マイナ保険証の薬局での活用は、保険証の確認の意味のほか、患者同意に基づき閲覧できる情報の確認によって薬剤師業務への貢献度が想定される。
マイナ保険証の活用による薬剤師業務への貢献度を聞いたところ、「多重受診・過剰処方の発見」への評価も高く、貢献度「非常に高い」5点、「高い」4点、「中程度」3点、「やや低い」2点、「低い」1点の選択肢への回答で回答平均点が3.64点だった。
この項目に関しては、高齢者などでは複数の診療科を受診していることも多いものの、貢献度としてあげられていることなどを考慮すると、事務局は「例えば睡眠剤が複数の医療機関から処方されていたことの発見などがあるのではないか」と説明した。
そのほか「お薬手帳持参なしの場合の服薬情報等の把握」や「院内処方把握により服薬情報の一元管理」などの薬剤師業務への貢献を評価する結果がみられた。
今回の調査は、協会加盟薬局のうち「認定薬局、かつ、2025年3月1日時点において電子処方箋受付体制を有している薬局の管理薬剤師」を対象に行ったもの。認定薬局との条件を付した背景については事務局は「一定の水準を合わせたかった」と説明した。
回答期間は2025年4月1日(火)~4月30日(水)。回答数は1006薬局。
結果のサマリーとしては、マイナ保険証利用率は平均42.1%、電子処方箋管理サービスの理解度が高い薬局は75.5%だった。
マイナ保険証受付時に薬物治療の質や安全性向上につながる仕組みについて患者に頻繁に説明している薬局は62.6%。
重複・併用禁忌チェック結果等の情報確認については、全4項目で「毎回または必要時に確認」が80%以上を占め、貢献度は設けた13項目すべてで「中(3点)~非常に高い(5点)」の回答が半数を超えた。特に「服薬情報の把握」への貢献が顕著だった。
協会では「こうした回答から薬局における積極的な医療DX活用実態がうかがえた」としている。
薬学的ケア向上も「確認工程の増加」など負担
また、統計解析の結果、マイナ受付後の情報確認を丁寧に行っている薬局では、業務への貢献度スコアが有意に高かった(Cohen’s d = 0.58)。
貢献度にかかわらず負担度合に差はみられず、中でも「確認工程の増加」「閲覧制限」「システム不具合」の負担度合が高かった。
薬局薬剤師の日常業務におけるマイナ保険証受付及び患者同意に基づき閲覧できる情報確認の実践が、薬学的ケアの質向上に貢献すること、また一方で、貢献度の高低にかかわらず、薬剤師が抱える業務負担は広く共通して感じられている可能性があることが示唆されたとしている。