コンテンツ充実! 薬剤師の未来を考える契機に
新潟大会の見どころは、まずは充実したコンテンツだ。
運営委員会を担った地元・新潟県薬剤師会では、どんなコンテンツが求められているのか、県薬役員だけでなく、若手を含めて一般の病院薬剤師、薬局薬剤師にも意見を聞き、案を練った。
具体的には、各テーマに沿った行政からの登壇者も多い。施策がどんな背景から作られたのか、直接、行政関係者の話を聞くことができるのは貴重な機会といえるだろう。
厚労省から医系技官が登壇! 2040年を見据えた地域医療構想と薬剤師の役割をテーマに
特に定番化しつつある「特別鼎談」では、厚労省から医系技官の医政局地域医療計画課課長の西嶋康浩氏を迎え、日薬会長の岩月進氏と、日薬副会長(新潟県薬剤師会会長)の荻野構一氏の3名で「地域医療構想の深化と地域医薬品提供体制の構築に向けて」をテーマに行う。
薬剤師業界では薬系技官の方が接点が多いのが実情だが、今回、医系技官を招いたのは、テーマにもあるように地域医療構想と医薬品提供体制が切っても切れない密接な関係にあるから。今年7月に公表された「地域医療構想策定ガイドライン」は次なる第9次医療計画につながる基盤となるもので、この成否が今後の地域における医療提供体制、すなわち薬剤師や薬局の役割に影響を及ぼすことになる。
この「地域医療構想策定ガイドライン」では外来医療や在宅医療、介護との連携、人材確保等々の協議事項が定められている。この特別鼎談の視聴は、まさに2040年に向けた薬剤師の姿を考える絶好の契機となるだろう。
そのほかにも、調剤外部委託などの薬機法改正に関わった厚生労働省医薬局総務課 薬事企画官の大原拓氏が講演。医療DXと薬剤師の未来図をテーマとした講演では厚生労働省医政局医療情報担当参事官室参事官の木下栄作氏が登壇する。
緊急避妊薬OTC化に関わるテーマとしては厚生労働省医薬局医薬品審査管理課の紀平哲也氏も講演を行う。
健康増進支援薬局の創設に関わった厚生労働省 医薬局総務課 薬局地域機能推進企画官の大井恒宏氏、診療報酬改定に係る部署でもある厚生労働省保険局からは医療課課長補佐の丸山 翔悟氏も講演。産業振興政策にも関わる厚生労働省 医政局医薬産業振興企画課からは専門官の松下俊介氏が「現場で働くプロが語る“仕事”と“選択”」のセッションで登場する。
中央だけでなく、市町村の行政担当者も登壇する。
女性の健康やCKD、心不全ケアなど現場薬剤師にとって身近なテーマも目白押し
女性の健康やCKD、心不全ケア、がん、“小児のくすり”への関わり、感染症対策、抗精神病薬の適正使用など、現場薬剤師にとって身近なテーマも目白押し。
「若手薬剤師セッション」も設けている。キャリアや仕事のやりがい、将来への思いがピッチ形式で紹介される。今回の学術大会では若い薬剤師の参加を多く得たいという薬剤師会の思いも込められている。
同じ薬剤師の仲間によるポスターや口頭発表も役立つ内容だ。これまで開催後に発表されていた優秀賞などの表彰だが、今回は表彰“候補”となった発表を会期中(2日目)に発表。それにより、会期中に候補発表に注目して見聞きすることも可能となった。ポスターや口頭発表は現地参加のみで触れることができるコンテンツでもある。
また、病院薬剤師の講演も多く企画されている。
新潟の魅力も堪能できる! 佐渡出身、東京駅「銀の鈴」作者が特別講演
全国各地で開かれる日本薬剤師会の学術大会の楽しみの1つは、会場となった地元の文化や自然、グルメを堪能することができること。
新潟には雄大な自然や独自の文化、自然が魅力の佐渡を有している。佐渡に足を伸ばしてみるのも一案。学術大会では会場でも新潟の魅力が楽しめるように工夫。「新潟のお弁当」の事前申込を受け付けている。創業90年の老舗料理店「秋山」、新潟のソウルフード「タレカツ」が味わえる「とんかる政ちゃん」、燕三条のレストラン「Tsubamesanjo Bit 」、郷土料理を詰めた「けーたりんぐふーど」などを用意した。会場には物産コーナーも。
特別文化講演に登壇する宮田亮平氏は、文化庁長官や東京藝術大学学長などを歴任した金属工芸家だが、出身は佐渡であり、佐渡の伝統工芸である「蝋型鋳金」の継承者の1人でもあるという。大会運営委員長の荻野構一氏は、「特別文化講演でぜひ宮田先生の素晴らしさも感じてほしい」と話した。新潟の文化に触れることのできる特別文化講演となっている。宮田氏の代表作は東京駅の「銀の鈴」や日本橋三越「未来へのかけ橋」などがある。宮田氏は「ときめきのとき 〜芸術は身近なもの〜」をテーマに講演してくれる。
同窓や仲間に会える場にも
地元・新潟県薬が開催準備で心掛けたのは、「仲間に会える場としても活用してほしい」ということ。薬剤師会の学術大会は全国にいる同じ薬学部出身の同窓や仲間に会える機会でもある。
新潟県薬剤師会副会長の大黒幸恵氏は、「いかに来ていただいた薬剤師の皆さんに楽しんでいただけるかを考えた」と話す。久しぶりに会う仲間とゆっくり話せる場づくりも意識し、椅子などを配置するスペースも工夫したという。
飛行場から会場、3つの会場間のバス手配なども「動線を考え不便にならないよう検討した」とした。
新潟大会は朱鷺メッセ新潟コンベンションセンター、ホテル日航新潟、ANAクラウンプラザホテル新潟の3つを会場に開催。開催形式は現地開催、および後日のオンデマンド配信を予定している。
詳細、申し込みは下記学術大会特設サイトまで。すでに事前参加登録を開始しており、8月5日(水)23:59 までの申し込みであれば、「通常・当日参加登録費」が15,000円(税込)のところ、11,000円(税込)で申し込みができ、リーズナブルな料金で参加できる。事前参加登録がおすすめだ。 なお、学生は1,000円(税込)で申し込める。
■「第59回日本薬剤師会学術大会」特設サイト
https://www.congre.co.jp/jpa59/index.html
もはや全薬剤師は“申し込まないとダメ”!?
ここで力を込めたいのは、大会開催地の薬剤師会の会員が通常業務の合間を塗って、展示会場の出展依頼やランチョンセミナー設置の企画依頼など、多くの時間と労力を費やしていること。薬剤師向けの講習会やセミナーなどはオンラインの活用や企業主催など数多くあるが、日本薬剤師会の学術大会は薬剤師会が中心となりつつも個々の薬剤師が手掛けているもの。スポンサーがしっかり集まらなければ運営費との採算が取れず、将来の大会運営にも影響を及ぼしてしまうことになる。
薬剤師自らが企画し、年に1度、全国各地で開かれる日薬の学術大会。今後の運営を支えるためにもより多くの薬剤師の参加が必要だ。
7月22日に学術大会に関する会見を行った大会運営委員長(新潟県薬剤師会会長)の荻野構一氏(写真右から2番目)。写真右は新潟県薬剤師会副会長の大黒幸恵氏
荻野大会運営委員長からメッセージ「我々はこの先の薬剤師に未来へ希望を繋げる責任がある」
大会長・荻野構一氏からのメッセージは以下の記事から参照できる。
https://www.dgs-on-line.com/articles/3280
医薬分業元年と言われる時期からおよそ50年が経ち、薬剤師の在り方を「一度振り返ることも必要」とし、今回の大会を「2040年を目指す薬剤師の起爆剤」に位置付けられたらとの抱負を語っている。
また、若手薬剤師の参加を強く意識したことも明かし、「2040年を見据え、日本が経験したことのない時代に突入する中の医療をどうするのか、あるいは薬局をどうするのか。そういった時代に突入をしていく中で、真剣にこの先の薬剤師に未来へ希望を我々は繋げる責任がある」と話している。