採択された意見書は以下の通り。
■薬価中間年改定の廃止を含む薬価制度の抜本的改正を求める意見書
国民の命と健康に関わる医薬品について、一部メーカーの製造管理及び品質管理の不正問題に端を発した供給不足は、需給のひつ迫に加え、政府の頻繁な薬価改定に伴う薬価引下げや昨今の原材料価格の高騰に伴うメーカーの採算悪化によって、実に三年以上にわたり供給不安が継続しており、必要な薬が患者に届かない事態を招くなど、国民の命と健康に影響を及ぼしかねない事態が発生している。
この解消のため、医薬品を製造するメーカー、医薬品の流通を担う卸業者、そして患者に直接供給を担う病院、診療所、歯科診療所及び薬局の三者において、医薬品の偏在を起こすことなく、連携して患者さんの手元に医薬品を届けることが求められている。
こうした事態を踏まえ、国においては、供給不足の医薬品を早期に安定供給できるようメーカーへの増産要請を行うなど、様々な対応を講じているものの依然として深刻な状態が継続している。
これらの原因の一つとして、薬価の毎年改定が導入されたことにより、製薬企業の経営に影響を及ぼす不採算品を含む多数の品目の製造中止等がある。
現下の医薬品の供給不安を一刻も早く解消し、将来にわたり、国民に安定的に供給し、かつ国内のイノベーション創出を促すためには、設備投資や人的投資を困難に陥らせている現行制度の見直しを図る必要がある。
よって、国会及び政府においては、中間年改定の廃止を含めた薬価制度を抜本的に見直すことにより、医薬品の供給不足が原因で、その場で処方通りの医薬品を渡せず患者が困窮する事態の解消、薬物治療の制限や薬局等現場の負担増大の解消が図られるよう強く要望する。
以上、地方自治法第九十九条の規定により意見書を提出する。
奈良県議会
以上
今回の採択には奈良県薬剤師会の働きかけが大きい。
奈良県議会6月議会において、奈良県薬剤師会から依頼して、県議会から国及び行政機関に対して地方自治法第99条の規定に基づく意見書の提出をお願いしていた。
また、日本薬剤師会(日薬)「第105回臨時総会の場(2025年3月16日)において、奈良薬剤師会の後岡会長から、中間年薬価改定について、日薬に質問をしていた。
「都道府県薬剤師会、地域薬剤師会が取り組むべき事項があるのであれば教えていただきたい」との質問であり、日薬の森昌平副会長からの回答では、「エビデンスとして実態調査への協力」との話があった。さらに、後岡会長からは、「実態調査に協力するとともに、例えば、各県議会、地方議会への請願や意見書の提出といったこともできるかと思われる。先程の“国民の意見”の中に地方議会からの意見というのも取り入れたいと思うが、いかがか」との質問があり、これに対して、森副会長からは「ぜひお願いする」との回答があった。