薬剤業務向上加算は、研修体制のほか、地域の医療機関に出向させている場合に算定できるとしたもの。
昨年11月に出向元に対して調査を実施済みであり、17施設が算定していることがわかっていた。今回はその算定17施設において出向先の薬剤部長に調査を依頼した。うち、14施設が回答した。今回の調査は今年3月末までの締め切りで回答を集計したもの。
その結果、自由記載では「薬剤師の病棟での業務の幅が広がり、スタッフの意識向上へのつながった」等のコメントが寄せられ、対人業務の充実につながっている様子がうかがえた。
武田泰生会長は、こうした調査を通して診療報酬改定のアウトカムを団体としても示していくことが重要との考えを示し、「しっかりとしたアウトカムが取れるようにしないといけない」と語った。
「病棟業務を再開できたなど対人充実につながるような内容の回答があり、出向先で評価されているのではないか」と話した。また、「自施設に戻ってきてから中小病院の業務のあり方について自身の経験を踏まえた上で出向先との連携につなげていただければと思っている」とも指摘し、効果波及に期待した。
病院薬剤師不足に苦しむ地域の中小病院も多い中、出向が場合によっては対物業務に費やされるといった懸念もあったが、期待通り対人業務の充実に資する効果が見てとれている。
ただ、医師からの評価については「特段の評価はしない」との回答も5施設からあり、武田会長は「評価がないことはさみしいが、まだ始まったばかりの制度であることもあり、今後の評価拡大につなげたい」との考えを示した。