東和薬品は資料の中で、短期的・中長期的取り組みのほか、今後の経営戦略について説明した。
短期的取り組みとしては、2023年度中の短期的増産計画として10%以上の増産に取り組むとした。この目標は原薬・副原料・資材状況を含む。
中期的取り組みとしては、同類の製造ラインを製造手順書に追加したり、“別事業所”等での「バックアップ生産体制」による十分な製造能力の確保によってさらなる増産に取り組むとした。この施策実践においては、行政に対し、短期的な支援のほか、薬価の向上・維持の支援を求めた。登録外の製造ラインであっても同機種のGMP機器として簡略化で出荷できる法規的措置も必要とした。さらに追加の設備が必要な際はその費用支援を求めた。
長期的取り組みとしては、“アライアンス”による「バックアップ生産体制」の構築により、供給の安定性を回復させ、リスクに備えるとの方針を示した。行政に対してアライアンスによるバックアップ生産体制の浸透への支援を求めた。
バックアップ生産体制においては、⾧期キャパシティプランニング(有事対応)のほか、見直しと意思決定のプロセスを構築するとした。アライアンス関係による他社委託も視野に入れる。その上で販売体制を支える最適な物流拠点を東・西日本に設け、リードタイムやリスクに基づく適正な在庫設定、KPIに基づく最適在庫の追求適正在庫コントロールによって適正在庫をコントロールする。
こうした施策には時間と投資が必要で、市場実勢価格には反映されていないとし、ジェネリック医薬品の新たなステージとして、バックアップ生産体制も含んだ安定供給体制の構築を可能にするため、環境整備の支援と国策として薬価制度をはじめとする政策誘導を要望した。

【厚労省】東和薬品、ジェネリック薬の新たなステージに“バックアップ生産体制”構築の支援を/感染症対症療法薬等の安定供給に向けた大臣要請の場で要望
【2023.11.07配信】厚生労働省は11月7日、 「感染症対症療法薬等の安定供給に向けた大臣要請」を開催した。厚労省からは厚生労働大臣、厚生労働大臣政務官、事務次官等が出席したほか、感染症対症療法薬を製造する製薬販売企業24社が参加した。この席に提出した資料で、東和薬品は、「ジェネリック医薬品の新たなステージ」として、別事業所やアライアンス関係による他社委託を含めた「バックアップ生産体制」を構築する必要性を指摘した。
関連する投稿
【PHRを含めた地域連携システム】東邦大学医療センター佐倉病院に導入/東和薬品とTIS
【2025.02.19配信】東和薬品とTISは2月18日、両社共同でシステム「ヘルスケアパスポート」を邦大学医療センター佐倉病院に導入したと公表した。同システムはTISが提供しているもので、PHRを含む地域医療連携システムであり、同社は「外来がん化学療法の副作用症状の報告負担を軽減することで薬局・病院の薬剤師によるタイムリーな連携と患者さんに寄り添ったケアの実現」に資するものとしている。
【医薬品供給状況】不足カテゴリートップは抗生剤/株式会社イヤクル調査
【2024.12.03配信】株式会社イヤクル(本社:北海道、代表取締役:佐孝尚氏)は、薬剤師を対象に「医薬品供給不足に関するアンケート調査」を実施。その結果、出荷調整品のカテゴリーでは抗生剤がトップだった。
【厚労省】長生堂製造の医薬品、品質等に問題がなければ「出荷は差し支えない」
【2024.06.11配信】厚生労働省医薬局監視指導・麻薬対策課は6月10日、事務連絡を発出した。一部の医薬品で製造販売承認書から逸脱した製造方法により医薬品の製造が行われ、出荷停止を行っている長生堂製薬。同社製造の医薬品に関して、製造販売業者により性状、品質等に問題がないことが確認された場合、出荷して差し支えないとした。
【2024.06.04配信】厚生労働省医政局医薬産業振興・医療情報企画課は5月31日、各地域の衛生主管部事宛に事務連絡「経口抗菌薬の在庫逼迫に伴う協力依頼」を発出した。過剰な発注は厳に控えることなどを依頼している。
【医薬品の安定供給へ】後発薬業界ができること/東和薬品が講演
【2024.05.28配信】5月25日に名古屋で開かれた「日本ジェネリック医薬品・バイオシミラー学会 学術大会」で、東和薬品執行役員の田中俊幸氏が「ジェネリック医薬品産業のあるべき姿の構築に向けて」と題して講演した。
最新の投稿
【大木ヘルスケアHD】“推し活”キーに医薬品需要に気付き/目薬や喉ケア/秋冬商品提案で
【2025.06.15配信】ヘルスケア卸大手の大木ヘルスケアホールディングスは6月11日に、事業部説明会を開催した。来る6月17日(火)~6月18日(水)にTRC 東京流通センターで開く「2025OHKI秋冬用カテゴリー提案商談会2025 年 OHKI 秋冬用カテゴリー提案商談会」の事前説明会の位置付け。OTC医薬品に関しては、“推し活”市場の拡大を背景に、“推し活”をきっかけに需要に気付きを与える提案を実施することを説明した。
【骨太方針_閣議決定】「高齢化の伸び」に経済・物価動向の増加分を加算
【2025.06.13配信】政府は6月13日、「経済財政運営と改革の基本方針 2025」、いわゆる骨太方針を閣議決定した。医療・介護に関連しては、「高齢化による増加分に相当する伸びにこうした経済・物価動向等を踏まえた対応に相当する増加分を加算する」と記載した。これまでは、社会保障関係費の伸びを高齢化の範囲内に抑える方針がとられてきた。薬剤師で参議院議員の神谷政幸氏はXで「税収増を踏まえた経営の安定化や確実な賃上げに繋がる対応がついに反映」と投稿。医療介護業界の声が届いたとの考えを示唆した。
【奈良県薬剤師会】「健康ハートの日 2025」に協賛/気になる“nara”測ろう血圧ポスター作成
【2025.06.12配信】奈良県薬剤師会(後岡伸爾会長)は、「健康ハートの日 2025」に協賛する。
【マイナ保険証】活用で「多重受診・過剰処方」発見効果/日本保険薬局協会調査
【2025.06.12配信】日本保険薬局協会は6月12日に定例会見を開き、「保険薬局における医療DX活用と業務貢献等の実態調査」の結果を説明した。「多重受診・過剰処方」の発見など効果がみられた。
【日本医師会】自公維3党合意に見解公表/病床削減と医療DXに「総論賛同」
【2025.06.10配信】日本医師会は6月9日、自由民主党、公明党、日本維新の会の3党合意についての見解を公表した。