該当の要望箇所は以下の通り。
No. 49. オンライン服薬指導の要件緩和
<要望内容・要望理由>
患者がオンライン服薬指導を希望する場合、医療機関は、患者に処方箋原本を渡さずに、患者希望に沿った調剤薬局に対して処方情報の送付や処方箋原本を郵送する必要がある。しかし、患者の希望に沿って薬局が選定されるため、医療機関によっては、時間的・人的コスト増により、その管理ができず、患者要望に沿うことができないケースが発生している。
一方、患者希望に沿った調剤薬局へ医療機関経由で処方箋原本を送付する以外で、仮に患者が処方箋を受領した後にオンライン服薬指導を実施するためには、患者が処方箋原本を薬局に持参あるいは事前に郵送する必要があるため、オンライン服薬指導のメリットを十分生かすことができない。令和5年1月26日より運用が開始された電子処方箋を活用することで、本課題は解消され得るが、その普及率は依然として低い水準にあるため、患者希望に沿ったオンライン服薬指導を促進するためには、電子処方箋の普及過渡期において、それを補完する対応が必要である。
また、処方箋原本を薬局が回収する手法についても課題が残る。来局困難な患者や遠隔診療の場合においては、薬剤師が患者宅を訪問して処方箋原本を受領し、内容を確認することにより、遡って当該処方箋による薬局での調剤とみなされる。このとき、調剤される薬剤が前回と同一であるために薬剤師が対面により情報提供を行う必要がないと判断し、「ファクシミリを利用した処方せん受入体制と患家での薬剤の受渡しについて」に規定された患者健康状態等を含めた特定条件を全て満たした場合には、電送された処方内容に基づいて行う薬剤の調製等は、(薬剤師以外の)配達を行った従業者が回収した処方箋原本を当該薬剤師が受領して内容を確認することにより、遡って当該処方箋による薬局での調剤とみなされる。つまり、いずれの場合においても薬剤師による処方箋原本の確認が求められている状況である。
一方で、現在では、情報通信技術等の進展により遠隔でも処方箋が電送されたものと同一であることは確認可能であり、処方箋原本が改ざんされたものでないことを確認することは可能である。
そこで、患者あるいはその介護者から処方箋情報を電送したときも、オンライン服薬指導を経て調剤薬の販売・交付ができるようにすべきである。また、上述の特定条件を満たした場合において、電送された処方内容に基づいて行う薬剤の調製等も、薬剤師による訪問確認を前提とせず、「オンライン服薬指導後、薬剤師以外の従業員や配送員が患家を訪問し、処方箋を受領・内容を確認することにより、薬剤師本人による当該処方箋原本の受領・確認なしでも、遡って当該処方箋による薬局での調剤とみなす」こととすべきである。
これにより、医療機関の負担軽減や患者要望に沿ったオンライン服薬指導をより多く実施することに繋がる。
<根拠法令等>
「オンライン服薬指導における処方箋の取扱いについて」の改定について(令和4年3月31日付事務連絡 令和4年9月30日最終改正 厚生労働省医薬・生活衛生局総務課・厚生労働省医政局医事課 通知)
ファクシミリを利用した処方せん受入体制と患家での薬剤の受渡しについて(平成10年12月25日付 医薬企第90号 各都道府県衛生主管部(局)長あて厚生省医薬安全局企画課長通知)

【経団連】オンライン服薬指導の要件緩和要望/「処方箋電送でも調剤を可能に」
【2023.09.13配信】日本経済団体連合会(経団連)は9月12日、提言書「2023年度規制改革要望ー日本経済にダイナミズムを取り戻すー」をまとめ、公表した。この中で「オンライン服薬指導の要件緩和」を要望。電送された処方内容に基づいて行う薬剤の調製等も、薬剤師による訪問確認を前提とせず、「オンライン服薬指導後、薬剤師以外の従業員や配送員が患家を訪問し、処方箋を受領・内容を確認することにより、薬剤師本人による当該処方箋原本の受領・確認なしでも、遡って当該処方箋による薬局での調剤とみなす」こととすべきであるとしている。
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