システムの仕組みの理解や動作検証を
通知は「医薬品の安全管理に関する留意点について(システムが関連した誤投与事例を受けて)」と題したもの。調剤支援システムや医療情報システムは業務効率化や医療安全向上に寄与するものの、システムの不具合やマスタ設定ミスによるインシデントや医療事故も報告されているとして、注意を促している。
通知の中では、「今日の薬剤業務では、システム利用が当然のようになり、処方チェックや薬剤の取揃えもシステムで補完できるまでに至っている」とする一方、「同時に、機能の追加や複数システムとの連携等により予期せぬ事象が発生するリスクもあり、十分な注意が必要」と注意喚起。また、安全なシステム利用には、利用者の適切な理解や対応とシステムベンダとの連携が不可欠だとしている。
日病薬の医療情報システム小委員会では、令和 4 年 6 月 10 日に医薬品の安全使用のための業務手順書作成マニュアル 「第 23 章 医薬品関連の情報システムの利用」に関する解説を公表している。今回の通知は、抗がん剤の過量投与事例等を踏まえ、同マニュアルの内容を基本としつつ、具体的な注意点を例示した。
日病薬としては、医療機関だけで全て対応できるものはないとしながらも、システム利用における重要な視点とし、再発防止や啓発活動に活用してほしいとしている。
具体的な注意点は以下の通り。
1.システム導入前の準備
正しい理解:システムの仕組みの理解に努め、予期せぬ事態に備える
連携体制 :エラーやインシデント発生時の対応や連絡体制を整備する
2.システム導入時
動作検証:通常動作に加え、明からに通常量を超えるような処方量の入力によりシステムが停止しないか等を十分確認するなど、想定しうる様々なパターンでの動作確
認を行うよう心掛ける。
作業記録:システムの動作記録を残し、有事の追跡調査に役立てる記録範囲と期間:医療機関とシステムベンダで予め協議する
3.システム変更時
動作検証:バージョンアップや修正後の予期せぬ動作の可能性を認識し、確認する
4.インシデント対策
原因究明と対処:医療機関だけで原因究明は難しいため、システムベンダ等と協力する点検と確認:他施設での事例が、自施設でも発生する可能性の有無の確認に努める
(参考)
日本病院薬剤師会 医療情報システム小委員会,医薬品の安全使用のための業務手順書作成マニュアル「第 23 章 医薬品関連の情報システムの利用」に関する解説,2022 年 6 月 10日
https://www.jshp.or.jp/activity/guideline/20220613-1.pdf