【2020.08.27配信】
7月のOTC薬のトレンドでは、“マスク荒れ”による需要増で湿疹・皮膚炎治療薬が+6.4%と伸びている。“自粛太り”対策として肥満対策の漢方薬も好調だ。
インテージヘルスケアが全国一般用医薬品(OTC)販売動向調査のデータを基に、「2020年7月度 市販薬市場トレンド」を発表したもの。
7月度の販売金額は918億で過去5年間の7月で最低水準
7月度の市販薬の市場規模は918億円、前年同月比は96.5%で、過去5年間の7月の販売金額の平均を100とした場合の指数では97.1と最低水準だった。
新型コロナウイルスによる影響だけでなく、記録的な豪雨や長引く梅雨など、月間を通じて全国的に悪天候だったことが消費全般を押し下げる要因となった。
7月の市場全体は過去5年で最低水準
殺菌消毒剤は引き続き大幅増の前年比406%
市場全体への影響要因としては、依然として新型コロナウイルスによるものが大きいものの、気候の変化とともに需要に動きが見られる。
販売金額上位10薬効の中で最も好調だったのは殺菌消毒剤で、前年同月比406.0%、52.5億円と過去の販売金額を更新し続けている。
その中でもジェルタイプを中心とした手指消毒剤が前年同月比で約20倍の42.0億円という記録的な売上になった。新製品が相次いで発売されたことも要因としてあげられる。
漢方薬は、前年同月比109.8%、49.8億円と2か月連続で好調だった。肥満・脂肪対策の防風通聖散が5月以降に伸びていて、7月は前年同月比111.0%の11.3億円。自粛による運動不足などで肥満を気にする人が増えていることもうかがえる。
また気圧変動による不調に対処するという新しい効能効果を訴求した五苓散が、前年同月比299.1%の2.1億円と好調で、今後の需要も見込まれる。
ほぼ前年並みの99.4%だった皮膚用薬(殺菌消毒剤を除く)の中では、湿疹・皮膚炎対処用の治療薬が前年同月比106.4%の26.2億円で、化膿やにきび対処用の製品も好調。この背景には、気温が暑くなりマスク着用による肌荒れに悩む人が増加したことに加え、医療機関でのコロナ感染を懸念してか皮膚科を受診する患者が減少していることなどが考えられる。
中には、包装パッケージの効能効果を分かりやすく表現したものに変更し、販売を大幅に伸ばしている製品シリーズもある。
ドリンク剤は外出自粛の影響を大きく受け前年同月比89.8%
夏場に売れる傾向にあるドリンク剤は外出自粛の影響を大きく受け、前年同月比89.8%、79.1億円だった。特に店頭で購入してその場で飲める1本タイプの落ち込みが目立ち、コンビニエンスストアなどでも売れ行き不振となっている。
胃腸薬は前年同月比97.4%、鎮暈剤(乗り物酔い止め)は45.3%と大幅な不振が続いている。いずれの前年同月比も2月に急激に下がり始め、4月に底を打ち、5月以降は改善傾向にある。
前年同月比89.5%だった外用鎮痛・消炎剤は、貼り薬や塗り薬などインバウンド需要の激減により不振が続いているが、訪日観光客による購買の割合が少ない店舗では、影響は小さい。
【好調薬効】
・殺菌消毒剤
・漢方薬(肥満・脂肪対策の防風通聖散/気圧変動による不調に対処する五苓散)
・湿疹・皮膚炎対処用の治療薬(マスク着用による肌荒れに悩む人)