前年に開かれていた「第19回学術大会 日本ジェネリック医薬品・バイオシミラー学会」の「OTC医薬品分科会」では、生活者が感じる「症状」から「対処」に導く総合的な情報集の作成が提案されていた。生活者がヘルスリテラシーを高め、OTC 医薬品の活用や医療機関受診の要否を適切に判断できるようになれば、軽度な疾患による受診行動を最適化し、重篤な疾患を早期に医療機関へ繋げることが可能となり、ひいては適切なセルフケア・セルフメディケーションの活用と医療リソースの最適化につながるとの考え。
こうした考えのもと、国際医療福祉大学、一般社団法人Sapporo Medical Academy、公益社団法人東京都医師会、公益社団法人東京都薬剤師会、公益社団法人東京都歯科医師会、ホワイトヘルスケア株式会社、および日本OTC医薬品協会が加盟する日本一般用医薬品連合会は、生活者のヘルスリテラシー向上を目的とした「症状毎の生活者対処情報集の構築・提供プロジェクト」を発足。このほど、同プロジェクトが、令和8年度厚生労働行政推進調査事業費補助金(厚生労働科学特別研究事業)の研究課題として採択されたという。
今年のシンポジウムでは、同プロジェクトにも参画している東京都医師会理事の鳥居明氏が登壇。自身の専門診療科である消化器内科を例に“症状毎の生活者対処情報集”のイメージを説明した。
例えば食べすぎて腹痛があるぐらいであればブルーフラッグ(経過観察)、これに下痢や動悸があればイエローフラッグ(要注意観察)となり、さらに発熱や嘔吐、出血がある場合はレッドフラッグ(受診行動)となるなどとした。
鳥居氏は、医師会の中には「何か問題があってはいけない」との考えの下、セルフメディケーション推進に対して慎重な意見があるとしつつも、軽度な症状に対するOTC医薬品の使用啓発には医療費削減、医療保険制度の維持などの面から注目されている政策であるともした。セルフメディケーションには自己管理の難しさなどのデメリットもあると指摘した。
その上で、今回の“症状毎の生活者対処情報集”はセルフメディケーション推進におけるメリットを最大化し、デメリットを低減する考えの下で進められてきた施策であると説明した。適切な受診の遅れや受療遅延によるリスクに対する対策が重要だとの見解を示した。加えて、一般住民のヘルスリテラシーの醸成は限られた医療資源の有効活用につながるとした。