佐藤座長、「中間答申で盛り込まれなかったこと」3点を指摘
令和5年12月26日開催の規制改革推進会議の議事録の中で、「健康・医療・介護ワーキング・グループ」(WG)の佐藤主光座長は、「今回の中期答申で盛り込まれなかったこと」について3点を指摘している。
1つ目は、タスクシェアについてで、具体的には訪問看護ステーションの常備薬剤について言及した。人材が不足する中、医師、介護、薬剤師の専門領域の壁を越えて互いに仕事を分かち合うということが求められているとした上で、「例えば訪問看護ステーションにおいて薬を常備して、非常時・緊急時においてはその薬を使うであるとか、あるいは在宅医療における見守りであるとか、こういった形において専門領域を超えたタスクシェアというのはまだまだやるべきことがあるのかと考えております」と述べている。
デジタル技術活用による医薬品の「受け渡し店舗」の上限設定など「早急に見直し必要」
2つ目が、デジタル技術を使ったコンビニ等における医薬品の遠隔販売について。消費者の利便性を高めるという観点から見れば有意義なことだとした上で、現在の厚生労働省の姿勢については「かなり慎重」と指摘。受け渡し店舗の上限設定などに疑問を投げかけている。「例えば管理店舗の管理できる販売店舗の数の規制であるとか、あるいは販売店舗においては画像で必ず人の顔が見えるような設備を置かなければならないといったことは消費者の利便性を損なうばかりではなく、事業としての採算性も損なうということになると思います。また、政府が今進めております経済のDX化というところにもかなわないと思いますので、このあたりは早急に見直しが必要かと思います」としている。
「中毒につながるような成分を直接的に規制するところまで踏み切る必要がある」
3つ目が、オーバードーズ対策について。佐藤座長は、「規制改革というのは決して規制緩和一辺倒ではない。やるべき規制は強化する必要がある」と述べた上で、「そこにおいて問われるのはその実効性」と指摘。対面とオンラインに同様の規制を求める姿勢と同時に、濫用のおそれのある医薬品成分自体への規制の必要性も指摘した。
「今のところ、例えばオンラインであれ、対面であれ、販売において様々な規制をかける、例えば消費者の挙動を見て怪しいかどうかを判断するとか、かなりそういったところに偏った規制になりますが、これは逆に効果がないばかりでなく現場に負荷をかけるものだと思います。むしろ場合によっては例えば中毒につながるような成分を直接的に規制する、いわゆる供給規制というところにまで踏み切る必要があるかと考えます。我々の委員の言葉を借りれば、ここは大人の責任としてしっかりと取り組むべきことだと考えております」と述べた。