規制改革会議、スイッチOTC促進で答申。「検討会議の役割は可否の決定ではないことの明確化を」

規制改革会議、スイッチOTC促進で答申。「検討会議の役割は可否の決定ではないことの明確化を」

【2020.07.02配信】 規制改革会議は7月2日、「規制改革推進に関する答申」をまとめ、公表した。スイッチOTC促進に関して、一定の紙幅がとられており、現在の評価検討委員会の役割について「意見提示するものであり、スイッチOTC化の可否を決定するものではないことを明確化する」とするなど、踏み込んだ記載となっている。今後、厚生労働省内で部局横断的な体制構築と、目標設定、KPI管理などが必要とした。


【2020.07.02配信】
 規制改革会議は7月2日、「規制改革推進に関する答申」をまとめ、公表した。

 デジタル技術などの成長戦略分野や雇用・人づくり分野、フィンテックなどの投資分野、農林水産分野などテーマは多岐にわたる答申となっているが、その中で、「医療・介護分野」の規制改革推進課題に触れられている。

 「医療・介護分野」は、主に「1タスクシフト」「2生産性向上」「3スイッチOTC拡大」「4データ活用」「5支払い基金の見直し」などが柱。

 このうち、ドラッグストア産業に関連の深い事項は「3スイッチOTC拡大」だろう。

評価検討会議の可否決定は薬事・食品衛生審議会との二重審査指摘も

 答申では、スイッチOTC拡大のために実施すべき事項として、評価検討会議の役割について、「スイッチOTC化の可否を決定するものではないことを明確化する」ことを挙げた。
 
 これは「医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議」の所期の目的が、消費者などの多様な主体の意見を反映させるというものであったにもかかわらず、「国民の利便性等のベネフィットについて考慮されているとは言えない」との考えに基づいている。
 答申では「評価検討会議の役割は、提案のあった成分のスイッチOTC化を行う上での課題・論点等を整理し、薬事・食品衛生審議会に意見として提示するものであり、スイッチOTC化の可否を決定するものではないことを明確化する」と記載した。
 「消費者代表を追加するなどバランスよく構成されたメンバー構成の見直し」も求める。

 

 さらに、製薬企業が、評価検討会議の審議とは別に、薬機法の規定により直接、厚生労働大臣へ製造販売の承認申請を行うことも可能であることを明確化すべきとしている。
 本来、薬機法上では製薬企業が厚生労働大臣に申請し、薬事・食品衛生審議会での議をを経て取り扱いが決まることになっているにもかかわらず、スイッチOTCに関しては、評価検討委員会が可否を担う実態にあり、二重審査が指摘されているところという。加えて、明確な規定がないにもかかわらず、会議運営に関わる議論の中で、合意形成にあたり全会一致が原則とされていることから、全会一致の合意形成の在り方も見直し、意見集約が図れない場合は意見を列挙して薬事・食品衛生審議会に提示する仕組みにするべきとした。

 こうした具体策を推進するには、体制の整備も課題であり、厚生労働省内に部局横断的な体制を検討し、スイッチ促進の目標を定め、進捗をKPIとして管理することが必要としている。

次なるテーマに「検査薬のOTC化」

 答申では「一般用検査薬への転用促進」も明記。
 検査後の適切な受診勧奨が行われる方策と合わせて、OTC化が可能と考えられる検査薬の種類とそれに応じた患者(消費者)の状態や薬局・薬剤師の役割について議論・検討の上で具体化する。

この記事のライター

関連するキーワード


スイッチ OTC 規制

関連する投稿


【経済対策閣議決定】検査薬のOTC化促進を明記/薬価は骨太方針踏まえ「対応」

【経済対策閣議決定】検査薬のOTC化促進を明記/薬価は骨太方針踏まえ「対応」

【2024.11.22配信】政府は11月22日、総合経済対策を閣議決定した。検査薬のOTC化促進を明記した。


【ドラッグストア協会】登録販売者からの「声かけキャンペーン」実施/対面の優位性可視化へ

【ドラッグストア協会】登録販売者からの「声かけキャンペーン」実施/対面の優位性可視化へ

【2021.06.03配信】日本チェーンドラッグストア協会(JACDS)は6月3日に定例会見を開き、「医薬品情報提供 声かけ強化キャンペーン」を8月末日まで実施するとした。OTC医薬品販売を巡っては、情報通信機器を活用した「遠隔管理販売」なども規制改革会議に提案されている中、対面販売がいかに優れているかを消費者に目に見える形で提示し、理解を深めてもらうことを目指す。


【緊急避妊薬】ドラッグストア協会「現状の検討会では議論進まない」

【緊急避妊薬】ドラッグストア協会「現状の検討会では議論進まない」

【2020.10.17配信】日本チェーンドラッグストア協会(JACDS)は、緊急避妊薬の販売規制が緩和される方向に関して、「現状の検討会では議論は進まない」との懸念を示し、議論の進め方自体を見直すべきとの考えを示した。10月16日に開いた定例会見で示した。緊急避妊薬に関しては、処方箋なしで薬局で販売できる方向が検討されている一方で、今後の議論に関しては田村憲久厚生労働相が現在の検討会で議論を行っていく考えを示し、その実現性を不安視する声も少なくない。現状の検討会では一度、薬局での販売が否決されているからだ。


【スイッチ検討会議】医師関与によるスイッチ推進策を提案/有識者

【スイッチ検討会議】医師関与によるスイッチ推進策を提案/有識者

【2020.09.25配信】スイッチOTC促進策に新たな提案が出された。厚生労働省は医療用医薬品から一般用医薬品(OTC薬)に転用(スイッチ)する成分の妥当性を議論する「医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議」(スイッチ検討会議)を開催。外部有識者から、医師の関与によるスイッチOTC促進策が示された。制度上は保険外併用療養費の枠組みを生かすと提案された。同案は今後、スイッチOTC政策に大きな影響を及ぼしていくと考えられる。


最新の投稿


【日本薬剤師会】財政審の改革提言に反論、「薬局増えても調剤報酬増えない」

【日本薬剤師会】財政審の改革提言に反論、「薬局増えても調剤報酬増えない」

【2025.11.05配信】日本薬剤師会は11月5日に会見を開いた。この中で、同日公表された財政制度等審議会(財政審)財政制度分科会の提言に対し反論した。


【日本薬剤師会】岩月会長が敷地内薬局めぐる議論にコメント

【日本薬剤師会】岩月会長が敷地内薬局めぐる議論にコメント

【2025.11.05配信】日本薬剤師会は11月5日に定例会見を開いた。その中で、岩月進会長が中医協での敷地内薬局をめぐる議論に対してコメントした。


【石川県薬剤師会】モバイルファーマシー「お披露目式」/スターリンクを搭載でDX対応

【石川県薬剤師会】モバイルファーマシー「お披露目式」/スターリンクを搭載でDX対応

【2025.10.31配信】石川県薬剤師会は10月31日、モバイルファーマシーお披露目式を開催した。


【東京都・厚労省】11月24日に「麻薬・覚醒剤・大麻乱用防止運動東京大会」

【東京都・厚労省】11月24日に「麻薬・覚醒剤・大麻乱用防止運動東京大会」

【2025.10.29配信】東京都薬務課は10月29日に定例会見を開き、令和7年11月24日(月曜日・祝日)13時30分から15時45分まで、令和7年度「麻薬・覚醒剤・大麻乱用防止運動東京大会」を開催することを説明した。今年は2年に一度の厚労省との共催年で、広い層に関心を持ってもらうため、多彩なタレントを招聘している。


【東京都薬務課】試買で指定薬物検出/前年9品目増の11物品から

【東京都薬務課】試買で指定薬物検出/前年9品目増の11物品から

【2025.10.29配信】東京都薬務課は10月29日、定例会見を開き、試買検査によって11物品から危険ドラッグを検出したことを説明した。9月29日に公表済み。前回公表の昨年11月の検査結果では2物品からの検出であり、薬務課では「11物品からの検出は多く驚いている」としている。今回の結果を受け、今後の試買を適切に行っていく方針。


ランキング


>>総合人気ランキング