【医薬品供給調査】通常出荷79.6%、欠品・出荷停止4.8%、出荷調整15.5%/製薬団体連合会調べ

【医薬品供給調査】通常出荷79.6%、欠品・出荷停止4.8%、出荷調整15.5%/製薬団体連合会調べ

【2021.11.18配信】製薬団体を傘下に持つ日本製薬団体連合会は11月18日、安定供給の確保に関するアンケート結果を公表した。それによると、通常出荷79.6%、欠品・出荷停止4.8%、出荷調整15.5%だった。行政に対する要望事項では、「欠品・出荷停止、出荷調整発生時における他社との情報共有・協議を円滑に進める為の支援(ルール化、独禁法適用除外)」などが寄せられた。


通常出荷79.6%、欠品・出荷停止4.8%、出荷調整15.5%

 日本製薬団体連合会の安定確保委員会は、「安定供給の確保に関するアンケート」を実施し、結果を公表した。
 
 調査はWebを用いた形式で、2021年8月末時点の状況について回答したもの。
 回答期間は2021年9月16日〜10月7日。
調査対象は、医療用医薬品を取り扱う企業に対して自社製造販売承認取得品目の出荷状況(経過措置品目、ワクチン、血液製剤は除く)。
 回答社数は218社(1万5444 品目) 。

 「欠品・出荷停止」、「出荷調整」の状況については下表の通りの結果。
 「通常出荷」は、全体で1万2301品目(79.6%)であり、先発品は4461品目(先発品全体95.6%)、後発品は 6933 品目(後発品全体の70.6%)、その他の医薬品は 907品目(その他全体の 94.9%)であった。
 「欠品・出荷停止」は全体で743品目(4.8%)であり、先発品は34品目(同0.7%)、後発品は 686 品目(同 7.0%)、その他の医薬品は 23 品目(同 2.4%)であった。
 「出荷調整」は、全体で2,400品目(15.5%)であり、先発品は170品目(同3.6%)、後発品は 2,204 品目(同 22.4%)、その他の医薬品は 26 品目(同 2.7%)であった。
 「欠品・出荷停止」、「出荷調整」は合わせて、全体の20.4%であった。先発品における「欠品・出荷停止」、「出荷調整」は先発品全体の 4.4%、後発品におけ る「欠品・出荷停止」、「出荷調整」は後発品全体の 29.4%であった。

 カテゴリー別では後発品が「欠品・出荷停止」(92.3%)、「出荷調整」(91.8%) 共に、全体の 90%以上を占めている。

 ↓表【カテゴリー別の「欠品・出荷停止」、「出荷調整」の割合】

 出荷調整の原因は、「自社事情」よりも「他社影響」の方が多い。後発品は他社 影響の方が自社事情の2倍。

 ↓表【カテゴリー別の「出荷調整」の要因(自社事情/他社影響)】

 情報公表・連絡方法について は、社外公表の有無において「欠品・出荷停止」時は 197 社、「出荷調整」時は 174 社が社外公表を実施して いる。
 卸・医療機関・保険薬局への連絡の有無では、「欠品・出荷停止」時は 204 社、「出荷調整」時は 199 社が卸・医療機関・保険 薬局へ連絡をしている。

 ↓表【社外公表、卸・医療機関・保険薬局への連絡の状況】

 「社外公表の方法」(複数回答可)では、「欠品・出荷停止」、「出荷調整」共に、社外公表の方法は、主に自社Webサイトやその他の方法(MR、お知らせ文書、DM 等)で実施している。

 ↓表【社外公表の方法】

 「卸・医療機関・保険薬局への連絡方法」(複数回答可)では、「欠品・出荷停止」、「出荷調整」共に、卸・医療機関・保険薬局への連絡方法は、主に「MR による説明」、「お知らせ文書」、「卸に情報提供を依頼」で実施している。

 ↓表【卸・医療機関・保険薬局への連絡方法】

 「代替品を求められた時の対応状況」(複数回答可)では、主に「MRによる説明」と「お知らせ文書」による情報提供で実施。次に「代替品を個別に紹介」、「Web サイトで情報提供」となっている。
 「その他」は、コールセンター、DM、自社Webサイト、学会Webサイト等。

 ↓表【代替品を求められた時の対応状況】

 「各方面に対する主な要望(事例)」では、行政側に対しての要望は以下の通り。
・市場全体の供給状況等のデータベースの構築・一元管理
・欠品・出荷停止、出荷調整発生時における他社との情報共有・協議を円滑に進める為の支援(ルール化、独禁法適用除外)
・安定供給に係るコストの薬価制度上の措置等
・サプライチェーンに係る国の支援(在庫備蓄、買上げ等)

 卸側、医療機関・保険薬局に対する要望は以下の通り。
・出荷調整時の引き続きのご協力

 安定確保委員会に対しての要望は以下の通り。
・出荷状況について一元的に把握できるデータベース構築
・医薬品供給状況に関する用語等の整理
・供給不安が生じた場合の実効性のある対応スキームの検討

この記事のライター

関連するキーワード


後発医薬品 供給不安

関連する投稿


【医薬品供給状況】不足カテゴリートップは抗生剤/株式会社イヤクル調査

【医薬品供給状況】不足カテゴリートップは抗生剤/株式会社イヤクル調査

【2024.12.03配信】株式会社イヤクル(本社:北海道、代表取締役:佐孝尚氏)は、薬剤師を対象に「医薬品供給不足に関するアンケート調査」を実施。その結果、出荷調整品のカテゴリーでは抗生剤がトップだった。


【選定療養の影響調査】ヒルドイドの調剤額が4割超減/インテージリアルワールド社

【選定療養の影響調査】ヒルドイドの調剤額が4割超減/インテージリアルワールド社

【2024.11.15配信】株式会社インテージリアルワールドはこのほど、長期品の選定療養導入による後発医薬品への切替の影響を調査した。その結果、選定療養対象薬剤の推計調剤金額トップ10の薬剤のうち、ヒルドイド、プログラフ、グリベック、シムビコート、ネキシウム、アジルバなど、6製品において調剤金額が前月比で3割以上減少していた。ヒルドイドでは4割超減少している。同社データベース Cross Fact の2024年10 月データを基に、院外調剤市場における医療用医薬品の動きを見たもの。


【厚労省】後発薬の「ロードマップ」策定・公表

【厚労省】後発薬の「ロードマップ」策定・公表

【2024.09.30配信】厚生労働省は9月30日、「安定供給の確保を基本として、後発医薬品を適切に使用していくためのロードマップ」及び「バイオ後続品の使用促進のための取組方針」を策定・公表した。


【厚労省】長生堂製造の医薬品、品質等に問題がなければ「出荷は差し支えない」

【厚労省】長生堂製造の医薬品、品質等に問題がなければ「出荷は差し支えない」

【2024.06.11配信】厚生労働省医薬局監視指導・麻薬対策課は6月10日、事務連絡を発出した。一部の医薬品で製造販売承認書から逸脱した製造方法により医薬品の製造が行われ、出荷停止を行っている長生堂製薬。同社製造の医薬品に関して、製造販売業者により性状、品質等に問題がないことが確認された場合、出荷して差し支えないとした。


【厚労省】「経口抗菌薬の在庫逼迫に伴う協力依頼」発出

【厚労省】「経口抗菌薬の在庫逼迫に伴う協力依頼」発出

【2024.06.04配信】厚生労働省医政局医薬産業振興・医療情報企画課は5月31日、各地域の衛生主管部事宛に事務連絡「経口抗菌薬の在庫逼迫に伴う協力依頼」を発出した。過剰な発注は厳に控えることなどを依頼している。


最新の投稿


【規制改革WG】事前処方・調剤の質疑への回答公表/在宅医療における円滑な薬物治療の提供で

【規制改革WG】事前処方・調剤の質疑への回答公表/在宅医療における円滑な薬物治療の提供で

【2025.05.01配信】規制改革推進会議「健康・医療・介護ワーキング・グループ(第5回)」が5月1日、開催された。その中で令和7年3月14日に開催された「第2回健康・医療・介護 WG」に関する委員・専門委員からの追加質疑・意見に対する厚生労働省の回答を公表した。


【東京都薬務課】健康食品試買調査結果、79%が違反/効能効果の標榜に販売店のチラシなども注意

【東京都薬務課】健康食品試買調査結果、79%が違反/効能効果の標榜に販売店のチラシなども注意

【2025.04.30配信】東京都薬務課は4月30日に定例会見を開き、都が毎年行っている健康食品試買調査の結果を説明した。124製品中、98製品、79%に不適正な表示、広告が発見されたという。医薬品的な効能効果の標榜を禁止している薬機法違反も多いが、景品表示法、食品表示法、特定商取引法などの違反も見られる、都では複数の法律で規制されている健康食品を取り扱う事業者に向けて講習会を開いており、講習会参加なども生かして法令遵守に取り組んでほしいとしている。


【厚労省_疑義解釈(その24)】DX加算のマイナ保険証利用率について

【厚労省_疑義解釈(その24)】DX加算のマイナ保険証利用率について

【2025.04.28配信】厚生労働省は4月25日、診療報酬改定についての「疑義解釈(その24)」を発出した。「医療DX推進体制整備加算」の施設基準の1つであるマイナ保険証利用率について回答。4月については在宅患者を分母から引いて構わないとしている。現在は通常の外来患者がマイナ保険証を利用した場合のみが反映されているため。5月以降については、居宅同意取得型のオンライン資格確認によるマイナ保険証利用件数が社会保険診療報酬支払基金から通 知するマイナ保険証利用率集計に含まれる予定。


【日本薬剤師会】電子お薬手帳ビューワー、他職種への周知を依頼

【日本薬剤師会】電子お薬手帳ビューワー、他職種への周知を依頼

【2025.04.26配信】日本薬剤師会は電子おくすり手帳簡易ビューワーアプリ「e薬 SCAN」について、他職種への周知依頼を都道府県薬剤師会宛てに発出した。


【財政審】 後発薬調剤体制加算等、政策目標の達成状況を踏まえ「必要に応じ報酬体系の再編を」

【財政審】 後発薬調剤体制加算等、政策目標の達成状況を踏まえ「必要に応じ報酬体系の再編を」

【2025.04.23配信】財務省は4月23日に財政制度等審議会「財政制度分科会」を開催した。


ランキング


>>総合人気ランキング