「希望数通りに納品」はわずか1%
2月に発覚した睡眠薬混入事件を皮切りに、製造販売業者の一連の不祥事が起こり、その不祥事に係る行政処分として小林化工に業務停止命令が出されたほか、日医工にも業務停止命令が通達されている。小林化工の虚偽申請に関連しては12品目が取り消しになっている。
こうした結果、後発薬への患者からの不安のほか、相次ぐ製品回収や操業停止による製品の流通不足、出荷調整に伴う代替後発薬の入手困難など、薬局においては患者への事象説明のほか、選定・入手に時間を費やす事態となっている。
こうしたことから、東京都薬剤師会は6月11日から「後発医薬品に関する流通及び対応状況に関する調査」を実施。6月18日時点で回答数が1000名となったことを受け、途中経過を集計し公表した。
自局で採用している後発医薬品について、「現在の卸の納入状況」については、「希望した後発医薬品が発注数通りに納品されている」との回答はわずか1%。
「希望した発注数通りではないが、調剤業務に影響が出ない範囲で納入されている」が17%。
「納品が滞り、調剤業務に支障が出る場合がある」との回答が65%と過半だった。
「製品が流通していないため発注ができない場合が多くある」との回答も17%あった。
「販売実績を理由にした納品不可」1000人中348人が経験
納品・発注できないことに対する卸からの説明内容については、納品や発注に支障があるとした人のうち、「卸に在庫はあるが、販売実績などで販売先が指定されており貴局には納品できない」とされたのが348人。
「発注量の一部は納品できるが、不足分は入荷次第となる」が467人。
「卸に在庫がないので納品できない」が511人。
「発注時に説明がなく、納品日に欠品があることを説明された」が227人。
「製造メーカーが得意先への割り当て数を決めているので一定量の納品しかできない」が386人。
「新規採用品の注文を受けたが、出荷調整のため納品できない」は433人という結果だった。
「現在納品が滞っている品目数」では「4品目超」が63%と最多だった。
自由記述の品目数回答では10品目が72人と最多だった。
「納品が滞り、調剤業務に支障が出る場合がある」と回答した646名の対処方法では、「先発医薬品に変更した」ことがある人は533人だった。
対処方法への患者の反応では「納得した」が592人、「先発品への変更に同意した」が419人である一方、「負担金額が変わることへの不満を訴えた」150人、「製品が変わることに不安を持たれた」320人だった。
東京都薬剤師会調べ
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<編集部コメント>
同種同薬効への変更などに関しては、海外の薬局では薬剤師の裁量で変更が可能な国もあると聞く。
供給不安やコロナで薬局の業務負担が増す中、例えば「医療機関からの一定のルールの許容範囲の発出に基づく」などの条件下であってもよいので、一部の薬効の代替を認めるなどの工夫や緩和が求められているのではないだろうか。