調査は3年前にも同様のものを実施していた。3年前は5・6年生だったが、今回は4年生まで対象を拡大した。
薬学生の就職の動向や薬剤師の地域偏在、業態の偏りへの推移を明らかにすることを目的にしている。
令和6年度地域医療基盤開発推進事業「NDB等を活用した病院薬剤師の確保に向けた業務の効率化と潜在薬剤師の活用に関する研究」の研究代表者安原眞人氏と協同してWebアンケート調査を実施。
全国75の薬科大学の学長・薬学部長宛に依頼状を送付。学長・学部長の承諾が得られた場合に大学から該当の学生に依頼文書を通知し、学生は任意にWebで回答する。
アンケート実施時期は令和7年1月6日から3月4日。
回答結果は3245人からアクセスがあり、アンケートの趣旨説明を理解し自らの自由意思でアンケートに回答することに同意した3182人を有効回答とした。
回答者の内訳は4年生1201人、5年生1298人、6年生683人。
大学別では国公立大生412人(12.9%)、私立大学生2770人(87.1%)。
結果としては、奨学金に関連する項目では、奨学金を利用している学生は33.8%。
最頻値は300万~400万円で253人(24.5%)、1000万円以上も305人(29.6%)いた。
1年あたりの返済予定額は20万~40万未満が最頻値(306人;31.0%)で、100万円以上と回答した学生は84人(8.5%)、その内200万円以上と回答した学生は36人(3.6%)であった。
就職活動については、活動時期の早期化がみられた。
就職活動終了者(921人)においては、就職活動の開始時期は5年生の後期が最頻時期408人(44.3%)であったが、4年進級前と回答した学生は24人、4年時と回答した学生は78人であった。
就職先は、就職活動終了者の就職先は、保険薬局37.5%、病院23.6%、ドラッグストア20.8%、製薬企業・卸売業9.7%、行政2.5%、大学院3.0%。320人(34.7%)が奨学金を利用しており、保険薬局への就職者では39.7%と平均を上回っていた。病院は34.1%。
内定時期の最頻時期は5年生後期498人(54.2%)で、次が6年生前期318人(34.6%)であった。3年前の内定時期と比べると薬学生の就職内定時期が早まっているとした。
勤務先決定要因については、就職活動を終了した学生(918人)に就職先の決定要因を尋ねると、251人(27.3%)が業務内容・やりがいと回答し第1位、次いで、給与水準139人(15.1%)、勤務予定地99(10.8%)、福利厚生97人(10.6%)の順。3年間で顕著な変化は認められないが、業務内容・やりがいの比率が若干低下し、給与水準を重視する割合が増加した(最頻値は300万~400万円だが400~500万が増加)とした。