【安川薬事企画官】多店舗展開の薬局の法令遵守体制「管理者が開設者に文書で報告することは役割であり、管理者を守ることでもある」

【安川薬事企画官】多店舗展開の薬局の法令遵守体制「管理者が開設者に文書で報告することは役割であり、管理者を守ることでもある」

【2021.03.19配信】厚生労働省医薬・生活衛生局総務課薬事企画官の安川孝志氏は、日本チェーンドラッグストア協会のオンラインセミナーに登壇し、「薬機法改正と今後の薬剤師に期待すること」と題して講演した。その中で薬機法に定めた薬局の法令遵守体制について言及し、エリアマネージャーなど管理者の役割に関して、「開設者に対して文書で報告することは役割であり、管理者を守ることでもある」と述べた。薬機法ではエリアマネージャーの業務を明確化することや連絡体制の措置などを規定している。薬機法に絡んだ法令遵守に関するガイドラインに関しては、すでに製造販売業者及び製造業者分が策定・公表されており、追って薬局版も策定される見通しとなっている。


「数年で管理者」には疑問符も

 講演後に、視聴者から法令遵守の整備を薬機法で規定した意図について質問が出た。
 これに対し、安川薬事企画官は、「エリアマネージャーなどの管理者が文書で開設者に法令遵守のための意見を伝えることは役割でもあり、管理者を守ることにもなる」と話した。

 「管理者が開設者にモノを言いづらいという話を聞くこともあるが、管理者が開設者に伝えることは管理者の役割だ。書面で残しておくことは重要で、その意見を聞くか聞かないかはあると思うが、出せば管理者は役割を果たしたことになる。出すことが重要。一方で、開設者においては、そういった意見が出せる人を管理者にしているかも問われる。数年で管理者になっているケースなどでは、疑問符が付く部分もある」と述べた。

 製造販売業者及び製造業者の法令遵守に関するガイドラインがすでに策定されており、今後、薬局版も策定すると説明した。策定時期は明言しなかったが、考え方は製造販売業者のガイドラインと同様だとして、参考になるとの考えを示した。

地域連携薬局認定に上限はない/健康サポート薬局と両方の取得も望ましい

 また、地域連携薬局の認定に関して上限はあるか、との質問に関しては、機能別の病床数のように数の規定は考えていないため、基準を満たしていれば認定されるとの考えを示した。

 地域連携薬局の認定に関しては、講演の中で、「健康サポート薬局と地域連携薬局は両方を取りやすい関係性になっているのではないかと思う。両方を取っていただくことも重要」との考えも示していた。

「介護などへの情報提供はカウントされないのか」との声

 「介護などへの連携も重要な中で、なぜ医療機関だけの情報提供を月30回に限るのか」という質問もあった。
 安川氏は「介護などとの連携も重要という前提はあるが、今回は入退院時や在宅医療での連携体制の強化という側面から医療機関への報告を基準としては30回のカウント対象にした」と説明した。

 そのほか視聴者からの質問としては、がん以外で専門医療機関連携薬局の基準として拡大を見込んでいる疾患領域があるかといった質問や専門医療機関連携薬局への報告はトレーシングレポートでなくてもカウント可能か、といった質問が出た。

 がん以外で現時点で見込んでいる領域はなく、報告に関しては記録に残っている観点が重要と回答された。

この記事のライター

関連する投稿


【日本薬剤師会】地域連携薬局「基本的な考え方」で質疑/奈良県薬・後岡会長

【日本薬剤師会】地域連携薬局「基本的な考え方」で質疑/奈良県薬・後岡会長

【2025.10.11配信】日本薬剤師会は10月11日、都道府県会長協議会を開催。質疑の中で地域連携薬局の「基本的考え方」について質問が出た。奈良県薬剤師会会長の後岡伸爾氏が質問した。


【改正薬機法_認定薬局】“上乗せ”機能に基準明確化の意見/厚労省検討会

【改正薬機法_認定薬局】“上乗せ”機能に基準明確化の意見/厚労省検討会

【2025.05.19配信】厚生労働省は5月19日、「第14回薬局・薬剤師の機能強化等に関する検討会」を開催し、改正薬機法で新設される「健康増進支援薬局」など、認定薬局の基準について議論した。構成員からはこれまでの基準には基本的な薬局機能まで含まれているため、今後の基準においては“上乗せ”の機能を基準にしていくべきなどの意見が出た。


【新経済連盟】改正薬機法成立で三木谷代表理事がコメント公表

【新経済連盟】改正薬機法成立で三木谷代表理事がコメント公表

【2025.05.16配信】一般社団法人新経済連盟(所在地:東京都港区、代表理事:三木谷浩史氏)は、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律案」が5月15日付けで成立したことを受け、代表理事のコメントを発表した。新経済連盟はこれまでも濫用のおそれのある医薬品の販売規制について、「市販薬のネット販売にビデオ通話を義務付ける厚生労働省の案の撤回」を求めており、今後の下位法令等が規定においても引き続き要望活動を展開する構え。


【衆議院_改正薬機法審議】濱地雅一議員、調剤基本料について「大規模な調剤薬局等について点数を下げていくようなこと、やめていただきたい」

【衆議院_改正薬機法審議】濱地雅一議員、調剤基本料について「大規模な調剤薬局等について点数を下げていくようなこと、やめていただきたい」

【2025.04.07配信】今改正薬機法における初となる国会審議が4月4日、衆議院厚生労働委員会で行われた。この中で濱地雅一議員(公明党)が質疑に立った。


【新経済連盟】薬機法法案の国会提出にコメント/引き続き主張を要望

【新経済連盟】薬機法法案の国会提出にコメント/引き続き主張を要望

【2025.02.13配信】新経済連盟(三木谷浩史代表理事)は2月13日、国会に提出された改正薬機法の法律案について、代表理事としてのコメントを公表した。


最新の投稿


【日本薬剤師会】財政審の改革提言に反論、「薬局増えても調剤報酬増えない」

【日本薬剤師会】財政審の改革提言に反論、「薬局増えても調剤報酬増えない」

【2025.11.05配信】日本薬剤師会は11月5日に会見を開いた。この中で、同日公表された財政制度等審議会(財政審)財政制度分科会の提言に対し反論した。


【日本薬剤師会】岩月会長が敷地内薬局めぐる議論にコメント

【日本薬剤師会】岩月会長が敷地内薬局めぐる議論にコメント

【2025.11.05配信】日本薬剤師会は11月5日に定例会見を開いた。その中で、岩月進会長が中医協での敷地内薬局をめぐる議論に対してコメントした。


【石川県薬剤師会】モバイルファーマシー「お披露目式」/スターリンクを搭載でDX対応

【石川県薬剤師会】モバイルファーマシー「お披露目式」/スターリンクを搭載でDX対応

【2025.10.31配信】石川県薬剤師会は10月31日、モバイルファーマシーお披露目式を開催した。


【東京都・厚労省】11月24日に「麻薬・覚醒剤・大麻乱用防止運動東京大会」

【東京都・厚労省】11月24日に「麻薬・覚醒剤・大麻乱用防止運動東京大会」

【2025.10.29配信】東京都薬務課は10月29日に定例会見を開き、令和7年11月24日(月曜日・祝日)13時30分から15時45分まで、令和7年度「麻薬・覚醒剤・大麻乱用防止運動東京大会」を開催することを説明した。今年は2年に一度の厚労省との共催年で、広い層に関心を持ってもらうため、多彩なタレントを招聘している。


【東京都薬務課】試買で指定薬物検出/前年9品目増の11物品から

【東京都薬務課】試買で指定薬物検出/前年9品目増の11物品から

【2025.10.29配信】東京都薬務課は10月29日、定例会見を開き、試買検査によって11物品から危険ドラッグを検出したことを説明した。9月29日に公表済み。前回公表の昨年11月の検査結果では2物品からの検出であり、薬務課では「11物品からの検出は多く驚いている」としている。今回の結果を受け、今後の試買を適切に行っていく方針。


ランキング


>>総合人気ランキング