電子処方箋の新目標「電子カルテを整備するすべての医療機関への導入を目指す」
電子処方箋に関しては、「医療DXの推進に関する工程表」(2023年6月2日)において、 「概ね全国の医療機関・薬局に対し、2025年3月までに普及させる」こととしていた。
一方、2025年6月時点で運用開始済の薬局は8割を超えており、薬局については今夏には概ね全ての薬局での導入が見込まれるものの、医療機関への導入は1割程度に留まる。
こうした状況を受け、今回の新目標では、「医療機関において電子処方箋の導入を進めるにあたっては電子カルテが導入されていることが重要である」ことを前提とし、「電子カルテ/共有サービスと一体的な導入を進める」こととした。「患者の医療情報を共有するための電子カルテを整備するすべての医療機関への導入を目指す」とした。
なお、電子カルテの普及率は、医科診療所約55%、一般病院約65%(2023年医療施設調査)。
2026年夏までに、電子カルテ/共有サービスの具体的な普及計画を策定
同様に電子カルテについては「工程表」では、「遅くとも2030年には概ねすべての医療機関において必要な患者の医療情報を共有するための電子カルテの導入を目指す」こととしていた。
この目標達成に向け、オンプレ型で、かつ、カスタマイズしている現行の電子カルテから、いわゆるクラウドネイティブを基本とする廉価なものへと移行することを図りつつ、① 電子カルテ導入済の医療機関(医科診療所/病院)には、次回更改時に、共有サービス/電子処方箋に対応するシステム改修等の実施、② 電子カルテ未導入の医療機関(医科診療所/病院)には、共有サービス/電子処方箋に対応できる標準化された電子カルテの導入を進める。
標準型電子カルテ(デジタル庁で開発中)について、本格運用の具体的内容を2025年度中に示した上で、必要な支援策の具体化を検討するとともに、2026年度中目途の完成を目指す。
併せて、標準型電子カルテの要件を参考として、医科診療所向け電子カルテの標準仕様(基本要件)を2025年度中に策定する。
標準型電子カルテの要件では、小規模な医療機関でも過度な負担なく導入が可能となるよう、①共有サービス・電子処方箋管理サービスへの対応、②ガバメントクラウドへの対応が可能となり、かつ、1つの
システムを複数の医療機関で共同利用することで廉価なサービス提供が可能となるマルチテナント方式(いわゆるSaaS型)のクラウド型サービスとする、③関係システムへの標準APIを搭載する、④データ引き継ぎが可能な互換性を確保すること等を要件とする方向。
2026年夏までに、電子カルテ/共有サービスの具体的な普及計画を策定する。
電子処方箋新目標に「概ねすべての調剤結果が電子処方箋管理サービスに登録されることを目指す」事項も
なお、電子処方箋の新目標としては、調剤に関わる「保険制度下における処方箋について、速やかに概ねすべての調剤結果が電子処方箋管理サービスに登録されることを目指す」ことも明記された。