日本医師会、日本薬剤師会、医療情報システム開発センターは、電子処方箋など、医療現場において HPKI をより使いやすくするため、『HPKI セカンド電子 証明書』の提供を開始することにした。
日本医師会、日本薬剤師会、医療情報システム開発センターは、厚生労働省が 施策として普及を進めている「保健医療福祉分野 PKI 認証局(Healthcare Public Key Infrastructure 認証局)」(以下、HPKI 認証局)を運営している。
各HPKI認証局は、電子的な身分証明書である「HPKI 電子証明書」を発行し、 その HPKI 電子証明書を格納した IC カード(以下、HPKI カード)を、それぞ れ『医師資格証』、『薬剤師資格証』『HPKI 資格証』という名称で提供している。
これらの HPKI カードを用いることで、医師や薬剤師等の医療分野国家資格 を電子的に証明できる「HPKI 電子署名」を行うことができる。
しかし、カード型であることから、HPKI 電子署名を実施しようとする全ての 端末(電子カルテ等)にカードリーダーが必要なことや破損・紛失時に業務が滞 ることなどが指摘されていた。
これらの指摘に対して、HPKI 認証局の運営団体として検討を重ねた結果、HPKI 電子証明書を HPKI カードだけでなく、セキュアなクラウド上にも 格納することで、HPKI カードを用いなくても HPKI 電子署名を行うことができる「HPKI 電子証明書管理サービス」を 3 団体共同で開発し、本年 12 月から運 用を開始することとしたという。
共同運用する HPKI 電子証明書管理サービスに、各認証局から HPKI カード 発行対象者に対して、追加でクラウド用の HPKI 電子証明書を発行・格納するこ とで、HPKI カードを用いることなく、スマートフォンを利用して HPKI 電子署 名を行うことが可能となる。
HPKI カード発行対象者に対して発行するクラウド用の 2 番目の電子証明書 のため『HPKI セカンド電子証明書』(以下、2nd 電子証明書)と呼称すること にしたとした。
なお、それぞれの HPKI カードは、これまで通り HPKI 電子署名、ログイン認 証、会員証等の現実世界における身分証明書や研修会時の受講受付等に活用することから、引き続き発行を継続。今回のクラウド上に格納する HPKI 電子証明書は、HPKI カード保有者に対して発行するもので、あくまで HPKIカードを補完する位置付けのものとなる。

【日本薬剤師会】“クラウド”HPKIのサービス提供へ/あくまで HPKIカードの補完として
【2022.09.02配信】日本薬剤師会は、日本医師会、医療情報システム開発センターなどと共同で、クラウドで電子署名のできる「HPKI セカンド電子証明書」の提供を開始すると公表した。 HPKI 電子証明書は、HPKI カード保有者に対して発行するもので、あくまで HPKIカードを補完する位置付けのものとなる。
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