2017年からスイッチ検討会議で議論され、「否」との判断になっていた緊急避妊薬に関して、市民団体「緊急避妊薬の薬局での入手を実現する市民プロジェクト」が再要望を提出していた。
これを受け、同日の検討会議では、次回の検討会議で関係領域の専門家に加え、要望内容を要望者からヒアリングすることを提案し、大きな反対意見もなく、了承された。
同団体がヒアリングで出席する見込みとなった。
同団体共同代表の染矢明日香氏(NPOピルコン理事長 )は当メディアに対し、「要請があれば出席したい」と意欲を示した。
同日の検討会では、次々回の検討会議までに海外の状況を調査・報告することも決めた。
調査では販売状況のほか、使用状況、背景・周辺状況など多岐にわたる項目を調査する考え。
緊急避妊薬のスイッチを巡っては、認定NPO 法人ささえあい医療人権センターCOMLの堀 恵氏が「海外の保険サービス内や公共施設における性教育のサービス提供実態などの調査もしてほしい」と要望した。
産経新聞社 論説委員の佐藤好美氏は、「閣議決定によって変わるものではない。環境が変わったからということであれば、他にも再議論する成分があるのか。緊急避妊薬に関してはオンライン診療(の初診解禁)などの大きな環境変化があったので情報として出してほしい」と要望した。
日本医師会 常任理事の長島 公之 氏は、「緊急避妊薬に関してはオンライン診療が始まっているため、実態としてどうなっているかが重要。調べて報告してほしい。これまでの検討会議で出された懸念や課題がどうなっているのかも重要。さらには第5次男女共同参画基本計画では、“幅広く健康支援の視野に立って検討する”とあるので、この検討会議の中でカバーできる範囲ではない。それぞれの該当分野で行っていただき、横の連携をしていくことも重要」との考えを示した。
これに対し座長の笠貫 宏氏(早稲田大学特命教授 医療レギュラトリーサイエンス研究所顧問)は、「社会のためにスイッチOTCがある。オープンな場の検討会議としていろいろな意見が出ても良いのではないかと思っている」と話した。
また、柿田眼科 院長の柿田 哲彦氏は、「提案がある。委員のみなさんのところにも極端なご意見のお手紙が来ているのではないか。そういう意見は極端だとしても、両方の意見を見なくてはいけない。資料として次回の会議の場に提出するのはどうか」と話した。
日本保険薬局協会 常務理事の松野 英子氏は、「海外の販売状況に加え、国内の中絶件数などの情報も出してほしい」と要望した。
最後に、長島氏が「先ほどの柿田氏の手紙を提示するという意見は、手紙は私信であるため、法的に問題がないか事務局で慎重な判断が必要だ」と述べた
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<編集部コメント>
スイッチ検討会議の場に、要望している団体が出席し、意見を述べる機会ができたことは前向きに捉えたい。
状況としては、同日の検討会議の場でも、複数の委員から前向きとは取れない意見が出ており、緊急避妊薬のスイッチ化の行方は依然、不透明と言わざるを得ない。
日本薬剤師会の委員が関連のテーマで一言も発言しなかったことも気にかかる。
ただし、検討会議そのものがスイッチの可否を決めるものではないことはすでに決定されている事項であるため、検討会議の場ではそれぞれの意見を述べ、それぞれの意見を併記する形で薬食審に意見が送られる格好になる可能性がある。
薬食審でどのようにスイッチが進展するのか、あるいは申請が実際にされるのか。
行方を見守りたい。