【日本保険薬局協会】「コンサータ錠」、薬局間譲渡の特例措置を要望

【日本保険薬局協会】「コンサータ錠」、薬局間譲渡の特例措置を要望

【2026.06.11配信】日本保険薬局協会は6月11日、定例会見を開き、「コンサータ錠」の登録薬局間の在庫調整等に関する要望を公表した。このあと、厚生労働省の担当部局などに提出し、対応を求めるという。


 「コンサータ錠の登録薬局間の在庫調整等に関する要望」は以下の通り。

 令和8年5月27日付の厚生労働省事務連絡において、コンサータ錠については、出荷量は維持されているものの、近年の需要増加等を受け、令和7年9月以降、限定出荷となっていること、また、医療機関および薬局において必ずしも十分な量が入手できない状況が生じていることが示されました。同事務連絡では、医療機関および薬局に対し、当面の必要量に見合った適切な在庫確保と過剰発注の抑制が求められ、卸売販売業者に対しては、患者数の動向等を勘案し、本剤の偏在が起こらないよう配慮することが求められています。当協会としても、限られた医療資源を必要な患者に適切に供給する観点から、過剰な発注を控え、当面の必要量に見合った適切な購入・在庫管理に協力してまいります。

 しかし、現行運用では登録薬局間での譲渡・譲受が認められていないため、入荷の遅れにより患者対応に苦慮する薬局がある一方で、使用実績の変化等により在庫を有する薬局においても、必要とする患者を有する他の登録薬局へ在庫を移動できず、限られた在庫を患者のために有効活用できない状況が生じています。その結果、患者が継続して利用している薬局で調剤を受けられず、やむを得ず在庫のある薬局へ変更せざるを得ない事態も想定されます。
 
 コンサータ錠は、過去のメチルフェニデート製剤をめぐる経緯を踏まえ、登録医師、登録医療機関、登録薬局、登録患者による厳格な適正流通管理が行われている医薬品です。不正流通や目的外使用を防止するためのトレーサビリティ確保が重要であることは、当協会としても十分に認識しております。そのうえで、患者を在庫のある薬局へ移動させるのではなく、厳格な管理のもとで、在庫を患者のいる薬局へ移動できる仕組みを整えることが、患者負担の軽減と継続的な薬学的管理の観点から必要であると考えます。

 つきましては、地域における医薬品供給確保のためにも、以下の措置について速やかに検討・実施いただくよう要望いたします。

1 登録薬局間の譲渡・譲受の特例を設けること
 コンサータ錠について、登録薬局間における譲渡・譲受を認める特例措置を設けていただきたい。
 特例の対象は、譲渡元および譲受先がいずれもコンサータ錠適正流通管理システム上の登録薬局である場合に限定し、譲受先に継続的に本剤を必要とする登録患者が存在すること、患者情報の取扱いに配慮しつつ譲渡目的を確認できること、譲渡数量は当面の継続調剤に必要な最小限に限ることを前提として進めることを提案いたします。
 また、製品名、規格、数量、ロット番号、有効期限、譲渡薬局、譲受先薬局、実施、管理責任者等を記録し、製造販売業者または適正流通管理システム上で確認できる仕組みとすることで、トレーサビリティを確保できるものと考えます。

 偏在解消の実効性を高めるためにも、登録薬局間で管理された在庫調整を認めることが必要です。なお、登録薬局間の譲渡・譲受が直ちに認められない場合であっても、未開封品については、製造販売業者および卸売販売業者の関与のもと、必要な患者を有する登録薬局へ再配分できる仕組みを併せて検討いただきたい。

2薬局の承継・移転等に伴う在庫承継の取扱いについて、関係者間の認識を整理・周知すること
 コンサータ錠については、薬局の開設者変更、事業承継、店舗移転、店舗統合等に伴い、実態として薬局機能や患者対応が継続している場合であっても、現場からの相談において、在庫承継は認められず、廃棄・新規購入が必要であると受け止められた事例が複数報告されています。
 一方で、関係法令上、このような場合に一律に廃棄を求める規定があるわけではないと理解されることから、現場の相談対応や関係者間の運用認識に齬が生じている可能性があります。
 薬局の継承、移転、統合等は、地域における医薬品提供体制を維持するうえで生じ得る通常の実務であり、使用可能な医薬品が誤解や認識齟齬により廃棄されることは避けるべきです。ましてや限定出荷下においては、患者への安定供給をさらに損なう要因となります。
 つきましては、薬局機能や患者対応が実質的に継続している場合の在庫承継の可否、必要な手続、記録方法、相談窓口等について、製造販売業者、コンサータ錠適正流通管理委員会、都道府県等の行政窓口その他関係者において認識を整理し、登録薬局からの相談に対して統一的な説明がなされるようご対応いただきたい。当協会としても、適切な相談、手続および記録管理を行うよう周知してまいります。

3自立支援医療等の利用者が不利益を受けないよう、薬局変更時の取扱いを柔軟化すること
 供給不安定により、患者がやむを得ず在庫のある薬局へ変更せざるを得ない場合があります。特に自立支援医療等を利用している患者については、受給者証に記載された薬局で調剤を受けることを前提とした運用が行われているため、供給不安定を理由とする薬局変更によって、患者負担の増加や手続上の不利益が生じることが懸念されます。
 患者の希望による薬局変更ではなく、医薬品供給上の事情により変更を余儀なくされる場合には、指定薬局変更手続の迅速化、オンライン申請や当日申請の活用、やむを得ない場合の事後的取扱い等について、厚生労働省として、関係自治体に対し統一的な考え方を示していただきたい。
また、こうした制度上の制約からも、患者を薬局間で移動させる対応には限界があり、登録薬局間で管理された在庫調整を可能とすることが重要であると考えます。

おわりに
 当協会は、コンサータ錠に係る厳格な適正流通管理の必要性を十分に認識しており、通常時の適正流通管理を否定するものではありません。しかし、供給不安定時において管理体制が硬直的に運用されることで、真に必要とする患者に医薬品が届かない事態が生じることは、適正流通管理の本来の目的にも反する結果となりかねません。
 厚生労働省におかれましては、関係自治体、製造販売業者、卸売販売業者、医療機関、薬局、患者団体等の意見を踏まえ、同事務連絡で示された適正発注および偏在防止の取組に加え、一定の要件下における登録薬局間の在庫調整、使用可能な在庫を承継できる運用、患者負担への配慮について、速やかにご検討・ご対応いただきますよう強く要望いたします。

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