【後発薬の供給状況】5割の薬局で後発薬使用率減少/入手困難な医薬品は3173 品目/薬剤師会調べ

【後発薬の供給状況】5割の薬局で後発薬使用率減少/入手困難な医薬品は3173 品目/薬剤師会調べ

【2021.08.06配信】日本薬剤師会は8月25日に、「後発医薬品の供給状況に関するアンケート結果について【速報】」を公表した。令和 3 年 1 月と 7 月それぞれの単月使用率を比較したところ、5割以上の薬局で減少していた。使用率が最も減少した薬局では、約10%の下げ幅となっている。入手困難な医薬品のうち、その要因の約7割は「出荷調整」。


 調査は、一部の後発医薬品メーカーの不祥事に伴う業務停止などの影響により、後発医薬品の供給不足が発生していることを踏まえ、現場の薬局における後発医薬品の使用状況への影響などを把握するために実施したもの。

 調査では、令和 3 年 1 月から令和 3 年 7 月を対象にした後発医薬品の使用率の状況を調べた。
 そのほか、後発医薬品使用率の変化に伴う影響や、入手困難になっている医薬品やその背景と各薬局における主な代替策を聞いている。

その結果、令和 3 年 1 月と 7 月の単月使用率を比較すると、回答数166薬局のうち、使用率が減少したのは 84 薬局で、回答薬局の 50.6%となった。

 減少率の分布を見ると、使用率が減少した 84 薬局のうち、5%以上減少したのは 8.3%、3~5%減少したのは 10.7%、1~3%減少したのは 52.3%、1%未満は 28.5%だった。なかでも最大で 10%以上も減少している薬局があった。

 入手困難になっている医薬品は3173 品目で、困難な要因として、「出荷調整がかかっている」のは 2207 品目、「注文を断られた」のは 714 品目となっており、全体の 7 割が出荷調整で入手困難になっている(その他、未回答が 252 品目)。

 入手困難になっている医薬品3173 品目のうち、「現在、在庫で対応している」のは 1693 品目と全体の半数以上を占める。また、「他メーカーの後発医薬品に切り替えて対応している」のは 582 品目、「先発品に切り替えて対応している」のは 470 品目、「同効薬に変更して調剤している」のは 162 品目、「患者さんの希望でやむを得ず他の薬局を紹介している」が 15 品目、その他(未回答含む)が 251 品目となっている。

 入手困難になっている主な医薬品は、エルデカルシトールが「183」と回答数が最も多く、次いで、ビソフロロールが「134」、アルファカルシドールが「129」と続いている。

 入手困難な主な医薬品は下記の通り(医薬品名、回答数)。
エルデカルシトール(骨粗鬆症薬) 183
ビソフロロール(高血圧症薬) 134
アルファカルシドール(骨粗鬆症薬) 129
オロパタジン(抗アレルギー薬) 123
プランルカスト(喘息薬) 111
エディロール(骨粗鬆症薬) 91
ランソプラゾール(消化性潰瘍薬) 89
トリアゾラム(睡眠薬) 78
 なお、複数規格を有する品目または複数メーカーが存在するものについては、合算している。

 調査期間は令和 3 年 7 月 27 日(火)~8 月 2 日(月)。メールで回答を受け付け集計した。
 回答数は日本薬剤師会・医療保険委員会委員を介して協力が得られた 166 薬局。

この記事のライター

関連する投稿


【日本薬剤師会】財政審の改革提言に反論、「薬局増えても調剤報酬増えない」

【日本薬剤師会】財政審の改革提言に反論、「薬局増えても調剤報酬増えない」

【2025.11.05配信】日本薬剤師会は11月5日に会見を開いた。この中で、同日公表された財政制度等審議会(財政審)財政制度分科会の提言に対し反論した。


【日本薬剤師会】岩月会長が敷地内薬局めぐる議論にコメント

【日本薬剤師会】岩月会長が敷地内薬局めぐる議論にコメント

【2025.11.05配信】日本薬剤師会は11月5日に定例会見を開いた。その中で、岩月進会長が中医協での敷地内薬局をめぐる議論に対してコメントした。


【日本薬剤師会】京都学術大会のオンデマンド配信を追加募集/PECS付与対象

【日本薬剤師会】京都学術大会のオンデマンド配信を追加募集/PECS付与対象

【2025.10.22配信】日本薬剤師会(日薬)は10月22日に定例会見を開き、先ごろ終了した日薬学術大会の「京都大会」のオンデマンド配信を追加募集すると説明した。PECS付与対象となる。


【日薬】医薬品情報共有「N-Bridge」運用開始/薬剤師会に対しては従来のFAXコーナーから切り替え

【日薬】医薬品情報共有「N-Bridge」運用開始/薬剤師会に対しては従来のFAXコーナーから切り替え

【2025.10.08配信】日本薬剤師会は10月8日に定例会見を開き、医薬品情報共有機能を含めた薬局DX基盤サービス「N-Bridge」の運用を開始すると説明した。薬局に対しては、電子お薬手帳・処方箋受付・医薬品情報共有・医薬品発注等の機能を統合したシステムを提供する。電子お薬手帳システム等を続合し、各都道府県・地域・支部 薬剤師会に対して従来のFAXコーナーから切り替えを行う見込み。


【日薬学術大会】ブース出展/災害備蓄や認知症の服薬支援で技術紹介/アルフレッサ

【日薬学術大会】ブース出展/災害備蓄や認知症の服薬支援で技術紹介/アルフレッサ

【2025.09.30配信】医薬品の流通を担う社会インフラ企業であるアルフレッサ株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:福神雄介氏)は、2025年10月12日(日)~13日(月・祝)に国立京都国際会館にて開催される「第58回日本薬剤師会学術大会」に出展する。「かかりつけ薬剤師の新たな挑戦!健康・生活を支える商品と信頼」をテーマに、医療現場の業務効率化と患者様の満足度向上に貢献するソリューションを紹介する予定。


最新の投稿


【薬機法改正】「指定濫用防止医薬品」にデキストロメトルファンとジフェンヒドラミン/調査会方針

【薬機法改正】「指定濫用防止医薬品」にデキストロメトルファンとジフェンヒドラミン/調査会方針

【2025.11.11配信】厚生労働省は11月11日、「令和7年度第8回薬事審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会」を開き、改正薬機法に定めた「指定濫用防止医薬品」としてデキストロメトルファンとジフェンヒドラミンを指定する方針を了承した。


【薬団連】OTC類似薬についてシンポジウム開催

【薬団連】OTC類似薬についてシンポジウム開催

【2025.11.09配信】薬局団体連絡協議会(薬団連)は11月9日に「第7回シンポジウム」を開き、「OTC類似薬」をテーマに取り上げた。参画団体共通の声明については今後の課題として、今回は策定・公表はしていない。


【東京都薬剤師会】市販緊急避妊薬の「産婦人科医等との連携リスト」関与の方針

【東京都薬剤師会】市販緊急避妊薬の「産婦人科医等との連携リスト」関与の方針

【2025.11.07配信】東京都薬剤師会(都薬)は11月7日に定例会見を開いた。その中で、市販化の見通しとなった緊急避妊薬の販売条件となる「産婦人科医等との連携体制」のリストについて、都薬としても関与していく方針を示した。


【東京都薬剤師会】改定議論、「大手に誤解進むのは怖い」/髙橋正夫会長

【東京都薬剤師会】改定議論、「大手に誤解進むのは怖い」/髙橋正夫会長

【2025.11.07配信】東京都薬剤師会は11月7日に定例会見を開いた。この中で髙橋正夫会長は、調剤報酬改定の議論に触れ、「大手の方々に誤解進むのは怖い」と話した。


【日本薬剤師会】財政審の改革提言に反論、「薬局増えても調剤報酬増えない」

【日本薬剤師会】財政審の改革提言に反論、「薬局増えても調剤報酬増えない」

【2025.11.05配信】日本薬剤師会は11月5日に会見を開いた。この中で、同日公表された財政制度等審議会(財政審)財政制度分科会の提言に対し反論した。


ランキング


>>総合人気ランキング