【医薬品の安定供給へ】後発薬業界ができること/東和薬品が講演

【医薬品の安定供給へ】後発薬業界ができること/東和薬品が講演

【2024.05.28配信】5月25日に名古屋で開かれた「日本ジェネリック医薬品・バイオシミラー学会 学術大会」で、東和薬品執行役員の田中俊幸氏が「ジェネリック医薬品産業のあるべき姿の構築に向けて」と題して講演した。


他社との協業で「原薬調達の効率化にも」

 東和薬品の田中氏は、講演の中で、医薬品安定供給に向けて業界ができることの1つが企業間協業であるとし、推進していく方針を示した。

 「企業間の連携・協力」に関しては、厚労省「後発医薬品の安定供給等の実現に向けた産業構造のあり方 に関する検討会」の報告書でも対策の方向性の1つとして記載されていたが、当事者である企業としても推進していく方針を示した格好。

 田中氏は現在は自社複数工場による生産のバックアップ体制のために、必要な一変申請などを進めているとし、柔軟性、増産可能体制確保が進展していると説明。一方、2026年度以降については、こうしたバックアップ体制を他社間でも整備したいとした。
 企業間協業が原薬の調達効率化にもつながるとの見方も示した。
 「調達・生産・販売と見ていくと、今後はどうやって“ロジスティクス”を構築していくのかという時代に入ってくる」(田中氏)とした。さらに、「販売・流通を共にやることによって、変革をもたらすことができるのではないか」とも述べた。

 具体的なイメージとしては、あくまで例としつつ、例えば4社で製造をまとめて屋号を統一することなどが考えられるとした。その場合、売上をどうするのかについては、複数社で新たな製造販売企業を立ち上げることもあり得るとした。

「基金を導入など官民でモノづくり強化のための協働はできないか」/クオリティカルチャーと製造技術、分析能力を持っている会社だけが国内で製造する体制を

 “再生企業”へ、金融の支援も求めた。「自主点検の結果、問題が出てきた会社をすべてつぶしてしまって日本の医薬品産業が成り立つのか。再生すべき企業を見極めて、金融的な支援、例えば基金を導入していただくことで官民でモノづくり強化のための協働はできないか」と提案した。モノづくり強化の視点は、今後のバイオシミラーの国内生産増強のためにも必要だとした。

 企業間協業も含めて「クオリティカルチャーと製造技術、分析能力を持っている会社だけが国内で製造する体制を整えることで、社会インフラである後発薬の役割を果たしていく」と話した田中氏。
 この“技術”の保有に関しては、同じシンポジウムに登壇した関係者の多くが供給問題の最大の理由として挙げた。座長の小山信彌氏(日本私立医科大学協会)が「供給不足の問題の理由を1つだけ挙げるとしたら何か」と問うと、坂巻弘之氏(一般社団法人医薬政策企画 P-Cubed)は「技術力がないこと」と回答。医薬品開発・製造における技術支援を行っているネクスレッジ社の安本篤史氏も、「技術力が1つの問題だと思う。後発薬は特許が切れてから製造を始めるため、開発と製造の間での技術移転、ナレッジマネジメントが効いていない問題がある」と指摘し、それらが品質問題、そして不祥事へとつながったとの見解を示した。

東和薬品では1年前に比べて出荷量が110%を超えている「Aプラス」が今年4月からは495品目に

 なお、足下の供給状況について田中氏は、東和薬品では1年前に比べて出荷量が110%を超えている「Aプラス」が今年4月からは495品目に至っていると説明。出荷量通常の「A」については156品目になっているとした。出荷量減少も49品目あるとし、今後、同社としては「少しでも出荷量通常ではなくAプラスにしたい」とした。
 一方で、「Aプラス」であっても、出荷状況が「通常出荷」のわけではないことにも触れた。例えばメジコンについては同社では出荷量が1年前に比べて140%であるのに対し、いまだに限定出荷を解除できていない。他社事情でこうした限定出荷状況にある190品目あるとし、「これらが医療現場の皆さんにご迷惑をおかけしている状況ではないか」とした。
 前述の供給情報は、厚労省から公開されている供給状況報告リストから分析できるものだとし、各社が安定供給に対応できているのか、可視化していくことも必要だと指摘した。
 なお、田中氏も製造のGMPと製造販売のGQPの関係について、製造所を持たなくても製造販売業者が成り立つ薬機法改正以降、製造販売業者が製造業者を監督する必要性が十分浸透されてこなかったことも問題点に挙げていた。

この記事のライター

関連するキーワード


後発医薬品 供給不安

関連する投稿


【医薬品供給状況】不足カテゴリートップは抗生剤/株式会社イヤクル調査

【医薬品供給状況】不足カテゴリートップは抗生剤/株式会社イヤクル調査

【2024.12.03配信】株式会社イヤクル(本社:北海道、代表取締役:佐孝尚氏)は、薬剤師を対象に「医薬品供給不足に関するアンケート調査」を実施。その結果、出荷調整品のカテゴリーでは抗生剤がトップだった。


【選定療養の影響調査】ヒルドイドの調剤額が4割超減/インテージリアルワールド社

【選定療養の影響調査】ヒルドイドの調剤額が4割超減/インテージリアルワールド社

【2024.11.15配信】株式会社インテージリアルワールドはこのほど、長期品の選定療養導入による後発医薬品への切替の影響を調査した。その結果、選定療養対象薬剤の推計調剤金額トップ10の薬剤のうち、ヒルドイド、プログラフ、グリベック、シムビコート、ネキシウム、アジルバなど、6製品において調剤金額が前月比で3割以上減少していた。ヒルドイドでは4割超減少している。同社データベース Cross Fact の2024年10 月データを基に、院外調剤市場における医療用医薬品の動きを見たもの。


【厚労省】後発薬の「ロードマップ」策定・公表

【厚労省】後発薬の「ロードマップ」策定・公表

【2024.09.30配信】厚生労働省は9月30日、「安定供給の確保を基本として、後発医薬品を適切に使用していくためのロードマップ」及び「バイオ後続品の使用促進のための取組方針」を策定・公表した。


【厚労省】長生堂製造の医薬品、品質等に問題がなければ「出荷は差し支えない」

【厚労省】長生堂製造の医薬品、品質等に問題がなければ「出荷は差し支えない」

【2024.06.11配信】厚生労働省医薬局監視指導・麻薬対策課は6月10日、事務連絡を発出した。一部の医薬品で製造販売承認書から逸脱した製造方法により医薬品の製造が行われ、出荷停止を行っている長生堂製薬。同社製造の医薬品に関して、製造販売業者により性状、品質等に問題がないことが確認された場合、出荷して差し支えないとした。


【厚労省】「経口抗菌薬の在庫逼迫に伴う協力依頼」発出

【厚労省】「経口抗菌薬の在庫逼迫に伴う協力依頼」発出

【2024.06.04配信】厚生労働省医政局医薬産業振興・医療情報企画課は5月31日、各地域の衛生主管部事宛に事務連絡「経口抗菌薬の在庫逼迫に伴う協力依頼」を発出した。過剰な発注は厳に控えることなどを依頼している。


最新の投稿


【東京都薬剤師会】「実務実習におけるハラスメント防止のためのチェックリスト」作成

【2026.06.05配信】東京都薬剤師会(都薬)は6月5日に定例会見を開いた。その中で「実務実習におけるハラスメント防止のためのチェックリスト」を作成したことを説明。活用してほしいと促した。


【内閣府_地方分権改革】へき地等でのモバイルファーマシーの活用を提案/福井県、三重県

【内閣府_地方分権改革】へき地等でのモバイルファーマシーの活用を提案/福井県、三重県

【2026.06.04配信】内閣府地方分権改革推進室は6月3日、令和8年2月2日から令和8年4月21日までの間に応募があった地方分権改革に関する提案を公表した。福井県、三重県からはへき地等でのモバイルファーマシーの活用が提案された。


【大木ヘルスケアHD】“門前薬局減算”に備える売り場充足を提案

【大木ヘルスケアHD】“門前薬局減算”に備える売り場充足を提案

【2026.06.04配信】ヘルスケア卸大手の大木ヘルスケアホールディングス(代表取締役社長:松井秀正氏)は6月4日、6月16・17日に開催を予定している「2026秋冬カテゴリー提案商談会」の事前説明会を開催した。今回の調剤報酬改定で新設された「門前薬局等立地依存減算」(調剤基本料の15点マイナス)を取り上げ、減算に備える売り場充足を提案するとした。


【厚労省】コルヒチン製剤の用法及び用量を一部変更

【厚労省】コルヒチン製剤の用法及び用量を一部変更

【2026.06.03配信】厚生労働省は6月2日、コルヒチン製剤の医薬品医療機器法上の用法及び用量の一部変更について通知を発出した。「用法及び用量」について、「〈痛風発作の緩解〉通常、成人にはコルヒチンとして 1 回 0.5~1.0mg を 1 日 1 回又は 2 回経口投与する。ただし、1 日の総投与量は 1.5mg を超えないこと」とした。


【調剤報酬通知訂正】在総加算2イ100点を施設でも一部算定可能に/要介護3以上の状態など

【調剤報酬通知訂正】在総加算2イ100点を施設でも一部算定可能に/要介護3以上の状態など

【2026.05.29配信】厚生労働省は5月29日、「令和8年度診療報酬改定関連通知及び官報掲載事項の一部訂正について」を発出した。調剤報酬では、個人宅の在宅訪問時を想定して新設した「在宅薬学総合体制加算2」イ100点について、要介護3以上の状態の患者などの要件を満たせば施設患者であっても算定可とした。令和8年度調剤報酬改定では「在宅薬学総合体制加算1」を30点に増点するとともに、「在宅薬学総合体制加算2」について、 単一建物診療患者が1人又は単一建物居住者が1人の場合「イ」を新設し、 100点とした。またイ以外の場合で50点を設けていた。


ランキング


>>総合人気ランキング