公表された声明文は以下の通り。
■【緊急声明】高額療養費制度の凍結について
東京都医師会は、役員一同の総意をもって、今回の「高額療養費制度」の自己負担上限額引き上げなどの見直し案に反対し、凍結を求めます。
超高齢社会を迎え、危機的とも言える財源確保の問題に直面している医療費について、国民的議論を行った上で、新たな財源確保の道筋はないのでしょうか。また、財源増が厳しいとすればどこから削っていくのかを、しっかり議論していくべきだと考えます。
私ども東京都医師会の使命は、都民の健康、安心、安全を守ることにあります。その使命のために、病院・診療所の医師が安心して診療に打ち込める環境が大切と考え、今回も民間病院が経営危機から抜け出せるよう、地域医療体制の崩壊を防ぐため東京都に支援を求めました。
私どもの願いは、本当に医療が必要な方に医療を提供し、その方の人命を救うことにあります。その想いで国民皆保険制度を守りながら、全国一律の診療報酬という厳しい環境の中、医療提供体制の維持に努めてきました。
高額療養費制度の上限額引き上げという突如現れた医療費削減政策は、われわれの予期せぬものでした。医療の進歩や新薬の登場によって、助けることができなかったがん患者さんや難病患者さんに光明が見えてきました。一方で、そうした新薬は高価であり、医療費高騰の原因の一つでもあります。
所得の多い方は、限度額が上がってもそうした医療を引き続き受けられるでしょう。しかしながら、所得の低い方は、今回の改正で医療の継続は難しくなります。保険料を支払うことによって、誰もが平等に医療を受けられる日本の国民皆保険制度。そのセーフティーネットを維持するために、私たち医師は歯を食いしばって医療を続けてきたのです。
今回の突然の高額療養費制度の見直しについては、拙速に8月に実行に移すことなく一旦凍結とし、セルフメディケーションによるOTC医薬の活用など、直接患者さんの命にかかわらない政策から実行に移すなど、都民・国民を巻き込んだ議論をした上で、納得できる削減策を新たに考えていくべきです。
一度決めたことを踏みとどまることは、何ら恥じることではありません。国民皆保険制度を築いてきた先人たちに恥じることのない医療費削減策を、都民・国民を巻き込んで、皆でもう一度考えようではありませんか。
詳しくは、3月11日開催の記者会見で説明いたします。
令和7年3月5日 公益社団法人 東京都医師会 会長 尾﨑治夫

【東京都医師会】「高額療養費制度の凍結」の声明公表/OTC医薬の活用政策も提案
【2025.03.05配信】東京都医師会は3月5日、「緊急声明 高額療養費制度の凍結について」を公表した。
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