「医療・介護・保育・福祉等」、「公定価格の引上げを始めとする処遇改善を進める」
医療関連では、「物価上昇を上回る賃上げの普及・定着」の項で、「医療・介護・保育・福祉等の人材確保に向けて、保険料負担の抑制努力を継続しつつ、公定価格の引上げを始めとする処遇改善を進める」と記載。
「個別業種における賃上げに向けた取組」でも、「医療・介護・障害福祉の処遇改善について、過去の報酬改定等における取組の効果を把握・検証し、2025年末までに結論が得られるよう検討する」とした。
「地方創生2.0の推進」のうち、「安心して働き、暮らせる地方の生活環境の創生」の項で、「医療・介護サービスの維持・確保の取組が行われている地方公共団体10割」「地域医療提供体制の維持・確保」を掲げた。
「デジタル行財政改革」では、「急激な人口減少に対応するため、利用者起点で我が国の行財政の在り方を見直し、デジタルを最大限に活用して公共サービスの維持・強化と地域経済活性化を進め、社会変革を実現するため「デジタル行財政改革取りまとめ2025」90に基づき取組を実行する。国民生活に密着し社会・経済的な重要性が高い分野(教育、子育て、医療、介護、モビリティ、インフラ、防災等)について、利用者起点で規制・制度の見直しやデジタル活用を進めるとともに、国・地方の共通基盤の整備を推進する」とした。
「デジタル・ガバメント」では、「マイナ保険証と医療費助成の受給者証等との一体化、マイナ救急の全国展開」などに取り組むとした。
「医療DX」では「局が有する情報の標準化とDXを進める」
「(医療・介護・こどもDX」では、以下の通り記載。
「医療DX工程表94に基づき、医療・介護DXの技術革新の迅速な実装により、全国で質の高い効率的な医療・介護サービスが提供される体制を構築することについて、必要な支援を行いつつ、政府を挙げて強力に推進する。このため、医療DXの基盤であるマイナ保険証の利用を促進しつつ、2025年12月の経過措置期間後はマイナ保険証を基本とする仕組みに円滑に移行する。全国医療情報プラットフォームを構築し、電子カルテ情報共有サービスの普及や電子処方箋の利用拡大、PHR情報の利活用を進めるほか、標準型電子カルテの本格運用の具体的内容を2025年度中に示すことも含め必要な支援策の具体化を検討し、その普及を促進するとともに、介護情報基盤の整備、診療報酬改定DX、薬局が有する情報の標準化とDXを進める。AI創薬、AIホスピタルの実用化を支援する。標準仕様を策定し、クラウド技術を活用した病院の情報システムの開発・導入に向け、規制的手法や財政的手法など必要なインセンティブ措置の在り方を含め、検討を進める。医薬品や検査の標準コードの在り方の検討を踏まえたマスタの一元管理、予防接種事務のデジタル化、ワクチン副反応疑いの電子報告、予防接種データベースの整備を進める。医療・介護データを最大限有効活用し、イノベーションを進めるため、医療・介護の公的データベースの仮名化情報等の利活用を可能とするためのシステム整備を進めるとともに、社会保険診療報酬支払基金の改組や公費負担医療制度等のオンライン資格確認を円滑に実施する。医療安全の向上に向け、医療機関のサイバーセキュリティ対策96、医薬品・医療機器等の物流DXの推進に資する製品データベース構築を進める。これらの取組に加えて、必要に応じて医療DX工程表の見直しを検討する。子育て世代の使いやすさに配慮し、保育や母子保健等のこども政策のDXを推進する」
「医療・介護等の現場の厳しい現状や税収等を含めた財政の状況を踏まえ」、「経営の安定や現場で働く幅広い職種の方々の賃上げに確実につながるよう的確な対応」
「経済・財政新生計画に基づく今後の取組方針」では、次のように記載した。
「予算編成においては、2027年度までの間、骨太方針2024で示された歳出改革努力を継続しつつ、日本経済が新たなステージに移行しつつあることが明確になる中で、経済・物価動向等を踏まえ、各年度の予算編成において適切に反映する。とりわけ社会保障関係費については、医療・介護等の現場の厳しい現状や税収等を含めた財政の状況を踏まえ、これまでの改革を通じた保険料負担の抑制努力も継続しつつ、2025年春季労使交渉における力強い賃上げの実現や昨今の物価上昇による影響等について、経営の安定や現場で働く幅広い職種の方々の賃上げに確実につながるよう、的確な対応を行う。具体的には、高齢化による増加分に相当する伸びにこうした経済・物価動向等を踏まえた対応に相当する増加分を加算する。非社会保障関係費及び地方財政についても、第3章第4節「物価上昇に合わせた公的制度の点検・見直し」も踏まえ、経済・物価動向等を適切に反映する。
今後も、状況に応じて必要な政策対応を行っていくことに変わりはないが、PBの黒字化を達成した後、黒字幅が一定水準を超えた場合には、経済成長等に資するような政策の拡充を通じて経済社会に還元することをあらかじめルール化することについても検討に着手していく」
「全世代型社会保障の構築」では、「医療・介護・障害福祉等の公定価格の分野の賃上げ、経営の安定、離職防止、人材確保がしっかり図られるよう、コストカット型からの転換を明確に図る必要がある。このため、これまでの歳出改革を通じた保険料負担の抑制努力も継続しつつ、次期報酬改定を始めとした必要な対応策において、2025年春季労使交渉における力強い賃上げの実現や昨今の物価上昇による影響等について、経営の安定や現場で働く幅広い職種の方々の賃上げに確実につながるよう、的確な対応を行う。
このため、2024年度診療報酬改定による処遇改善・経営状況等の実態を把握・検証し、2025年末までに結論が得られるよう検討する。また、介護・障害福祉分野の職員の他職種と遜色のない処遇改善や業務負担軽減等の実現に取り組むとともに、これまでの処遇改善等の実態を把握・検証し、2025年末までに結論が得られるよう検討する。また、事業者の経営形態やサービス内容に応じた効果的な対応を検討する」とした。
「OTC類似薬の保険給付の在り方の見直し」も、「医療機関における必要な受診を確保」と注釈
また、「持続可能な社会保障制度のための改革を実行し、現役世代の保険料負担を含む国民負担の軽減を実現するため、OTC類似薬の保険給付の在り方の見直しや、地域フォーミュラリの全国展開、新たな地域医療構想に向けた病床削減、医療DXを通じた効率的で質の高い医療の実現、現役世代に負担が偏りがちな構造の見直しによる応能負担の徹底、がんを含む生活習慣病の重症化予防とデータヘルスの推進などの改革について、引き続き行われる社会保障改革に関する議論の状況も踏まえ、2025 年末までの予算編成過程で十分な検討を行い、早期に実現が可能なものについて、2026 年度から実行する」とした。
なお、「OTC類似薬の保険給付の在り方の見直し」では、「医療機関における必要な受診を確保し、こどもや慢性疾患を抱えている方、低所得の方の患者負担などに配慮しつつ、個別品目に関する対応について適正使用の取組の検討や、セルフメディケーション推進の観点からの更なる医薬品・検査薬のスイッチOTC化に向けた実効的な方策の検討を含む」との注釈を付けた。
「中長期的な時間軸を見据えた全世代型社会保障の構築」では、「現役世代が急速に減少し、高齢者数がピークを迎える2040年頃を見据えた中長期的な時間軸も視野に入れ、現役世代の負担を軽減しつつ、年齢に関わりなく、能力に応じて負担し、個性を活かして支え合う「全世代型社会保障」の構築が不可欠である。改革工程を踏まえ、医療・介護DXやICT、介護テクノロジー、ロボット・デジタルの実装やデータの二次利用の促進、特定行為研修を修了した看護師の活用、タスクシフト/シェアなど、医療・介護・障害福祉分野の生産性向上・省力化を実現し、職員の負担軽減や資質向上につなげるとともに、地域医療連携推進法人、社会福祉連携推進法人の活用や小規模事業者のネットワーク構築による経営の協働化・大規模化や障害福祉サービスの地域差の是正を進める。医療機関、介護施設、障害福祉サービス等事業者の経営情報の更なる見える化を進める。医療・介護・障害福祉分野の不適切な人材紹介の問題について実効性ある対策を講ずる」とした。
「中長期的な医療提供体制の確保等」の項では、「リフィル処方箋の普及・定着や多剤重複投薬や重複検査の適正化を進めるとともに、保険外併用療養費制度の対象範囲の拡大や保険外診療部分を広くカバーし、公的保険を補完する民間保険の開発を促す。国民健康保険の都道府県保険料水準の統一に加え、保険者機能や都道府県のガバナンスの強化を進めるための財政支援の在り方について検討を行う」とした。
「がん、循環器病等の疾患に応じた対策等」では、「糖尿病と歯周病との関係など全身の健康と口腔の健康に関するエビデンスの活用、生涯を通じた歯科健診(いわゆる国民皆歯科健診)に向けた具体的な取組、オーラルフレイル対策・疾病の重症化予防につながる歯科専門職による口腔健康管理の充実、歯科医療機関・医歯薬連携などの多職種連携、歯科衛生士・歯科技工士の離職対策を含む人材確保、歯科技工所の質の担保、歯科領域のICT活用、歯科医師の不足する地域の分析等を含めた適切な配置の検討を含む歯科保健医療提供体制構築の推進・強化に取り組む」とした。
スイッチOTC化、「当初の医師の診断や処方に基づき症状の安定している患者が定期的に服用する医薬品や、低侵襲性検体である穿刺血を用いる検査薬を含む医薬品・検査薬」
「創薬力の強化とイノベーションの推進」の項では、「当初の医師の診断や処方に基づき症状の安定している患者が定期的に服用する医薬品や、低侵襲性検体である穿刺血を用いる検査薬を含む医薬品・検査薬の更なるスイッチOTC化など、具体的な工程表を策定した上でセルフケア・セルフメディケーションを推進し」とした。
また、「医薬品の適正使用や後発医薬品の使用促進のみならず、医療費適正化の観点から、地域フォーミュラリを普及する」とした。