「当面の規制改革の実施事項」の中で、オンライン診療・服薬指導の部分は以下の通り。
■オンライン診療・服薬指導の促進等
【a,c,d:令和3年度措置、b:令和3年度検討開始、早期に結論、
e:令和3年度検討・結論、f:令和4年度措置】
オンライン診療・服薬指導の特例措置の恒久化等を通じ、受診から薬剤の受領までの一連の過程をオンラインで完結できるようにすることで、利用者本位・患者本位の医療の実現を図る。診療報酬上の取扱いを含め、オンライン診療・服薬指導の適切な普及・促進を図るための取組を進める。
a オンライン診療の適切な実施に関する指針(平成 30 年3月(令和元年7月改訂))(以下「オンライン診療指針」という。)を改訂し、信頼性、安全性をベースに、「かかりつけの医師」やそれ以外の医師が初診に対応することができる場合について具体化を行う。改訂に当たっては、以下の事項を適切に盛り込む。
・オンライン診療は、疾病や患者の状態によっては、対面診療と大差ない診療効果がある場合も存在しうることをオンライン診療指針その他の関連文書(以下「指針等」という。)で明確化すること。また、初診からオンライン診療が可能となることを踏まえ、初診は対面診療が原則であるとの考え方を見直し、その旨を指針等に明記すること。
・疾患や患者の状態によっては、オンライン診療のみで診療が完結する場合があることを指針等で明確化すること。
・「かかりつけの医師」に当たるかどうかについては、最後の診療からの期間や定期的な受診の有無によって一律に制限されるものではないことを指針等で明確化すること。
・オンライン診療を行う医療機関・医師と対面診療を行う医療機関・医師は、異なってもよいことを指針等で明確化すること。
・医師がオンライン診療を実施するに当たり求められる診療計画について、診療録への記載とは別に、作成することは必須ではなく、診療録に必要事項が記載されていれば足りるものであり、また、患者に対しては、所要の情報の口頭による提供で足りることを指針等で明確化すること。
・医療機関の情報セキュリティについては、オンライン診療の場合に対面診療に比べ厳格な情報セキュリティを求めることは合理性に欠けることを踏まえ、早期にオンライン診療指針の見直しに向けた検討を行うこと。具体的には次の事項については少なくとも見直しを検討すること。
➢情報通信及び患者の医療情報の保管について十分な情報セキュリティ対策が講じられていることを、医師が確認しなければならないこととされていること。
➢個人情報及びプライバシーの適切な保護の範囲
➢PHR(Personal Health Record)を診察に活用する場合に、PHRの安全管理に関する事項について医師がPHRを管理する事業者に確認することとされていること。
➢汎用サービスが端末内の他のデータと連結しない設定とすることとされていること。
➢チャット機能やダウンロード機能は原則使用しないこととされていること。
➢オンライン診療システム事業者がシステム全般のセキュリティリスクに対して責任を負うこととされていること。
・患者の本人確認の方法について、顔写真付きの身分証明書を有しない場合に2種類以上の身分証明書を用いることとすることは対面診療に比べ厳格であることを踏まえ、早期にオンライン診療指針の見直しに向けた検討を行う必要があること。
・診療前相談を効果的にかつ効率的に行うため、実際の診療前相談に先立って、医師の判断で、事前にメール、チャットその他の方法により患者から情報を収集することは可能であることを指針等で明確化すること。
b 高齢者の医療の確保の観点から、通所介護事業所内におけるオンライン診療に関する課題を整理する。
c ADHD(Attention deficit hyperactivity disorder:注意欠陥多動性障害)治療薬に関する民間組織(厚生労働省の薬事承認条件に基づき設置)の事実上の規制により、現行のオンライン診療指針に準拠したオンライン診療であっても必要な薬剤を入手できない現状に関し早急な是正を求める意見があることについて、当該民間組織に対して情報提供を行うとともに、現在改訂が進められているオンライン診療指針との整合性も踏まえた運用となるよう検討を促す。
d 今年度内に、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則」(昭和 36 年厚生省令第1号)及び関連通知の改正により、オンライン服薬指導についての新型コロナウイルス感染症を受けた特例措置(「新型コロナウイルス感染症の拡大に際しての電話や情報通信機器を用いた診療等の時限的・特例的な取扱いについて」(令和2年4月 10 日厚生労働省事務連絡))の恒久化を実現する。具体的には、現在、原則は対面による服薬指導となっているが、患者の求めに応じて、オンライン服薬指導の実施を困難とする事情の有無に関する薬剤師の判断と責任に基づき、対面・オンラインの手段のいずれによっても行うことができることとする。また、処方箋については、医療機関から薬局へのFAX等による処方箋情報の送付及び原本の郵送が徹底されることを前提に、薬局に原本を持参することが不要であることを明確化する。さらに、服薬指導計画と題する書面の作成は求めず、服薬に関する必要最低限の情報等の記載でも差し支えないこととする。加えて、薬局開設者が薬剤師に対しオンライン服薬指導に特有の知識等を身に付けさせるための研修材料等を充実させることとし、オンライン服薬指導を行うに当たって研修の受講は義務付けない。
e 薬剤師の働き方改革等の観点を含め、在宅(薬剤師の自宅等)での服薬指導を早期に可能とする方向で検討する。検討に当たっては、対面及びオンラインでの薬局内における服薬指導の実態を踏まえ、患者の個人情報保護の方法や薬剤がない場合に服薬指導をどのように行うことが適切かなどの課題について、議論を進める。
f 医療用医薬品においてオンライン服薬指導が可能とされていることを踏まえ、要指導医薬品についてオンライン服薬指導の実施に向けた課題を整理する。
なお、ワーキンググループのあり方を刷新することも決定した。
現行は以下の5つのWG。
① 経済活性化WG
② デジタルWG
③ 子育て・教育・働き方WG
④ 医療・介護WG
⑤ 農林水産WG
これを改組後は、以下に再編する。
① スタートアップ・イノベーションWG
② 人への投資WG
③ 医療・介護・感染症対策WG
④ 地域産業活性化WG
⑤ デジタル基盤WG
また、今後の改革の推進体制について、WGの機動性を高める観点からよりスピーディーに規制改革を進めていく「ファストトラックプロセス」を検討手法として正式に位置づけ、積極的に活用することも決定したという。
「ファストトラックプロセス」とは、必ずしも委員メンバーの集合を要さず、メールや書面でも議論を進められるもので、加速していく目的で導入を決めたとしている。
実施事項を来春の改定に入れ込むことを求めるのか、当面は指針への改定のみを求めるのか、という記者の質問に関しては、「中医協の議論を見守っている。診療報酬が対面よりも低いので広がっていかないのであれば、フェアな点数になる方向にしていきたい」と話した。
加えて、事務局は厚労省のQ&Aの部分で書き込む可能性があるほか、厚労省の改正案への反映を行う方向だとの認識を示した。
【規制改革推進会議】オンライン診療・服薬指導の中間とりまとめ公表/「受診から薬剤の受領までの一連の過程をオンラインで完結できるように」と明記
【2021.12.22配信】規制改革推進会議が12月22日に開かれ、中間とりまとめとなる「当面の規制改革の実施事項」を決定し、公表した。この中でオンライン診療・服薬指導について方針を明記した。「受診から薬剤の受領までの一連の過程をオンラインで完結できるように」と明記。「疾患や患者の状態によっては、オンライン診療のみで診療が完結する場合があることを指針等で明確化すること」ともした。同日午前中に開かれた中医協の議論とは異なった見解も示されており、診療報酬改定も迫る中、注目される。今回の実施事項では「指針」の改定を求めており、どのタイミングで診療報酬に反映されるかは見えづらいが、事務局は指針だけでなく改正案に入れ込む方向との認識を示した。
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