協会は10月の会見でも調剤報酬改定への要望に関する声明を公表している。
「300店舗」などの「不合理な区分設定による著しい不公平」を是正し、個々の薬局の機能に応じた公平な評価、敷地内薬局の連座制の適応反対などを求めていた。
https://www.dgs-on-line.com/articles/3088
今回は、その後に中医協で敷地内薬局の施設基準である「ただし書き」を削除すべきとの意見が出ていることに反対の姿勢も表明した。
敷地内薬局を巡っては、「保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則(昭和32年厚生省令第16号)」で保険薬局の独立性担保のために「 保険医療機関と一体的な構造とし、又は保険医療機関と一体的な経営を行うこと」を禁止する規定があることとの関連が取り沙汰されている。
平成30年4月の調剤報酬改定では、特定の医療機関との不動産取引の関係がある等のいわゆる同一敷地内薬局に対する評価として「特別調剤基本料」を新設し、10点に引き下げた。
その後の令和2年度診療報酬改定において、特別な関係の適用範囲を診療所に拡大する際に、従来から存在する医療モールへの配慮として、施設基準において「ただし、当該保険薬局の所在する建物内に診療所が所在している場合を除く」という「ただし書き」を設けた背景がある。しかし、昨今、特別な関係のある病院の敷地内にある保険薬局の同一建物に、別途診療所を誘致することで、ただし書きによって、特別調剤基本料Aに該当することを回避するかのような薬局が存在していることが問題視されるようになった。
そのため中医協の議論では、この「ただし書き」を削除すべきとの意見などが挙がっている。
協会はこうした意見に対し、「既存の医療モールの薬局をただし書きの対象とし、特別調剤基本料Aの対象から除外しているという趣旨が見失われないよう、強く要望する」とした。
仮にただし書きが撤廃された場合でも、「令和8年5月31日以前に当該ただし書きの適用条件下で新規に開局した薬局については、特別調剤基本料Aの対象から除外されるべきである」と要望した。
特別調剤基本料Aの点数や各種加算の算定不可あるいは減算等の規定は、主に「病院」敷地内薬局に係るデータを基に決定された経緯があるため、「診療所」と「不動産取引等その他の特別な関係を有している保険薬局」をどのような条件下においても「特別調剤基本料A」に当てはめることは、「合理性を欠く」とも指摘。厚生労働省が公表する「調剤医療費(電算処理分)の動向」によれば、発行元が「診療所」の処方箋1枚当たりの調剤医療費は約6876円であるのに対し、「病院」の処方箋では約1万9773円となっており、応需する薬局の収益構造には大きな差があるともした。
これらの背景からも、協会としては、「保険薬局の報酬区分を定めるにあたっては、不動産取引等その他の特別な関係を有するという関係性のみを根拠にするのではなく、発行医療機関の種別(診療所か病院か)に応じて区別すべきである」と主張した。