【日本チェーンドラッグストア協会】「300店舗以上の区分廃止を」/調剤報酬改定で声明公表

【日本チェーンドラッグストア協会】「300店舗以上の区分廃止を」/調剤報酬改定で声明公表

【2025.10.17配信】日本チェーンドラッグストア協会は10月17日に定例会見を開き、調剤報酬改定における「300店舗区分」の見直しを求める声明を公表した。


 声明は以下の通り。

1. 不合理な区分設定による著しい不公平
 令和4年度の調剤報酬改定において、300店舗以上のグループ薬局に対し新たな調剤基本料の区分けが導入され、同一の機能を有して調剤行為を行っていても、連動する地域支援体制加算とともに、他の薬局に比べ著しく低い保険点数が設定されています。
 本来、調剤報酬は薬局が提供する技術・サービスへの対価として、個々の薬局の機能に応じて公平に評価されるべきもので、規模が大きいという理由のみで区分を設けることは、明確に公平性を欠くものであり、容認できません。

2.企業努力を否定し、健全な業界発展を阻害
 グループ化により経営効率を高めることは、企業努力の成果であり、この効率化によって、医療DXの推進や在宅医療への対応拡大など、社会的に求められる分野への投資が可能となっています。
 しかし、現行の区分制度はそうした努力を正当に評価せず、むしろ企業努力を否定し、業界全体の健全な発展を阻害するものです。結果として、進行する少子高齢化・人口減少社会への対応、国民の健康増進、持続可能な社会保障制度の実現を妨げる懸念があります。

3.調剤基本料区分の導入影響と見直しの必要性
 この区分は、令和3年の医療経済実態調査の損益率等を根拠(中医協資料令和3年11月26日より抜粋)に導入されたが、令和5年調査では 300店舗以上のグループ薬局の損益率が明確に低下しています(中医協資料令和5年11月29日より抜粋)。それにもかかわらず、区分導入の影響が十分に検証されないまま、令和6年度改定でも制度が維持されています。
 当協会の調査によれば、加盟外企業を含む300店舗以上のグループ薬局 16社の令和6年度区分影響額は、合計約433億円に達しています。
 さらに、第25 回医療経済実態調査を独自に集計したところ、当該区分の企業の損益率は以下のように推移しています。

 年度ごとの損益率は以下
令和元年 9.50%
令和2年 10.90%
令和3年 6.30%
令和4年 5.50%
令和5年 2.80%
令和6年 1.50%

 また、損益額も令和5年度6,280千円、令和6年度3,427千円と、5店舗以下の薬局とほぼ同水準に低下しています。
 このように、損益率・損益額ともに大幅に悪化しており、その主要因は現行の調剤基本料区分および地域支援体制加算の区分にあると考えられます。

4.区分制度の廃止と公正な見直しを要請
 調剤報酬はあくまで薬局の機能と提供する医療サービスの質に基づき、公正に評価されるべきです。
 規模が大きい、あるいはグループ内に敷地内薬局を有するなどの理由だけで、著しく不公平な設定を行うことは、企業の正当な権利を侵害し、行政裁量の範囲を逸脱するものです。

したがって、当協会は、
・調剤基本料における「300店舗以上区分」の廃止
・地域支援体制加算の算定における同様の区分の廃止を強く求めているものです。

5.敷地内薬局の連座制の適応反対
 令和6年度の調剤報酬改定において、敷地内薬局を有するグループ薬局について、グループに属する全ての薬局に対して一律に調剤基本料を引き下げる提案がされ、令和8年度の調剤報酬改定でも引き続き審議されることになっています。
 しかしながら、同提案は薬局の提供する技術・サービスへの対価として個別の薬局の機能に応じて評価されるべき調剤基本料の意義を著しく逸脱するものであり、到底受け入れられるものではありません。令和4年度の調剤報酬改定で敷地内薬局についてはすでに特別の調剤基本料が導入され、連動する地域支援体制加算とともに、他の薬局に比べて著しく低い保険点数が設定されていることから、この連座制がさらに導入された場合には、グループ全体への経済的不利益の大きさから、グループ薬局としては薬局の運営から撤退せざるを得ません。

 第25 回医療経済実態調査において、当協会の敷地内薬局は損益差額が赤字となっており、損益率も令和5年度▲4.0%、令和6年度▲10.8%と大きなマイナスとなっています。
 そもそも敷地内薬局は患者の利便性を求める規制改革の一環として平成28年に厚生労働省の通知により認められたものであるにもかかわらず、事後的に連座制のような敷地内薬局を運営することに対する懲罰的な調剤報酬を導入して実質的に撤退を迫ることは、行政の裁量の逸脱であり、車椅子を利用する患者や高齢者等の敷地内薬局を利用する患者の利便性を失わせ、敷地内薬局を有する医療機関にとっても不利益でしかありません。

5、今後の対応
 グループ薬局は、経営効率化により医療 DXを推進し、地域医療・在宅医療の質的向上に貢献しています。当協会は、医療経済実態調査等のデータをもとに、科学的かつ公正な評価を行い、医療DX推進を阻害しない調剤報酬制度への見直しを引き続き求めていきます。
 薬局の規模や形態にかかわらず、すべての薬局が等しく公正に評価され、国民の健康を支える力を最大限に発揮できる制度設計を目指していきます。

【編集部注】敷地内薬局の損益率を修正しました(10月17日21:28)

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