【日病薬】令和6年診療報酬で「保険薬局との連携」の評価要望へ

【日病薬】令和6年診療報酬で「保険薬局との連携」の評価要望へ

【2023.02.18配信】日本病院薬剤師会は2月18日に第66回臨時総会を開催した。この中で「令和 6 年度 診療報酬改定要望事項」を議論し、重点要望事項として、「地域包括ケアシステムの充実に関する評価」を一番目に挙げ、保険薬局との連携に関する評価も求めた。保険薬局との連携に関する評価では、保険薬局からの院外処方箋に関する問い合わせへの対応や、保険薬局からトレーシングレポート等により提供された患者の服用薬や服用状況、副作用に関する情報等を、薬剤部が一元管理し、医師等の医療従事者に情報提供する体制の評価を要望している。


 日病薬は令和6年度診療報酬改定に向け、同会の活動を通して、より良い医療環境の構築のために必要と考える事項を取りまとめた。重点要望事項 6 項目、一般要望事項 8 項目の要望事項は以下の通り。

【重点要望事項】

1 地域包括ケアシステムの充実に関する評価
●退院時薬剤情報管理指導料、退院時薬剤情報連携加算の算定対象の拡大
 退院時薬剤情報管理指導料、退院時薬剤情報連携加算を算定することができない回復期リハビリテーション病棟、地域包括ケア病棟入院料などについても算定できるよう要望する。
●保険薬局との連携に関する評価
 保険薬局からの院外処方箋に関する問い合わせへの対応や、保険薬局からトレーシングレポー ト等により提供された患者の服用薬や服用状況、副作用に関する情報等を、薬剤部が一元管理し、医師等の医療従事者に情報提供する体制の評価を要望する。
●転院・転所先の施設との連携に関する評価
 転院・転所先の医療機関・施設へ、患者の服用薬の変更履歴、処方意図、アドヒアランスの状 況、調剤上の工夫や副作用に関する情報等を提供する体制の評価を要望する。患者の入院時に、他の医療機関等から提供された患者の服用薬の変更履歴、処方意図、アドヒア ランスの状況、調剤上の工夫や副作用に関する情報等を、薬剤部が一元管理し、医師等の医療従 事者に情報提供する体制の評価を要望する。

●病棟薬剤業務実施加算、薬剤管理指導料の算定対象の拡大
 病棟薬剤業務実施加算1及び2を算定することができない回復期リハビリテーション病棟、地域包括ケア病棟、障害者施設等、有床診療所入院基本料及び入院料などについても算定対象とする よう要望する。 療養病棟、精神病棟において、入院日から起算して9週目以降も病棟薬剤業務実施加算の算定対 象とするよう要望する。 薬剤管理指導料を算定することができない回復期リハビリテーション病棟、地域包括ケア病棟入 院料などについても算定対象とするよう要望する。

2 タスクシフト/シェアに関する評価
●薬剤師の外来業務に関する評価
 救急外来において、薬剤使用歴の確認・評価、副作用・アレルギー歴の確認、初療室で使用する 薬剤の管理を行った場合の評価を要望する。
抗精神病薬や抗 HIV 薬服用中の患者に対して、治療開始時および薬剤の変更時などに、医師の外 来診療時(前後の場合を含む)に、治療内容、アドヒアランス、有害事象、薬物相互作用、残薬 調整の評価などの薬学的管理を実施し、必要に応じて保険薬局と情報連携した場合の評価を要望 する。
●周術期の薬剤師業務に関する評価
 薬剤師は、周術期の患者に対しては、服用中の薬剤の休薬・中止・再開に関する業務をはじめと して、術前の入院前から術後ケアまで多岐にわたる。周術期の薬剤師業務は医師の負担軽減に資
するのみではなく、医療安全にも大きく貢献するものである。多くの医療機関が取り組んでいける ように周術期薬剤管理加算の増点を要望する。

【一般要望事項】

1 後発医薬品、バイオ後続品の適正使用・使用促進に関する評価
●現在、医薬品の出荷の調整・停止や販売中止が相次いでおり、代替となる医薬品の確保等の業務 が増大している。後発医薬品の推進を図りながら、医薬品を必要とする患者に安定的に提供できる よう、後発医薬品使用体制加算の増点を要望する。
●バイオ後続品導入初期加算の対象薬剤に、アガルシダーゼベータ、エリスロポエチン製剤(エポ エチン アルファ、ダルベポエチン アルファ)、フィルグラスチム、ラニビズマブ等も追加する よう要望する。

2 治療抵抗性統合失調症治療薬等の管理に関する評価
 治療抵抗性統合失調症治療薬クロザピンや抗てんかん薬ビガバトリンのように、承認条件において使用に あたって投与量や検査の有無などの使用管理が求められている医薬品や持続性抗精神病注射薬剤を投与し ている患者に対して、医師や薬剤師が、当該薬剤の管理の状況を確認、適正使用に係る必要な説明等を行 った場合の評価をするよう要望する。

3 無菌製剤処理の被曝の防止に関する評価
 抗がん薬等の薬剤調製時にアイソレーターや調製ロボットを用いた場合や、薬剤調製後の患者への薬剤投 与時の患者および医療従事者の被曝を考慮し、閉鎖式接続器具を用いた投与ルートを使用した場合の評価 をするよう要望する。

4 無菌製剤処理料1の算定対象の拡大
 注射剤の抗悪性腫瘍剤は、全て無菌環境下において薬剤の飛散等を防止する閉鎖式接続器具を用いて無菌製剤処 理をする必要があるため、現在の投与経路が限定されている記載を撤廃するよう要望する。

5 抗悪性腫瘍剤処方管理加算の施設基準の要件緩和
 現在、診療所、200床未満の病院においても、薬剤師が、がん治療の開始に当たり投薬の必要性、危険性等に ついて文書により説明を担っている場合があるため、施設基準である「許可病床数が200床以上の病院である こと」を撤廃し、診療所、200床未満の病院においても算定できるよう要望する。

6 医療DXの推進に向けた取り組みに関する評価
 医療 DX の推進に向け、入院時においてオンライン資格確認等システムを用いて薬剤情報を確認した場合や、 調剤において医薬品バーコードの照合による取り違え防止、トレーサビリティー強化の体制を構築した場合、 電子処方箋を発行に際し患者に電子処方箋の説明をした場合などの取り組みの評価をするよう要望する。

7 精神科訪問薬剤管理指導料の新設
 医師及び患者の同意を得て、患家を訪問して直接患者又はその家族等に服薬指導・服薬支援その他の薬学的管理 指導を行った場合の評価をするよう要望する。

8 放射性医薬品安全管理加算の新設
 画像診断に当たって、放射性医薬品取り扱いガイドラインに準拠し、放射性医薬品を使用した場合の加算を新 設するよう要望する。

 以上の要望事項の背景として、日病薬では、令和6年度の改定が診療報酬と介護報酬の同時改定であり、高齢化社会におけるヘルスケアシステムを充実させるための重要な改定であることを指摘している。一方、医療・介護共通の問題として、恒常的な人手不足が挙げられると共に、令和6年より始まる医師の時間外労働規制などの働き方改革を視野に入れると、生産性の向上、多職種連携やタスクシフト/シェアの促進が重要であると指摘。さらに、地域の特性に合わせた地域医療構想が令和 7 年の完成に向けて進められており、地域包括ケアシステムの構築と病院機能の分化と連携をより強化するにあたって、シームレスな薬物治療管理体制の構築は必須であるとする。また、令和5年 1月より開始された電子処方箋や、4 月より義務化されるオンライン資格確認等の医療 DXの本格稼働 に際して、病院薬剤師は取り残されている感は否めないとした上で、医療DXを適切に推進し、業務の効率化・適切な情報連携・より 安全で質の高い医療を提供するために、病院薬剤師として取り組むべき課題は山積していると説明している。
 令和4年度診療報酬改定においては、小児入院医療管理料の病棟薬剤業務実施加算の算定対象拡大、退院時薬剤情報管理指導連携加算や周術期薬剤管理加算・術後疼痛管理チーム加算が新設され、こうした課題が少しずつ解決されつつあるとしつつ、しかしながら、入院から退院まで一貫した病棟薬剤業務、保険薬局及び転院・転所先の施設との連携等の評価や、周術期の薬剤 師業務や薬剤師の外来での業務に関する評価について、充分に評価されているとは言い難いと指摘。日病薬としては、シームレスな薬物治療管理体制の構築に向けて、各医療機関が充実した病棟薬剤業務を展開してこそ、医療機関 間連携、医療機関・薬局間連携が機能すると考えているとし、各委員会で様々な事業を展開し、薬剤師業務のより一層の充実に努めているとした。
 令和6年度診療報酬改定に向け、日病薬の活動を通して、より良い医療環境の構築のために必要と考える事項を取りまとめたとしている。

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