【電子処方箋推進会議】導入予定の公立病院名を公表/面的広がりに期待

【電子処方箋推進会議】導入予定の公立病院名を公表/面的広がりに期待

【2024.09.12配信】厚生労働省は9月11日、「第3回電子処方箋推進会議」を開き、導入の課題や対応などについて議論した。


 同日の会議では、電子処方箋の普及状況が報告された。
 令和6年9月1日現在、全国3万609施設(14.6%)で電子処方箋の運用が開始済みとなっている。内訳は病院153(1.9%)、医科診療所3645(4.5%)、歯科診療所150(0.3%)、薬局2万6661(44.6%)。薬局での健闘が目立つ。

 ただ、「医療DXの推進に関する工程表」では、「2025年3月までにオンライン資格確認を導入した概ねすべての医療機関・薬局に導入することを目指して必要な支援を行う」ことを掲げてきたため、足下の状況では政策目標の達成が危ぶまれる状況だ。

 事務局では導入への課題と対策について整理。
 根強い「導入にかかる費用負担が重い」との意見に対しては、「導入補助金を拡充、医療DX推進体制整備加算の創設」 などを説明。
 特に導入補助金に関しては、令和5年12月以降、リフィル処方箋機能などの追加機能の補助(補助上限の引上げも行ったほか、都道府県による追加導入費用の助成(補助率の引上げ)を実施している。
 都道府県による追加導入費用の助成に関しては、19都府県が実施を決定し、さらに宮城県、栃木県、石川県、滋賀県、奈良県、岡山県等が実施を積極的に検討中であることが示された。追加助成に関しては、厚労省からも都道府県に対して調整を働きかけてきたものとみられる。こうした結果、今後、追加助成を決める都道府県もありそうだ。

 また、阻害要因となっている「周囲の医療機関・薬局が導入していない(導入施設数が限られ、緊要性を感じない)」ことに対しては、面的な広がりを期待。公的病院・公立病院(公的病院等)を中心
に導入推進を強化していることを強調。今回、新たに、導入を予定している公的病院等一覧を開示した。
https://www.mhlw.go.jp/content/11121000/001302363.pdf
 導入予定の公的病院の動きが波及する形で、地域の医療機関でも導入が進むことを期待したい考えだ。

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