この中では、市販薬の乱用についても調査している。
中学生のうち過去1年間で市販薬の乱用を経験した比率は1.8%で、55人に1人の割合となった。このうち、男子は1.5%、女子は2.0%だった(推計値)。
また、乱用した市販薬の入手先は薬局・ドラッグストア等の実店舗64.2%、家の常備薬33.3%、友人・恋人・知人3.6%、インターネット3.5%だった。
この研究で中学生における市販薬の乱用を調査したのは初めて。咳止め薬などの市販薬の乱用・依存症例が急増していることを背景に中学生の実態についても調査した。今回の結果を受け、全国に広がっている可能性があると調査報告書では考察している。
この調査は令和6年度厚生労働行政推進調査事業費補助金事業。分担研究者は、国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所薬物依存研究部の嶋根卓也氏。
都道府県単位で無作為に選んだ244校を対象に調査し、3万7967人の回答を分析したもの。調査期間は2024年9月から12月。
なお、嶋根研究班では2023年には15歳から64歳までの一般住民5000人を調査、過去1年以内の乱用経験率0.75%との結果が出ていた。ここから1年以内の市販薬の乱用経験者が65 万人と推計がなされるなど、市販薬乱用の“実数”に迫る調査として注目されている調査だ。これまでは分子(患者数など)の情報が多かったが、初めて分母(実際の経験者数)を算出した調査結果と指摘されている。2024年の今回の調査では中学生の実態に迫った形。