【中医協】医療DX推進体制加算、10月から3区分に/マイナ保険証利用率に応じて

【中医協】医療DX推進体制加算、10月から3区分に/マイナ保険証利用率に応じて

【2024.07.17配信】厚生労働省は7月17日に中央社会保険医療協議会(中医協)総会を開催し、医療DX推進体制整備加算の取り扱いについて議論した。


医療DX推進体制整備加算1は7点/現行の「4点」+「3点」

 医療DXに係る診療報酬上の評価の取扱いについては、2024年6月施行の診療報酬・調剤報酬改定において、令和6年12月2日から現行の健康保険証の発行が終了することを踏まえ、医療情報取得加算による適切な情報に基づく診療の評価の在り方について令和6年度早期より見直しの検討を行うとともに、医療 DX 推進体制整備加算について、今後のマイナンバーカードの保険証利用の利用実態及びその活用状況を把握し、適切な要件設定に向けて検討を行うこととされていた。加えて、医療 DX 推進体制整備加算について、電子処方箋の導入状況および電子カルテ共有サービスの整備状況を確認しつつ、評価の在り方について引き続き検討することとしていた。

 同日の中医協では、医療DX推進体制整備加算について、3区分にすることを事務局は提案。その後、点数入りで答申となった。

 調剤では9月までは医療DX推進体制整備加算は4点とされている。
 これに対し、医療DX推進体制整備加算1では7点(現行の「4点+3点」)とし、医療DX推進体制整備加算2では6点(現行の「4点+2点」)、医療DX推進体制整備加算3では「4点」とした。「3」を従来の点数とし、「2」「1」で上位点数を設けた。

 それぞれの加算区分ではマイナ保険証利用率を設定する。

 また、「令和6年10月〜」の算定については「令和6年7・8月~」の利用実績を用いる。マイナ保険証利用率は以下の通り。
1→15%
2→10%
3→5%

 「令和7年1月~」の算定では「令和6年10・11月~」の利用実績を用いる。マイナ保険証利用率は以下の通り。
1→30%
2→20%
3→10%

適用時期の3月前のレセプト件数ベースマイナ保険証利用率を用いる。ただし、令和6年10月~令和7年1月は、適用時期の2月前のオンライン資格確認件数ベースマイナ保険証利用率を用いることもできる。
令和7年4月以降のマイナ保険証利用率の実績要件は、附帯意見を踏まえ、本年末を目途に検討、設定。

 加えて、「1」と「2」については、マイナ保険証利用率のほか、「マイナポータルの医療情報等に基づき、患者からの健康管理に係る相談に応じること」との要件を新設する。

医療情報取得加算は12月から12月に1回に限り「1点」に一本化

 一方、6月から11月まで医療情報取得加算は調剤では、6月に1回に限り、「医療情報取得加算1(現行の保険証の場合) 3点」、「医療情報取得加算2(マイナ保険証の場合) 1点」となっているが、12月からは「(12月に1回に限り算定)医療情報取得加算 1点」となる。

薬局におけるマイナ保険証の利用率の平均値(4月実績)はレセプト件数ベースで6.8%

 なお、厚労省が示した薬局におけるマイナ保険証の利用率の平均値(4月実績)は、レセプト件数ベースで6.8%、オンライン資格確認件数ベースで9.6%。

 利用率の基準は①レセプト件数ベース利用率(2か月後に把握可能)と、②オンライン資格確認件数ベース利用率(1か月後に把握可能)の2種がある。

 事務局は「施設基準通知等の規定事項(案)」を以下のように示した。
<マイナ保険証利用率に関する事項について>

○ 医療DX推進体制整備加算のマイナ保険証利用率要件については、適用月の3月前のレセプト件数ベースマイナ保険証利用率を用いること。また、令和6年10月から同年12月まで及び令和7年1月以降のマイナ保険証利用率の基準を規定すること。(「個別改定項目について」②第2の1.改定案欄[施設基準通知]第1の9 1(6)等関係)

○ 医療DX推進体制整備加算のマイナ保険証利用率要件について、令和6年10月から令和7年1月までの間は、適用月の3月前のレセプト件数ベースマイナ保険証利用率に代えて、適用月の2月前のオンライン資格確認件数ベースマイナ保険証利用率を用いることも可能であること。(「個別改定項目について」②第2の1.改定案欄[経過措置]1等関係)

○ 適用月の3月前のレセプト件数ベースマイナ保険証利用率 又は 2月前のオンライン資格確認件数ベースマイナ保険証利用率に代えて、その前月及び前々月のマイナ保険証利用率を用いることも可能であること。 (「個別改定項目について」②第2の1.改定案欄[施設基準通知]第1の9 1(8)等関係)
例)令和6年10月適用分:
同年7月実績のレセプト件数ベースマイナ保険証利用率 → 5月、6月実績も可
同年8月実績のオンライン資格確認件数ベースマイナ保険証 → 6月、7月実績も可

<届出に関する事項について>
○ 保険医療機関・薬局は、医療DX推進体制整備加算の算定に当たり、施設基準の届出が必要であるが、このうちマイナ保険証利用率に関する施設基準については、毎月社会保険診療報酬支払基金から報告されるマイナ保険証利用率が当該基準を満たしていればよく、特に地方厚生(支)局長への届出を行う必要はないこと。(「個別改定項目について」②第2の1.改定案欄[施設基準通知]第1の9 4(3)等関係)
○ すでに医療DX推進体制整備加算の施設基準を届け出ている保険医療機関・薬局は、届出直しは不要であること。ただし、すでに施設基準を届け出た保険医療機関・薬局において、マイナ保険証利用率要件が基準に満たない場合には、加算を算定できないこと。(疑義解釈通知で規定予定)

【編集部】事務局案に沿って答申があり、具体的な点数を追記しました 2024年7月17日11:55
     8月中の告示へ向けて準備が進められる見通し。

この記事のライター

関連する投稿


【厚労省_調剤疑義解釈】医療DX推進体制整備加算の取扱い(その1)

【厚労省_調剤疑義解釈】医療DX推進体制整備加算の取扱い(その1)

【2025.03.03配信】厚生労働省は2月26日、「医療DX推進体制整備加算の取扱いに関する疑義解釈資料の送付について(その1)」を発出した。


【インタビュー】厚生労働省 保険局 医療課 薬剤管理官 清原宏眞氏 

【インタビュー】厚生労働省 保険局 医療課 薬剤管理官 清原宏眞氏 

【2025.01.30配信】厚生労働省 保険局 医療課 薬剤管理官の清原宏眞氏は本紙インタビューに答えた。 


【令和8年度調剤報酬改定へ】「考え方」公表/日本薬剤師会

【令和8年度調剤報酬改定へ】「考え方」公表/日本薬剤師会

【2025.01.15配信】日本薬剤師会は1月15日、都道府県会長協議会を開催した。その中で、次期、令和8年度調剤報酬改定へ向けた「考え方」を公表した。


【日本薬剤師会】“期中改定”でコメント公表

【日本薬剤師会】“期中改定”でコメント公表

【2024.12.26配信】日本薬剤師会は12月26日、診療報酬改定のない年の“期中改定”についてコメントを公表した。


【DX加算】マイナ使用率議論に言及/日薬森副会長

【DX加算】マイナ使用率議論に言及/日薬森副会長

【2024.06.29配信】日本薬剤師会は6月29日に定時総会を開催。午後に開かれたブロック代表質問では、令和6年度調剤報酬改定で新設された「医療DX推進体制整備加算」についてマイナ保険証の利用実績という要件の議論について質問があった。


最新の投稿


【愛知県薬剤師会】会長候補者選挙、岩月氏後継指名の川邉氏が大差で勝利

【愛知県薬剤師会】会長候補者選挙、岩月氏後継指名の川邉氏が大差で勝利

【2025.03.23配信】愛知県薬剤師会は3月23日に臨時総会を開催し、会長候補者選挙を行った。その結果、現職の岩月進氏が後継指名していた川邉祐子氏が勝利した。正式には6月の総会で承認、就任する。


【OTC“自動販売機”】龍生堂本店で実証開始/大正製薬のサンドボックス制度

【OTC“自動販売機”】龍生堂本店で実証開始/大正製薬のサンドボックス制度

【2025.03.19配信】大正製薬株式会社(本社:東京都豊島区 社長:上原 茂氏)]は、ショッピングモールの薬局内にIoT(Internet of Things:モノのインターネット)化されたOTC販売機を設置し、第1類医薬品を含む一般用医薬品を販売する実証を、3月下旬(予定)より開始すると公表した。


【長期品の選定療養】「同一性への固執」による「医療上の必要性」認める

【長期品の選定療養】「同一性への固執」による「医療上の必要性」認める

【2025.03.18配信】厚生労働省は3月14日、「長期収載品の処方等又は調剤の取扱いに関する疑義解釈資料の送付について(その4)」を発出した。


【長期品の選定療養】患者が負担する「特別の料金」、医療費控除の対象/厚労省疑義解釈

【長期品の選定療養】患者が負担する「特別の料金」、医療費控除の対象/厚労省疑義解釈

【2025.03.18配信】厚生労働省は3月14日、「長期収載品の処方等又は調剤の取扱いに関する疑義解釈資料の送付について(その4)」を発出した。


【渡嘉敷奈緒美・元衆議院議員】次期衆院選へ出馬へ

【渡嘉敷奈緒美・元衆議院議員】次期衆院選へ出馬へ

【2025.03.16配信】渡嘉敷奈緒美・元衆議院議員が、3月15日に開かれた日本薬剤師会臨時総会で挨拶した。