【日本薬剤師会_緊急避妊薬販売の調査事業説明】開始時に国民向けHPで周知

【日本薬剤師会_緊急避妊薬販売の調査事業説明】開始時に国民向けHPで周知

【2023.10.18配信】日本薬剤師会は10月18日に定例会見を開き、「緊急避妊薬販売に係る環境整備のための調査事業」について説明した。開始にあたっては事業のホームページを作成し、国民に周知するとした。


 日本薬剤師会は10月6日付けで都道府県薬剤師会に対して調査事業の実施について連絡していた。
 
 その文書によると、日本薬剤師会は厚生労働省医薬局審査管理課の委託を受け、「緊急避妊薬販売に係る環境整備のための調査事業」を実施することとなったと説明。緊急避妊薬のスイッチOTC化の課題の対応策の選択・採否にあたり、 一部薬局での試験的運用を通じ、更なるデータ・情報の集積が望ましいとされたことから、本事業は、 この検討会議のとりまとめを受け、 一定の要件を満たす特定の薬局に限定し、 試行的に女性へ緊急避妊薬の販売を行うことを通じ、 緊急避妊薬の適正販売が確保できるか、あるいは代替手段でも問題ないか等を調査解析するもので、日薬としては下記の内容で、全都道府において実施するとしている。事業の実施にあたっては、 都道府県薬剤師会の協力が不可欠であるため、都道府県薬剤師会に対しては事業の趣旨を理解した上で、これまで都道府県薬剤師会向け説明会 (本年7月31日および 10月6日開催) にて依頼した通り、事業の実施に際して各都道府県における体制整備、 具体的には、 ①緊急避妊薬の販売を行う薬局の選定、②都道府県における関係団体等との連携体制の構築、 ③ 事業期間中を通じた薬局での円滑な事業の実施の支援 ④ その他事業の実施に必要な事項 - について協力するよう求めている。

 事業名は、「緊急避妊薬販売に係る環境整備のための調査事業(厚生労働省医薬局審査管理課委託事業)」。

 事業の背景としては、緊急避妊薬については、 現在のところ、 わが国では、医師の処方箋が必要な医療用医薬品であるが、 アクセス向上の観点から、医師の処方箋なしで薬局等において購入できるようすることの要望を踏まえ、 医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議(以下 「評価検討会議」という。)において、 医療用医薬品から要指導・一般用医薬品への転用 (いわゆるスイッチOTC 化) の検討がなされてきたと説明。 具体的には、 平成29年にはスイッチOTC 化は時期尚早と結論づけられたが、 令和2年12月の第5次男女共同参画基本計画において、処方箋なしに緊急避妊薬を利用できるよう検討することが盛り込まれ、さらに令和3年5月にOTC化を望む市民団体からの新たな要望を受け、 再度議論が開始されたことを挙げる。
 その後、 OTC 化する場合の課題や対応策について検討 整理を重ね、 令和5年6月にとりまとめが行われ、 検討 整理された緊急避妊薬のスイッチ OTC 化の課題の対応策について、その選択・採否にあたり、一部薬局での試験的運用を通じ、更なるデータ・情報の集積が望ましいとされたとする。

 事業の目的及び期待される効果については、調査事業は、一定の要件を満たす特定の薬局に限定し、 試行的に女性へ緊急避妊薬 処方箋医薬品) の販売を行うこと (処方箋医薬品の取扱に関する通知の一部改正が必要) を通じ、 緊急避妊薬の適正販売が確保できるか、あるいは代替手段 (チェックリスト、 リーフレット等の活用等) でも問題ないか等を調査解析することとしている。
 その結果は、 緊急避妊薬が要指導・一般用医薬品として薬事承認申請された際の審査・審議における具体的対応策の選択・採否の一助となる方向。

実施内容については、緊急避妊薬 (処方箋医薬品) の試行的販売を行う薬局における、 緊急避妊薬の試行的販売の全事例及び処方箋に基づく緊急避妊薬の調剤の全事例を対象とし、販売時の状況等について情報収集を行う。

 実施事項は、以下の通り。
 ① 緊急避妊薬(処方箋医薬品) の試行的な販売を行う薬局の選定緊急避妊薬の調剤実績のある薬局を中心に、 調査研究に協力してくれる薬局であって、原則として以下a~d の条件を満たす薬局を都道府県ごとにあらかじめ選定する (全都道府県。 1都道府県につき3 薬局程度を想定)。

a. オンライン診療に基づく緊急避妊薬の調剤の研修を修了した薬剤師が販売可能
b. 夜間及び土日祝日の対応が可能
c. プライバシー確保が可能な販売施設 (個室等)を有する
d. 近隣の産婦人科医、 ワンストップ支援センターとの連携体制を構築可能選定された薬局には、 販売開始前に本事業の趣旨や目的、 事業内容を周知するための説明会を実施する。
② 有識者から構成される班会議の設置
 調査研究として実施するため、 本事業内に研究班を設置する。 研究班において、主にア〜ウに示した事項を行う。 なお本調査事業は、 調査研究として倫理審査委員会の承認を受け実施する。
ア 販売プロトコールの検討( 販売時の情報提供資材の作成を含む。 医療用緊急避妊薬製造販売業者の協力を得て作成)
イ 販売時のアンケート調査項目の検討
A. 薬局に対する販売状況の調査
B. 購入者及び調剤を受けた者に対するアンケート調査 (購入者及び調剤を受けた者には、調査研究の一環であることを説明し、同意を取得すること。)
C. 薬局と連携する産婦人科に対するアンケート調査
ウ 販売時の情報収集・解析 (1月末までの販売・調剤分を本年度内に解析)

 なお、国民への情報提供として本事業ホームページの設置を予定する。
 以下の内容について情報提供を行う。
・調査研究の説明、 利用者への留意事項
・参加薬局の一覧 (連絡先電話番号、 開局時間等を含む)
・ 服薬薬剤に関する情報提供
・その他、 本事業に関する必要な情報

 調査後は調査結果に係る報告書を作成する。

 事業実施期間は、令和5年9月15日から令和6年3月29日まで。

 実施体制は以下の通り。
(研究班)※敬称略
亀井美和子 帝京平成大学薬学部教授 研究代表者 
小林 江梨子 城西国際大学薬学部教授 研究分担者 
安達 知子 日本産婦人科医会常務理事 研究協力者
種部恭子 日本産婦人科医会常務理事 研究協力者
中島 理恵 日本大学薬学部講師 研究協力者
齋藤 カルメン 城西国際大学薬学部助手 研究協力者
長津 雅則 日本薬剤師会常務理事 研究協力者
宮川政昭 日本医師会常任理事 有識者(医師)
濱口欣也 日本医師会常任理事 有識者(医師)
赤羽根秀宜 中外合同法律事務所 有識者(弁護士)

(事業実施者の体制)
田尻泰典 日本薬剤師会副会長 事業責任者
長津雅則 日本薬剤師会常務理事 実務責任者
小林 百代日本薬剤師会理事 実務担当者
(事務局:業務部 医薬・保険課)

安部副会長「開始11月20日は決定ではない」

 会見した日薬副会長の安部好弘氏は、一部報道で11月20日から販売が開始されるとされていることに関して、「決まっているものではない」と指摘した。

 ただ、調査事業の期間が限られていることからも早期の実施は望まれるところ。こうした指摘については安部副会長は「しっかりとした実施のためにそれなりの準備が必要」とし、開始時期については「11月20日が決定ではないものの、それを目指して進めていると理解している」と話した。

 実施プロトコールの中身などについても、安部副会長は「途中経過はオープンになるものではないので、なにかしら対応の通知やこういうものができましたと、日薬から都道府県薬に通知するような時には皆さんにオープンにさせていただきたいと思う」とした。

 価格についても、記者から「報道で7000~9000円と出ているがそのあたりはどうか」と質問が出ると、安部副会長は「それについても議論はしているがまだ決定していない。範囲を決めるとか、決めていくことになると思う。保険で使うわけではないのでどうやるかはこれから決定になると思う」とした。

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