新しい収益の柱求めるドラッグストア【物販でも健康領域でもない“ライフコンシェルジュ”】

新しい収益の柱求めるドラッグストア【物販でも健康領域でもない“ライフコンシェルジュ”】

【2020.10.16配信】ドラッグストア企業で、新しい収益の柱を求める動きが顕在化している。10月13日にサツドラホールディングスは子会社の電力販売会社で割安な新プランを発表。6月にはWiFiサービスの代理店契約を結ぶなど、モノの販売だけでなく店頭を起点にした電力、通信などのサービスの販売を手掛ける。同社は店頭の「ライフコンシェルジュ」化を標榜する。また、大阪府に本社のあるドラッグストア企業のミック・ジャパンは10月12日に「ミックライフサポーター」事業を関西エリアで開始。中心とした地域住民の清掃などの“お困りごと”に応える。


背景は人口減少

 背景にあるのは人口減少だ。
 国内人口は2065年には8000万人台にもなるとも言われ、確実に人口減少が進んでいく。
 人口が減るということは、小売業にとって大打撃だ。来店客1人当たりの売上が横ばいのままであれば、確実に売り上げが下がる。そこで、各社では「これまでにないサービス」にまで触手を広げ、「1人当たりの売上」を上げようとする動きが活発になっているのだ。ドラッグストア各社での食品の取り扱い強化も、その一環である。
 
 ここ最近では、食品といった「物販」の領域拡大に動きはとどまらない。
 サツドラホールディングスは10月13日に、子会社で電力販売会社エゾデンがLooop社と電力提供に関する媒介契約を締結し、新プラン「エゾデンのおうちプラン」を開始すると発表した。さらに同社は今年6月にエックスモバイル社と代理店契約を締結し、 WiFiサービスを店頭から販売する施策などを取り入れている。

 これらは同社が掲げる「店舗のライフコンシェルジュ構想」の一環だ。同社では店舗の役割が「モノを売ること」から「モノ×サービスの提供」に変化していくと考えている。

 また、大阪府に本社のあるミック・ジャパンは10月12日から、清掃など地域住民の“お困りごと”に応える事業を関西エリアで開始した。事業名は「ミックライフサポーター」。
これまでのドラッグストアの事業拡大は食品拡充といった「物販領域」の拡大や調剤や在宅医療などの「健康関連」を主軸としてきたが、両社の動きは、「物販」や「健康」の枠から出て、「生活」全般をフォローしていこうとしているところに共通点があるといえる。

 ミック・ジャパンは関西エリアでドラッグストア14店舗、介護事業所(デイサービス)8施設、関東エリアで14施設、九州エリアで13施設、東北エリアで3施設の介護事業所(デイサービス)を展開している。
 「101%お客様目線で、心あるサービスをお届けする。」を企業理念に掲げる同社は、地域のお客様に”もうひとつ”喜んでいただくためにできることがないか模索し、九州で介護事業の利用者である高齢者を中心に提供を開始したところ、好評を得たため、ドラッグストアを展開する関西エリアでの実施を決めた。

 同社では「来店客にチラシを渡してミックライフサポーター事業の紹介を行うなど、ドラッグストア店頭との連動を図っていく」としている。

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