【緊急避妊薬のスイッチOTC化】厚労省の次回検討会議に市民団体の染矢氏が出席か/要望者からのヒアリングを了承

【緊急避妊薬のスイッチOTC化】厚労省の次回検討会議に市民団体の染矢氏が出席か/要望者からのヒアリングを了承

【2021.06.07配信】厚生労働省は6月7日、「第16回 医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議」(スイッチ検討会議)を開き、緊急避妊薬のスイッチに関して、次回の検討会議で要望者からヒアリングをすることを了承した。要望を提出したのは市民団体「緊急避妊薬の薬局での入手を実現する市民プロジェクト」。共同代表の染矢明日香氏(NPOピルコン理事長 )は当メディアに対し、「要請があれば出席したい」と意欲を示した。


 2017年からスイッチ検討会議で議論され、「否」との判断になっていた緊急避妊薬に関して、市民団体「緊急避妊薬の薬局での入手を実現する市民プロジェクト」が再要望を提出していた。

 これを受け、同日の検討会議では、次回の検討会議で関係領域の専門家に加え、要望内容を要望者からヒアリングすることを提案し、大きな反対意見もなく、了承された。

 同団体がヒアリングで出席する見込みとなった。

 同団体共同代表の染矢明日香氏(NPOピルコン理事長 )は当メディアに対し、「要請があれば出席したい」と意欲を示した。

 同日の検討会では、次々回の検討会議までに海外の状況を調査・報告することも決めた。
 調査では販売状況のほか、使用状況、背景・周辺状況など多岐にわたる項目を調査する考え。

 緊急避妊薬のスイッチを巡っては、認定NPO 法人ささえあい医療人権センターCOMLの堀 恵氏が「海外の保険サービス内や公共施設における性教育のサービス提供実態などの調査もしてほしい」と要望した。

 産経新聞社 論説委員の佐藤好美氏は、「閣議決定によって変わるものではない。環境が変わったからということであれば、他にも再議論する成分があるのか。緊急避妊薬に関してはオンライン診療(の初診解禁)などの大きな環境変化があったので情報として出してほしい」と要望した。

 日本医師会 常任理事の長島 公之 氏は、「緊急避妊薬に関してはオンライン診療が始まっているため、実態としてどうなっているかが重要。調べて報告してほしい。これまでの検討会議で出された懸念や課題がどうなっているのかも重要。さらには第5次男女共同参画基本計画では、“幅広く健康支援の視野に立って検討する”とあるので、この検討会議の中でカバーできる範囲ではない。それぞれの該当分野で行っていただき、横の連携をしていくことも重要」との考えを示した。

 これに対し座長の笠貫 宏氏(早稲田大学特命教授 医療レギュラトリーサイエンス研究所顧問)は、「社会のためにスイッチOTCがある。オープンな場の検討会議としていろいろな意見が出ても良いのではないかと思っている」と話した。

 また、柿田眼科 院長の柿田 哲彦氏は、「提案がある。委員のみなさんのところにも極端なご意見のお手紙が来ているのではないか。そういう意見は極端だとしても、両方の意見を見なくてはいけない。資料として次回の会議の場に提出するのはどうか」と話した。

 日本保険薬局協会 常務理事の松野 英子氏は、「海外の販売状況に加え、国内の中絶件数などの情報も出してほしい」と要望した。

 最後に、長島氏が「先ほどの柿田氏の手紙を提示するという意見は、手紙は私信であるため、法的に問題がないか事務局で慎重な判断が必要だ」と述べた

*********
<編集部コメント>
 スイッチ検討会議の場に、要望している団体が出席し、意見を述べる機会ができたことは前向きに捉えたい。

 状況としては、同日の検討会議の場でも、複数の委員から前向きとは取れない意見が出ており、緊急避妊薬のスイッチ化の行方は依然、不透明と言わざるを得ない。

 日本薬剤師会の委員が関連のテーマで一言も発言しなかったことも気にかかる。

 ただし、検討会議そのものがスイッチの可否を決めるものではないことはすでに決定されている事項であるため、検討会議の場ではそれぞれの意見を述べ、それぞれの意見を併記する形で薬食審に意見が送られる格好になる可能性がある。
 薬食審でどのようにスイッチが進展するのか、あるいは申請が実際にされるのか。
 行方を見守りたい。

この記事のライター

関連する投稿


【緊急避妊薬のスイッチOTC】承認取得/あすか製薬、販売元は第一三共HC

【緊急避妊薬のスイッチOTC】承認取得/あすか製薬、販売元は第一三共HC

【2025.10.20配信】あすか製薬ホールディングスは10月20日、子会社のあすか製薬が緊急避妊薬「ノルレボ」の製造販売承認を取得したと公表した。承認取得を受け、第一三共ヘルスケアが同品の販売元として、発売に向けた情報提供体制の整備を進めるという。


【ジェネリック学会OTC分科会】生活習慣病薬のスイッチOTC化の推進で提言書公表

【ジェネリック学会OTC分科会】生活習慣病薬のスイッチOTC化の推進で提言書公表

【2025.10.13配信】日本ジェネリック・バイオシミラー学会のOTC医薬品分科会(分科会⾧・武藤正樹氏)はこのほど、活習慣病薬のスイッチOTC化の推進で提言書を公表した。10月11日に盛岡市で開催された「日本ジェネリック医薬品・バイオシミラー学会 第19回学術総会」「OTC医薬品分科会」のシンポジウムの場で示したもの。シンポジウムは日本OTC医薬品協会当の共催。


【日薬】緊急避妊薬のスイッチ化でパブコメ提出/「賛成」

【日薬】緊急避妊薬のスイッチ化でパブコメ提出/「賛成」

【2025.09.25配信】日本薬剤師会は9月25日、定例会見を開き、緊急避妊薬のスイッチOTC化に関して、パブコメを提出したことを説明した。


【PPI】国内初のOTCを発売/エーザイ「パリエットS」

【PPI】国内初のOTCを発売/エーザイ「パリエットS」

【2025.06.02配信】エーザイは6月2日、国内 OTC 医薬品として初めて製造販売承認を取得したプロトンポンプ阻害薬(PPI)である「パリエットS」を発売した。


【緊急避妊薬のOTC化】評価検討会議は終結、薬事審議会での承認可否判断へ

【緊急避妊薬のOTC化】評価検討会議は終結、薬事審議会での承認可否判断へ

【2025.05.23配信】厚生労働省は5月23日、「第32回医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議」を開催し、緊急避妊薬のスイッチOTC化について議論した。


最新の投稿


【石川県薬剤師会】モバイルファーマシー「お披露目式」/スターリンクを搭載でDX対応

【石川県薬剤師会】モバイルファーマシー「お披露目式」/スターリンクを搭載でDX対応

【2025.10.31配信】石川県薬剤師会は10月31日、モバイルファーマシーお披露目式を開催した。


【東京都・厚労省】11月24日に「麻薬・覚醒剤・大麻乱用防止運動東京大会」

【東京都・厚労省】11月24日に「麻薬・覚醒剤・大麻乱用防止運動東京大会」

【2025.10.29配信】東京都薬務課は10月29日に定例会見を開き、令和7年11月24日(月曜日・祝日)13時30分から15時45分まで、令和7年度「麻薬・覚醒剤・大麻乱用防止運動東京大会」を開催することを説明した。今年は2年に一度の厚労省との共催年で、広い層に関心を持ってもらうため、多彩なタレントを招聘している。


【東京都薬務課】試買で指定薬物検出/前年9品目増の11物品から

【東京都薬務課】試買で指定薬物検出/前年9品目増の11物品から

【2025.10.29配信】東京都薬務課は10月29日、定例会見を開き、試買検査によって11物品から危険ドラッグを検出したことを説明した。9月29日に公表済み。前回公表の昨年11月の検査結果では2物品からの検出であり、薬務課では「11物品からの検出は多く驚いている」としている。今回の結果を受け、今後の試買を適切に行っていく方針。


【敷地内薬局】日医委員、診療所除外規定「削除も含めて検討すべき」/中医協

【敷地内薬局】日医委員、診療所除外規定「削除も含めて検討すべき」/中医協

【2025.10.24配信】厚生労働省は10月24日、中央社会保険医療協議会(中医協)総会を開き、「敷地内薬局」を個別事項として議論した。敷地内薬局を巡っては、令和2年度診療報酬改定において従来から存在する医療モールへの配慮として、「ただし、当該保険薬局の所在する建物内に診療所が所在している場合を除く」という「ただし書き」で除外規定が設けられていた。しかし昨今、特別な関係のある病院の敷地内にある保険薬局の同一建物に、別途診療所を誘致することで、ただし書きにより、特別調剤基本料Aの対象となることを回避する薬局事例などが問題になっていた。この問題に関連し、日本医師会委員は「ただし書きの削除も含めて検討すべき」と述べた。


【敷地内薬局】日薬「グループ減算含め検討を」/中医協

【敷地内薬局】日薬「グループ減算含め検討を」/中医協

【2025.10.24配信】厚生労働省は10月24日、中央社会保険医療協議会(中医協)総会を開き、「敷地内薬局」を個別事項として議論した。この中で日本薬剤師会(日薬)副会長の森昌平氏は前回改定で答申書付帯意見に落ち着いた敷地内薬局の“グループ減算”について、「敷地内薬局問題の改善が見えないのであればこのグループ減算も含め、あらゆる措置を引き続き検討していく必要があると考える」と述べた。


ランキング


>>総合人気ランキング