【店頭トレンド発信】matukiyo LAB「サプリメントバー」体験レポート/傾聴のスキル育成に感嘆

【店頭トレンド発信】matukiyo LAB「サプリメントバー」体験レポート/傾聴のスキル育成に感嘆

【2021.09.06配】「地域のお客様の美と健康をトータルサポートする」をコンセプトに展開する「matukiyo LAB」。薬剤師・管理栄養士・ビューティスペシャリストが専門的な知識ときめ細やかなサービスを提供する新しいスタイルのマツモトキヨシだ。管理栄養士が提供するサービス「サプリメントバー」では顧客の悩みや生活習慣から必要な栄養素を提案、自分に合ったサプリメントをつくることができる。今回は実際にサプリメントバーを体験しレポートする。2021年10月にはココカラファインと経営統合を控えているマツモトキヨシ。前回レポートした対面サービスを含めて、両者ににどのような共通点があるのか。【記事=登録販売者ライター・「梨さん」】


1、オーダーメイドサプリの作り方

 今回訪れたのは関東のmatukiyo LAB。駅から近くアクセスしやすい店舗だ。
マツキヨといえば黄色い外観が印象的だが、matukiyo LABの外観はモノクロで統一されている。
従来の店舗とのギャップとそのスタイリッシュなデザインが目を引き、ワクワクした気持ちになる。はやる気持ちを抑えて入店するが、その日はあいにく管理栄養士が不在。残念ながらサービスを受けることが出来なかった。
その場にいた店舗スタッフにサプリメントバーの提供時間を聞き、日を改めて伺うことになった。(後日、これがきっかけで驚くことになるとは当時は知る由もなかった。)

 数日後。サプリメントバー再チャレンジのため来店。専用カウンターでサプリを作ってみたい旨を話す。管理栄養士がすぐご案内できるとのことでカウンターに腰を掛け、さっそくカウンセリング開始。カウンセリングの進め方には種類があり、具体的なお悩みを聞いて必要な栄養素を提案する方法と、チェックシートを用いて自分に必要な栄養素を導きだす方法の2パターンあるようだ。
 私は自分自身の悩みがはっきりしなかったのでチェックシート方式で進めてもらうことにした。
 チェックシートは「食事・美容・生活習慣」の三項目に分かれていて、それぞれの問いに「当てはまる・やや当てはまる・当てはまらない」を記入する。医薬品や他のサプリメントの服用の有無があれば、その情報も考慮され、より正確な提案ができる。
 記入したものをスタッフがタブレットに入力、必要な栄養素がグラフ化され、それを元に管理栄養士がアドバイスしてくれる…という流れだ。
 
 私の場合は日ごろチョ〇ラBBを服用していたので、マツキヨのサプリではビタミンB群は除外したほうがいいと提案された。同じ栄養素を過剰に摂取すると吸収しきれなかった分は尿として排出されるのでもったいないとのことだ。
 代わりにおススメしてくれたのは天然型ビタミンEと亜鉛。天然型ビタミンEは体内の脂質を酸化から守り、血液の巡りを良くしてくれるのでこれからの寒暖差が気になる季節に相性が良い。亜鉛は皮膚や粘膜正常に保つために必要な栄養素。ビタミンB群も皮膚や粘膜の栄養素のため、今飲んでいるビタミン剤のサポートとして加えてあげると良いのではないかとアドバイスをしてくれた。

 サプリをただ勧めるのではなく、足りている栄養素はしっかり取り下げ、プラスした方が良いものは自信をもって勧めてくれる管理栄養士の接客レベルの高さにとても感心した。

 カウンセリングを重ね、ある程度必要な栄養素が決まったところで、「今選んだサプリ、一日に飲む量はどのくらいなのか実際見てみましょう」と言われる。サプリの実物が一粒一粒シャーレに乗せられるが、この時、思ったより量が多いことに気が付く。(一日10粒を超える量になってしまった。毎日こんなに飲めるのかな…)と戸惑っていると「毎日飲むのが負担になりそうなら量を減らしたり調整したりすることもできますよ」と提案してくれた。管理栄養士の言う通り、少し負担に感じていたので選んだ栄養素のうち、いくつか減らしてもらった。
 自分が選んだものをキャンセルするのは何だか後ろめたさを感じるな…と思っていたので、管理栄養士から提案してくれたこの気遣いはとてもありがたいと感じた。

 欲しいサプリが決まり、いよいよ分包してもらう。今回選んだのは天然型ビタミンEを含む4種のサプリ。お試しということで7日分をお願いした。分包パターンも「一日分ごとに分包」か「一日二回に分けて飲めるよう分割」のどちらかを選べるらしい。「飲みやすさ重視なら分割が良いですよ」と最後の最後まで親切にしてもらい、分割で分包してもらうことにした。

 いよいよ会計し商品を受け取る。管理栄養士から「今回はすぐご案内できたが、混雑時は待ち時間が発生することもあるため、事前予約するとスムーズに案内できますよ」と案内をもらった。なるほど、次からはそうしようと帰ろうとしたときだった。

 『他のスタッフから聞いたんですが、前回サプリメントバーがお休みの時にいらっしゃってくれたんですよね。今日また来て頂いてありがとうございます。よかったらまたいらしてくださいね。』

 管理栄養士の優しく思いやりのある言葉に衝撃が走った。
 お見送りの時までお客さんを気遣い、対応する姿を目の当たりにし、同じドラッグストアで働く身として学びを得た瞬間でもあった。最後のお見送りまでおもてなしされているようで、「ドラッグストアの接客もここまでレベルの高いものになったか」と感心する気持ちと「自分も負けていられない」という意欲が沸き、お客さんとしても店頭スタッフとしても大変刺激になった一日であった。

2、対面サービスにおけるマツキヨとココカラスタッフの共通点

 マツモトキヨシとココカラファイン、どちらのスタッフも限られた時間でお客さんとの人間関係を構築することに長けている。

 スタッフの豊富な知識のおかげでカウンセリングが円滑に進むことや終始落ち着いた様子でハキハキとした話し方で接してくれることで、この担当者にならなんでも相談が出来るぞ、という安心感が生まれる。
 
 また、お客さんの話を聞く能力もとても高く、「このお客さんが必要としているものは何なのか」というニーズを探るため、傾聴する姿勢がスタッフにしっかり身についているのだ。
 「お客さんに何を話すのか」ではなく、「お客さんの話をどう聞くのか」を念頭に置き、話に耳を傾け、共感することでニーズを捉える。それがお客様への満足と信頼につながっていることを両社のサービスから感じた。

3、最後に

 対面サービスのスタッフはお客さんの深い悩みに触れることが多いため、より専門的な知識が求められる。また、一対一で対応するので、カウンセリングから会計までやり遂げるオペレーション能力も必要だ。
 マツキヨとココカラの対面サービススタッフはそのどちらの能力も兼ね備えており、両社ともにスタッフの育成に力を入れていることがうかがえる。

 2021年10月にはマツキヨココカラ&カンパニーになり、大きな進化を遂げる。2社が組み合わさることで、お客さん一人ひとりのお悩みに合わせて行う対面サービスはますます発展していくだろう。専門性と利便性を兼ね備えた独自性のあるサービスがどう変わっていくのか、目が離せない日々が続く。

マツキヨといえば黄色い外観が印象的だが、matukiyo LABの外観はモノクロで統一されている

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