【経済対策閣議決定】検査薬のOTC化促進を明記/薬価は骨太方針踏まえ「対応」

【経済対策閣議決定】検査薬のOTC化促進を明記/薬価は骨太方針踏まえ「対応」

【2024.11.22配信】政府は11月22日、総合経済対策を閣議決定した。検査薬のOTC化促進を明記した。


 総合経済対策「国民の安心・安全と持続的な成長に向けた総合経済対策~全ての世代の現在・将来の賃金・所得を増やす~」を閣議決定した。

 「潜在成長率を高める国内投資の拡大」の項で、医薬品産業支援の一環として、検査薬のOTC化促進を明記。「血糖値を測定する検査薬を含め、低侵襲性であることなど一定の要件を満たす検査薬について、そのOTC化を促すために必要な『一般用検査薬の導入に関する一般原則』の見直しについて、2024年度内に結論を得る」とした。

 施策例として以下を掲げた。
・一般用検査薬への転用の促進(内閣府、厚生労働省)【制度】

 薬価については、以下の通り記載した。
■2025年度薬価改定に関しては、「経済財政運営と改革の基本方針2024」において、「イノベーションの推進、安定供給確保の必要性、物価上昇など取り巻く環境の変化を踏まえ、国民皆保険の持続可能性を考慮しながら、その在り方について検討する」とされていることを踏まえ対応する。

調剤業務の一部外部委託も記載

 地方創生の項では、特区において取り組む制度・規制改革に関する提案募集を継続するとともに、現在検討中の事項について、早期に具体化することを目指すとし、その1つの施策例として調剤業務の一部外部委託について以下の通り記載。
■薬剤師の対人業務強化に資する調剤業務一部委託特例の全国展開【早期の法令改正を行う】

訪問看護ステーションの配置薬剤の拡大を記載

 医療・介護の項では、訪問看護ステーションの配置薬剤拡大を次の通り記載。
■24 時間対応が可能な薬局が存在しない地域において、地域の実情に応じた薬剤提供体制を構築することが原則であるとの認識の下、その実現を図るための対応に加え、特例的な対応として、例えば、当該地域の訪問看護ステーションに配置可能な薬剤を拡充することを含め、医師等との連携の下で在宅患者に円滑に薬剤を提供する体制の整備に向けて必要な対応を検討し、遅くとも 2024 年度内に結論を得る。
 施策例として、「在宅医療における円滑な薬物治療の実現(内閣府、厚生労働省)【制度】」を挙げた。

後発医薬品企業の取り組みを国が認定する枠組みを設ける

 後発医薬品の安定供給に向けては以下の通り記載。
■後発医薬品の安定供給に向けては、少量多品目生産の非効率な生産体制の解消に向けて計画的に生産性向上に取り組む企業に対する支援を行う。企業間の連携・協力・再編を強力に後押しするために国が企業の取組を認定する枠組みを設けることや、薬事・薬事面での対応も検討する。これらの取組を前提に、国による安定的・継続的な支援の在り方について、更に検討を深める。バイオ後続品の国内製造施設整備を支援する。

 施策例としては次の通り。
・後発医薬品の産業構造改革のための支援事業(厚生労働省)
・バイオ後続品の国内製造施設整備のための支援事業(厚生労働省)
・医薬品安定供給体制緊急整備事業(厚生労働省)

電子処方箋では医療機関・薬局に対する支援実施

 医療DX関連では以下の通り記載した。
■「医療DXの推進に関する工程表」に基づき、保健・医療・介護の情報を共有可能な「全国医療情報プラットフォーム」92の構築に向け、オンライン資格確認等システム等を拡充し、公費負担医療制度の利用、地方公共団体が行う検診の受診等について、マイナンバーカードのみでの対応を可能とする環境を整備する。電子カルテ情報共有サービスの円滑な運用に向けた環境の整備、診療報酬改定DXに向けた共通算定モジュールの実装のための設計・開発を支援する。
 次の感染症危機に備え、予防接種に対する国民の理解を醸成しつつ、予防接種事務のデジタル化を進めるとともに、予防接種データベースを整備し、他のデータベースとの連結解析や外部研究機関への第三者提供を可能とする。「全国医療情報プラットフォーム」で共有される情報を新しい医療技術の開発や創薬等のために二次利用する環境を整備し、医療・介護の公的データベースのデータ利活用を促進する。
 電子処方箋について、全国的な普及拡大を更に進めるため、2024 年度内に導入する医療機関・薬局に対する支援や環境整備を行う。
 医療機関におけるサイバーセキュリティ対策を推進する。

 データの利活用についても以下の通り掲げた。
■(データの利活用)
 データ利活用による社会課題の解決が重要な課題となる中、EU等において、個人情報保護法制と整合的な形で医療、金融、産業等の分野でデータ利活用に係る制度の整備が急速に進展していることを踏まえ、デジタル行財政改革の下で、2024 年内に検討会を立ち上げ、2025年夏を目途に、我が国のデータ利活用制度の在り方についての基本的な方針を策定する。
 創薬等に資するため、研究者、製薬会社等が一定の仮名化された公的医療データに円滑にアクセスできることとする方策102について、法案の国会提出を含め検討し、2024年度内に結論を得る。

 なお、注釈で「公的医療データ」については、「電子カルテ情報を含む公的な医療・介護関係のデーターベースに格納されるデータ」としている。

 施策例は以下の通り。
・医療データの創薬等への利用円滑化(内閣府、厚生労働省)【制度】

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