同日の会議の議題は主に2つ。
1つが、セルフメディケーション税制の対象範囲の見直しについて。
もう1つが、セルフケア・セルフメディケーション推進室の設置について。
1つ目のセルフメディケーション税制の対象成分については、事務局案から異論なく、決定された。今後、告示される見込み。なお、実際の対象変更は、2022年1月からの購入分からとなる。
2020年12月21日に決定された政府税制改正大綱においては、セルフメディケーション税制について、5年間の延長(2022年~2026年)とともに、対象医薬品について、所要の経過措置を講じた上で対象となるスイッチOTCから一部を除外、同時に スイッチOTC成分以外も3薬効程度を対象に加えることされていた。
成分ではなく、利用者がわかりやすいように対象を「症状」とし、その中で薬効・成分を整理していく方針となっていた。
追加になった「症状」は「腰痛、関節痛、肩こり」、「風邪の諸症状(熱・頭痛、咳や痰が出る、喉の痛み等)」「アレルギーの諸症状(鼻づまり・鼻汁、くしゃみ等)」。薬効としては、「鎮痛・消炎剤」「解熱鎮痛消炎剤」「鎮咳去痰剤」「耳鼻科用剤」の4薬効。
「腰痛、関節痛、肩こり」では、対応する薬効は「鎮痛・消炎剤」で薬効番号は264。品目数は265。成分例はサリチル酸グリコール。
「風邪の諸症状(熱・頭痛、咳や痰が出る、喉の痛み等)」では、解熱鎮痛消炎剤(薬効番号114)、鎮咳去痰剤(薬効番号224)、対象品目数は485。同様・類似の薬効として鎮咳剤(薬効番号222)、総合感冒剤(薬効番号118)などがあり、品目数は511となる。成分例はアセトアミノフェン、デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物。
「アレルギーの諸症状(鼻づまり・鼻汁、くしゃみ等)」では、薬効としては耳鼻科用剤(薬効番号132)、品目数は156。同様・類似の薬効に 抗ヒスタミン剤(薬効番号441)、その他アレルギー用薬(薬効番号449)。品目数は31品目。成分例はジフェンヒドラミン塩酸塩。
以上が決定事項となるが、告示は成分名で行われるため、さらに事務局で整理される予定。
除外成分は、以下の4つの薬効。
・薬効:強心剤(薬効番号221、成分: ユビデカレノン、症状:動悸、息切れ、むくみの緩和、品目数 3(以下、カッコ内番号は薬効番号)。
・ビタミンB1剤(312)、ビタミンB剤(ビタミンB1剤を除く、313)、混合ビタミン剤(ビタミンA・D混合製剤を除く、317)、その他のビタミン剤(319)。成分:メコバラミン。症状:筋肉痛・関節痛、神経痛、手足のしびれ、眼精疲労の改善。品目数47。
・カルシウム剤(321)、成分:L-アスパラギン酸カルシウム、症状:カルシウム補充。品目数は0。
・含嗽剤(226)、成分: フッ化ナトリウム、症状:う蝕予防、3品目。
ただし、4年間の経過措置を設け、令和8年1月1日から税制の対象から除外する。
結果として、対象が広がったのかについて、事務局は、「品目数は広がっていると考えている」とした。
対象成分の議論をめぐっては、前回、3月10日の会議で、日本OTC医薬品協会 理事長の黒川 達夫氏などがメコバラミンを対象からはずすことや胃腸薬を新規対象としないことに反対していたが、かなわなかった。今日の会議でも、健康保険組合連合会 理事の幸野 庄司氏が「胃腸のOTC薬は医療費への節減効果も大きく、対象とならなかったのは残念」との意見を述べていた。
メコバラミンは、「ナボリンEB錠(エーザイ)」「 ナボリンS(エーザイ)」「 アリナミンEXゴールド(アリナミン製薬)」に配合されているなど、根強い人気のある商品が少なくない。
今回の対象案に関して、事務局は「税制大綱では3薬効程度の追加としているところ、要請はしたが、大綱の合意事項から大きく離れることは難しかった」として、大綱の「3薬効」よりも対象薬効が増えたことに理解を求めた。次回以降の見直しの際には検討していきたいとの方針も述べた。
【2021.03.10配信】厚生労働省は3月10日に「第2回セルフメディケーション推進に関する有識者検討会」を開催し、セルフメディケーション税制の新たな対象範囲等について議論した。税制大綱で「3薬効程度を追加する」としていたもの。新たな対象として、「サリチル酸グリコール(鎮痛消炎成分)」「アセトアミノフェン(解熱鎮痛成分)」、「コデインリン酸水和物(鎮咳成分)」「ジフェンヒドラミン塩酸塩(抗ヒスタミン成分)」など非スイッチ成分が挙がった。3薬効にこだわらず会議としては3症状を対象に薬効に落とし込むことを要望する。今後、財務省など関係機関と調整する見通し。