア業界の低価格志向や北関東でのコスモス薬品の出店攻勢に関して質問が出ると、同社社長の松本忠久氏は、「専門総合店舗という理念に基づき、調剤併設推進のほか、カウンセリング販売に磨きをかけていくという決意に変わりはない」として価格ではない競争を行っていく考えを示した。

かかりつけ推進で課題となる「24時間対応のルール」にもメド

 出席していたアナリストからは、後発品調剤体制加算の減算という議論やリフィル処方の提案などが出ていることなど、調剤事業への影響に関する質問が出た。

 同社は「後発医薬品使用に関しては75%、80%、85%と3段階の使用率に応じた加算があるが、仮に85%以上の場合にしか加算を算定できないとすると当社では月に1億6000万円の減収要因になると試算している。ここに対して何も策を講じないのではなく、かかりつけ薬剤師指導料を積極的に加算していくことを考えている」と話した。「かかりつけ推進において24時間対応のルール作りや携帯電話の費用などについてもメドが立った」とも話した。

 リフィル処方箋については、「(そうなれば)対応できるように体制をとっていきたい」と話した。

この記事のライター

関連する投稿


【厚労省】保険調剤の指導指摘事項を公表/承認内容と異なる用法・用量で処方されているものの確認など

【厚労省】保険調剤の指導指摘事項を公表/承認内容と異なる用法・用量で処方されているものの確認など

【2025.07.25配信】厚生労働省は7月24日、「「保険診療の理解のために(令和7年度版)」及び「令和6年度特定共同指導・共同指導における主な指摘事項」を公表した。令和6年度 特定共同指導・共同指導(薬局)における主な指摘事項となっており、当時の施設基準、算定要件等に基づき行った指導において指摘した事項であることに留意が必要となる。


【厚労省】カットオフ値“算出リスト”改定/令和7年4月調剤分から適用可

【厚労省】カットオフ値“算出リスト”改定/令和7年4月調剤分から適用可

【2025.05.26配信】厚生労働省は5月26日、カットオフ値の算出に含める品目リストを改定した。当該リストは令和7年4月調剤分から1月単位で適用可能。後発医薬品調剤体制加算算定の要件であるカットオフ値をめぐっては、令和7年度薬価改定で多数の品目で薬価の下支え措置が講じられたため、算定できない薬局が生じているとの指摘があった。


【中医協】日薬・森氏、後発薬加算「カットオフ値」の急減店舗の発生を問題視、対応求める

【中医協】日薬・森氏、後発薬加算「カットオフ値」の急減店舗の発生を問題視、対応求める

【2025.04.23配信】厚生労働省は4月23日、中央社会保険医療協議会(中医協)総会を開いた。この中で日本薬剤師会副会長の森昌平氏は、後発医薬品調剤体制加算の要件である「カットオフ値」が急減している店舗があることを説明し、問題視。対応を求めた。


【ウエルシアHD】池野隆光代表取締役が退任

【ウエルシアHD】池野隆光代表取締役が退任

【2025.04.18配信】ウエルシアホールディングス株式会社は4月18日、代表取締役の異動(退任)に関するお知らせを公表した。


【後発薬加算】除外リスト、カットオフ値リスト更新/4月16日から適用/後発薬有無情報も更新

【後発薬加算】除外リスト、カットオフ値リスト更新/4月16日から適用/後発薬有無情報も更新

【2025.04.16配信】厚生労働省は4月15日、診療報酬における加算等の算定対象から除外する品目の一覧、及びカットオフ値の算出に含める品目リスト、その他 (各先発品の後発医薬品の有無に関する情報)リストを更新した。4月16日から適用となる。


最新の投稿


日本初のOTC緊急避妊薬「ノルレボ」新発売/第一三共ヘルスケア

日本初のOTC緊急避妊薬「ノルレボ」新発売/第一三共ヘルスケア

【2025.12.18配信】 第一三共ヘルスケア株式会社(本社:東京都中央区、社長:内田高広氏)は12月18日、日本初となるOTC緊急避妊薬「ノルレボ」(要指導医薬品)を2026年2月2日(月)に発売すると公表した。価格(メーカー希望小売価格)は1錠 6800円(税込み 7480円)。


【厚労省】長期収載品の選定療養「患者負担2分の1以上」提案/中医協

【厚労省】長期収載品の選定療養「患者負担2分の1以上」提案/中医協

【2025.12.17配信】厚生労働省は12月17日に中央社会保険医療協議会(中医協)総会を開き、長期収載品の選定療養についてを議題とし、「患者負担2分の1以上」を提案した。


【保険薬局協会】地域加算「基本料1」と「それ以外」で点数・実績要件統一を/次期改定要望

【保険薬局協会】地域加算「基本料1」と「それ以外」で点数・実績要件統一を/次期改定要望

【2025.12.11配信】日本保険薬局協会は12月11日に定例会見を開き、会長の三木田慎也氏が次期調剤報酬改定の要望事項を説明した。調剤基本料に紐づいて区分のある地域支援体制加算について、「基本料1」と「それ以外」での要件や点数を統一することを求めた。


【病院薬剤師会】診療報酬改定議論「期待」/転所時評価などの要望反映で

【病院薬剤師会】診療報酬改定議論「期待」/転所時評価などの要望反映で

【2025,12.10配信】日本病院薬剤師会(日病薬)は12月10日に定例会見を開き、厚労省中医協で議論の進んでいる次期診療報酬改定について、期待できるとの見方を示した。日病薬が要望事項に挙げていた転所時の情報共有への評価などが俎上にのっていることなどを評価した。


【基本料1問題】大阪府薬に続き都薬も「断じて反対」表明

【基本料1問題】大阪府薬に続き都薬も「断じて反対」表明

【2025.12.07配信】東京都薬剤師会(都薬)は12月5日に定例会見を開き、中医協で規模の小さな薬局が該当することが多い「調剤基本料1」の除外範囲を拡大するとの議論について言及。特に大阪府と東京都に該当地域のある「特別区」が名指しされていることについて、都薬会長の髙橋正夫氏は、「大阪府薬が会見で“絶対に許さない”と表明されているが、都薬も同じ考えだ」と話した。


ランキング


>>総合人気ランキング