同日の中医協では「令和6年度診療報酬改定の結果検証に係る特別調査(令和6年度調査)の結果」が報告された。
この中には「後発医薬品の使用促進策の影響及び実施状況調査報告書」 が含まれている。
調査結果では、いまだ供給不安が生じていることが浮き彫りになった。現時点での後発医薬品の供給体制について聞いた質問では、「支障を来たしている」が84.1%。「1年前(令和5年11月1日)と比較した後発医薬品の供給体制についての質問では、「悪化した」は43.1%あった。
こうした結果を受け、日本薬剤師会副会長の森昌平氏は、「後発品の供給問題が発生してから4年を経過しているが、84.1%の薬局が後発品の供給体制に支障をきたしていると回答している。また1年前との比較でも悪化したと変わらなく支障をきたしていると回答している薬局が92.6%にのぼっている」と窮状を訴えた。「現場感覚としても次々に限定出荷、出荷停止、販売中止が続き、全く改善していないと感じている」(森副会長)とした。
加えて、昨年10月に導入された長期品の選定療養について、「これまで対象だった医薬品が令和7年度薬価改定の結果、対象外となったため、現場では新たに患者への説明や対応に追われている」と指摘した。患者にとっては、これまで対象だった医薬品が4月をまたぐことで、なぜ対象外になってしまうのか、理解が難しい点があることは薬局現場からも指摘が出ている。
さらに、森副会長は後発医薬品調剤体制加算の要件である「カットオフ値」についても取り上げた。
「カットオフ値については、薬価の下支えによって先発と後発の薬価が逆転した。従来、(これらは)特例的な取扱いの対象とされていたが、4月からかなり多くの品目が対象から外されており、カットオフ値がかなり影響を受けている状況だ」と説明。「そのため業界紙報道では、中央値・平均値共に大きく減少して、薬局によってはカットオフ値が74%だったものが48%へ、26%急減したところもあった」と影響の大きさを指摘。「3月まで(薬局で)同じようなことをしていても、4月に1日変わっただけで大きく変わってしまっている現状がある。安定供給に大きな支障を来たしている中、現場では後発薬品の使用促進、それから選定療養へ、大変な努力をしている。これらの影響については現状を把握していただき、対応すべきことで、できることは対応をお願いしたい。次回改定に向けて検討を進めていただくようお願いしたい」と要望した。
編集部コメント
ドラビズon-line社発行の有料媒体「ドラビズfor Pharmacy」(4月21日号)では、【カットオフ値】74%から48%へ、26%急減の店舗も/「後発薬調剤体制加算3」30点→0点へ、「経営に甚大な影響」ーーを報道しております(以下一部抜粋)。
記事では後発医薬品調剤体制加算の算定要件である「カットオフ値」が急激に減少する店舗が発生していることが分かった。ある薬局では薬価改定前の3月と4月を比較して、カットオフ値が74%から48%へ、26%も減少していた。基準の50%を下回ったため、このままの推移が続けば後発薬加算を算定できなくなる。この店舗は従前は後発薬加算3(30点)を算定していたが、これが0点となる。周知の通り、後発薬加算は基本料の加算であるため、算定できなくなった時の影響が大きい。同店では「経営に与える影響が甚大」と危機感を募らせ、なんらかの措置を待っている。
約450店舗のあるチェーン薬局では、4月時点でカットオフ値が基準を下回った店舗が9店舗あった。3月時点では3店舗だったため、6店舗増加していた。450店舗中の6店舗増加とはいえ、当該店舗の経営への甚大な影響はもちろん、同社全体としても無視できない影響としている。
今年4月の薬価改定では基礎的医薬品の対象品目が増え、これらに対して薬価上の下支え措置が講じられている。その結果、カットオフ値を計算する「分子」の要素である「後発医薬品」の数が減った。薬価で後発薬の方が先発薬よりも高額となる逆転現象が発生したからだ。計算式の分子のうちの「後発医薬品」には「先発医薬品と同額または薬価が低いもの」は含まれない。
前述のチェーン薬局全体では、カットオフ値推移を、3月と4月で比較すると、中央値で5%減少、平均値で5.3%減少しているという。
薬局関係者は、カットオフ値の意義や安定供給のための薬価下支えなど、それぞれの政策意図には賛同した上で、これまでの薬局での推進努力や選定療養での手間を理解してほしいと訴えている。
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